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第参拾弐話:悪辣な担当医

「どうしてだと?坊主、私の患者に妙な薬を飲ませようとしている。それだけで銃を向けるには十分すぎる理由だ。」


「何を間抜けなことを抜かす白衣ジジイ!お前こそ妙な薬を点滴で投与しようとしたくせに。」


お医者さんと父さんが言い争いをしたその時、お医者さんの顎付近にいつの間にかいた御剣さんの刀が突き付けられた。


「銃を下せ、杉並第一病院副院長、堀戸平太!貴様には外患誘致罪と魔法傷害罪の疑いが出ている。」


「貴様どこからきた!?気配すら感じなかったぞ!」


御剣さんは無言で彼の喉に少しだけ突き刺した。


「こいつは足止めしておく、僕は早くその子に神秘薬を!!」


「は、ハイ!」


「させるかっ!」


堀戸は急に体をひねり、横にいた御剣に足払いをした。


「なっ?!」


バランスを崩した彼女はその場に倒れた。


その際、頭を強く打って血を流して気絶してしまった。


「御剣さん!」


それを合図に父さんと堀戸の銃撃戦が始まった。


奴は僕や父さん、御剣さんめがけて銃を連続で撃った。


部屋中に銃声が響き渡り、窓ガラスや花瓶が割れ、壁に穴が開くなどすさまじい状況だった。


「くそったれ!たとえ腕や足が吹き飛ばされてもお前を必ず助ける!!待ってろ真紀ちゃん!!」


俺は這って真紀ちゃんのもとへ行った。


ようやく真紀ちゃんにたどり着き真紀ちゃんに覆いかぶさりながら薬を飲ませた。


「し、しまった!」


「よく・・・やったぞ!さと・・・る。」


「あう・・・吾君?吾君!!」


真紀ちゃんは、はだけた病院服のまま俺に抱き着いた。


風呂には入っていない人の匂いだがこれはこれで貴重だ。匂いフェチにはたまらんっ!


「ありがとう。もうだめかと思った・・・。」


こちらこそありがとう・・・じゃなくて!


「違うよ。僕だけのおかげじゃないよ。僕だけだったら真紀ちゃんを救えなかったよ。」


「お遊びは終わりだガキども。」


見ると、父さんと御剣さんは動かなくなっており堀戸だけが立っていてこちらに銃を向けていた。


「とうさ・・・。」


「動くな!」


「・・・!」


俺はそのまま動かずに真紀ちゃんを庇う姿勢を取った。


「薬を持ってきてくれて感謝するよ古明地吾君。」


「何ィ!?どういうことだ。」


「正直、神秘薬を誰が飲ませようと関係ない。私の手柄にすればいいのだからな!ま、もっとも私が試作した薬で復活させればもっと良かったけどな。」


「激しい銃撃戦の割には一回も被弾しないと思ったぜ。父さんと御剣さんは!?」


「ヒッヒッヒ、心配するな。この二人は何もしなくてもとっくにくたばるさ。さあ、杉村家の娘よ・・・そいつから残りの神秘薬を奪い、布田月家の息子さんの嫁になるというのであれば君を含めたここの4人の安全を保障しよう。」


やはり布田月家が絡んでいたか。


「信用できるか!」


「あんたはだまっとれ!」


堀戸の切羽詰まった気迫に俺は押された。何がそこまで彼をここまで動かしたのだろう?


「いき・・・ます。」


「ダメだ!真紀ちゃん!!」


堀戸は満面の笑みで聞き返した。


「もう一度言ってごらんお嬢ちゃん。」


「布田月和瑠男・・・さんのお嫁さんになります。」


真紀ちゃんは涙目になり、嗚咽で声がかすれながらもそう宣言した。


「だから、この人たちは助けて!」


「良いだろう!さあ、こっちへおいで。」


「ハイ・・・。吾君、みんなを助けるためなの・・・お願い、お薬ちょうだい。」


真紀ちゃんは俺に神秘薬を渡すようにお願いした。


俺は真紀ちゃんを!父さんを!前世で助けられなかった人を助けようと頑張ったのに・・・この医者は!布田月家は!それを邪魔する悪い奴だ。・・・こいつは倒さなきゃ。


倒さなきゃ、倒さなきゃ、倒さなきゃ、倒さなきゃ、倒さなきゃ、倒さなきゃ!


そう強く思った瞬間、一気に前世での嫌な思い出がよみがえり『オマエノカラダヲモラウ』という声が聞こえた瞬間、意識が闇に飲まれた。


「マキチャン・・・イッチャダメダヨ。」


「吾、君?」

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