第11話 忠の巻
『忠の玉』を持つ八ニャン士のニャン助。
里見村5番地にある骨董屋の家に住んでいる。
話し方が「よん」とか「ねん」など語尾に特徴がある。
趣味は忍術と猫アイドルオタク、そしてややスケベである。
左肩に星の模様がある。
里見村に住んでいる村民は、万一に備えて剣術・柔術・馬術など様々な技を磨いている。そして忍術講座の講師には八ニャン士のニャン助が担当しており、今まで培ってきた忍術を村民や猫たちに伝授していた。ニャン助が住んでいる家は骨董屋で忍術で使う道具や書などたくさんあり、ニャン助は独学で忍術を学んでいる。
そして今日指名されて忍術講座に参加したのはニャン太郎とニャン丸とニャン子で、その3人はニャン助の『忍び小屋』がある東野川の河川敷に集まっていた。忍び小屋とは、ニャン助が趣味で集めた忍術の道具が隠されている古いアトリエのことである。
ニャン助が号令をかけると、ニャン太郎とニャン丸とニャン子が横一列に整列した。
「はいは〜いん、今からニャン助忍術講座を始めるよん。 集まった皆んなには、わたくしの忍術の極意を学んでもらうよ〜ん!」
「はぁい、ニャン助先生。 今日はよろしくお願いしま〜す」
「ニャン太郎くんはいい返事だねん。 君はいつも目がキラキラしてとても元気がいいねん」
「はい、僕は里見村のヒーローなので忍術が大好きであります。 早くニャン助先生から忍術を覚えて、里見村を守りたいと思いま〜す!」
「ハッハッハ、そうかそうか〜ん。 では忍術をしっかり学びたまえん!」
するとニャン太郎は急に地面に膝をつき、まるで忍者のように両手の指を合わせた。
「ニャン助先生、今日は何を教えてくれるのか拙者は非常に楽しみでござる。 ニンニン!」
「お、早速忍者らしい構えじゃないかん。 わたしの忍術を全部取得できたら、お前には忍び界で名高い『猫飛ニャ助』の名前を授けようん!」
「ありがとうでござる。 ニンニン!」
喜んでいるニャン太郎の横にいた短気なニャン丸は、無理矢理ニャン助の忍術講座に参加させられてかなり不機嫌になっていた。
「チッ、なんで俺がお前の忍術講座に参加しなくちゃいけないんだよ。 俺は忍術なんか使わなくても、メチャクチャ強いってゆうの! 帰るぞ!」
「だからニャン丸は甘いん! 忍術は昔からあった特殊な技で、取得したらもっと最強になるよん」
「ヘッ、だいたい今どき忍術だなんて流行らねぇんだよ。 それよりニャン助、カッコいい剣術とか馬術とかやろうぜ!」
ニャン丸は勝手に八ニャン剣を抜いてシュンシュンと振り回すと、ニャン助はイライラしながら怒鳴る。
「おいニャン丸、忍術をバカにするなん! 忍術というのはだな、昔から伊賀と甲賀という村で・・・」
「歴史のお話しはいらん。 お前の話しは無駄に長い」
ニャン助の話しなど全く興味がないニャン丸は、あくびしながら耳をほじる。
「ふん! いくらニャン丸でも、忍者で有名な『ウットリ半蔵』ぐらいは知っているだろん?」
「そ、それくらい俺だって知ってるよ。 確か『忍者ウットリくん』って漫画かアニメにあったろ?」
「それだよん! その忍者ウットリくんっていうのはだなん、俺の主人であるダンナ様の遠い親戚なのだよん」
ニャン助の意外な言葉に、ニャン丸とニャン太郎は大きな声で叫ぶ。
「え、マジか! この里見村にそんな有名人がいるなんて、俺は聞いたことなかったぞ?」
「忍者ウットリくんって、ニャン助のダンナ様の遠い親戚なのぉ?」
「実はウットリ半蔵っというのはん、俺のダンナ様のおじいちゃんのいとこのおばちゃんの家の隣のおじいちゃんの3人の奥さんのうちの1人のおばちゃんの幼なじみのおじいちゃんが祖先なんだよん!」
ニャン太郎とニャン丸 目が点になる。
「ハ・ハ・ハ。 なんだか分かんないけど、ニャン助とウットリくんが繋がっているなんてすごいでござるね」
「お前そこまでよく覚えたな? っていうか、隣のおじいちゃんとか幼なじみってもう親戚じゃねえだろ?」
「そ〜だよ。 結局はニャン助のダンナ様とウットリくんとは、赤の他人なんじゃないのか〜い?」
さっきから隣でニャン助の話しをずっと聞いていたニャン子も、忍術講座に参加させられてとても不機嫌だった。
ご存知の通り、ニャン子も少々短気な女猫である。
「ちょいとお前さん! な~んであたいも忍術を学ばなくてはいけないのさ〜。 これでもあたいはいろいろと忙しい女猫なんだよ〜」
「ニャン子、それはいくら俺様の素晴らしい忍術講座でも男性ばかりだとむさ苦しいだろん!」
「おいおい、それだけでセクシーなあたいをこの講座に誘ったのかい? は〜やだやだ」
「いや、それだけじゃないんだよん。 ニャン子、忍者には『くノ一』という女忍者がいるんだぞん!」
「そ、それくらいはあたいだって知ってるよ。 それがどうしたって言うんだい?」
「シッシッシ! その『くノ一』と言うのはだな、超セクシーな女猫じゃなきゃダメなんだよん」
ニャン助のその言葉を聞いたニャン子は機嫌を直し、急にセクシーポーズをして色気を出してきた。
「おや〜? 超セクシーな女猫って、ひょっとしてセクシーニャン子様のあたいのことか〜い?」
セクシーポーズしているニャン子を見たニャン太郎とニャン丸は、なぜか顔を赤くする。そしてスケベのニャン助は、鼻の下をビヨーンと伸ばしている。
「里見村で超セクシーな女猫はん、八ニャン士紅一点のニャン子ちゃんしかいないだろ〜ん」
「おやおや、それはちょいと悪くない話だねぇ。 お前さんも、たまにはいいこと言うじゃないか~」
「だ〜ろ〜ん! ニャン子には俺様が後でゆっくり『お色気の術』を教えあげるよん、シッシッシ!」
「やっぱりこ〜の〜、ニャンスケベが〜! 結局お前はそれしかないんか〜い!」
怒り狂ったニャン子か得意の飛び蹴りをすると、ニャン助はどこか遠くへ飛んで行った。
10分後。
「ちなみにこの忍術講座ではん、俺のことを『ニャン助師範代』と言うようにねん。 分かったかなん!」
「分かったでござる、ニャン助師範代。 ニンニン!」
「チッ、ニャン太郎のヤツ、またいつもみたいにキラキラしやがって。 なぁにがニャン助師範代だ!」
「ニャンスケベのくせに偉そうで生意気なんだよ。 またスケベなことを言ったら、スーパー飛び蹴りしてこの村から消してやる!」
くだらない前フリは置いといて、いよいよニャン助師範代による忍術講座が始まった。
「ではではん、まず最初に学ぶ忍術は『煙トンの術』を行うよん!」
「煙トンの術? 何だそれ、聞いたことないぞ?」
「ニャン丸、知らないのかん。 敵が来た時にボン!と煙を出して逃げる、アレのことだよん。 忍術の基本中の基本だよん」
「ああ、それってよくテレビの時代劇で見たことがあるでござる。 それはかなり忍術っぽくてヒーローみたいでござるな。 ニンニン!」
「ヘッ、そんなダサいことしなくても、敵がやって来たら八ニャン剣でチョチョイのチョイとやっつけたらいい話だろ?」
「そうだよ〜。 そんな煙玉なんかしなくたって、このあたいが月にかわってお仕置きだよ〜」
なかなか話しを聞かないニャン丸とニャン子に、ニャン助は煙トンの術について説明する。
「いやいやん、皆んながニャン丸やニャン子みたいに強いばかりではないのだよん。 もし大勢の敵が一斉に襲って来たら、お前たちはどうするん?」
「ヘッ、その時は味方を殴ってでも俺は逃げる!」
「敵にウィンクと投げキッスして、あたいも逃げちゃう!」
「やっぱりお前ら逃げるだろん。 その逃げる時に煙トンの術があれば、簡単に逃げれるのだよん」
「おお、なるほどぉ!」
「師範代、質問があるでござる! その忍術をやるには煙玉が必要でござるよね? その煙玉はどのように作ったらよいでござるか? ニンニン!」
「ニャン太郎、いい質問だなん!」
ニャン助は腕を組み、仁王立ちしながら大声で叫ぶ。
「実は俺も知らん!」
ニャン太郎とニャン子とニャン丸 コケる。
「ニャン助、それじゃあ意味ねぇだろがぁ!」
「いやいやん、本物の煙玉の作り方が知らないだけだよん。 俺が適当にブレンドして煙玉を作っているからん、良い子がマネしないように教えないだけだよん」
「だけどさぁ、そこをあたいらにはチョイと教えておくれよ〜。 その煙玉ってやつをさ~」
「ニャン子はしょうがないなん。 ちょっと、皆んなこっちへ来てん。 実は・・・」
ニャン助は3人に煙玉の作り方をコソコソっと伝える。
「・・・と、まぁこんな感じだよん」
「ええ、それ本当でござるか?」
「なんとも恐ろしくて、とってもいけない事をしているニャン助。 ちょっとドン引き」
「そんな煙玉をくらったらたまったもんじゃないね〜。 良い子の皆んなには教えられないよ〜」
「だろ〜ん、だから俺の煙玉の作り方は内緒だぞん。 そしてこの煙玉をだな、エ〜イ!」
ニャン助は服の中から黒くて怪しい煙玉を取り出し、それをいきなり地面に叩きつけた。
ボ〜ン!
ニャン助が煙玉を地面に叩きつけると、八ニャン士は怪しい煙を吸って咳き込んでしまった。
「チッ、ゴホゴホ! バカヤロウ、話しをしている時に煙玉を投げるんじゃねぇよ!」
「ゴホゴホ! ニャン丸、突然煙玉をやらなきゃ! ゴホゴホ! 意味が無いだろん! ゴホゴホ!」
「ゴホゴホ! ニャン助師範代、煙が目にしみてとても喉が痛いでござる! ニンニン!」
「ゴホゴホ! ニャン太郎、分かったかよん! ゴホゴホ! この煙の間に逃げる忍術んだよん! ゴホゴホ!」
「ゴホゴホ! だいたい煙玉を投げてるあんたが1番苦しんでいてどうすんのさっ!」
「ゴホゴホ! ニャン子、今日の煙玉は! ゴホゴホ! な〜んか作り方を間違えちゃったみたいだよ〜ん! ゴホゴホ!」
それを聞いたニャン太郎とニャン丸とニャン子は、一斉にニャン助の頭を殴った。
「ニャン助、アホかお前はぁ!」
里見村を守る為のニャン助忍術講座ですが、こんな忍術で本当に守ることができるのでしょうか?
でもニャン助くんのダンナ様って、あの有名なウットリ半蔵の遠い親戚だなんてちょっと意外でしたねぇ。
そして秘密にしている煙玉の中身が、ちょっと気になりますねん。
次回「忍の巻」をお送りします。
あのセクシーニャン子の『お色気の術』が、ひょっとして出るかもよん!
お楽しみニャン!




