表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/56

56 メイド、再会を果たす。


 元気を取り戻したコレットさんは立ち去ろうとして、何かを思い出したように振り向いた。


「ちょうど彼女も来ますし、歓迎会をしましょう」

「え、誰が来るんですか?」

「緊急通信で連絡があったんです。私が待ちに待っていたビッグネームですよ。ふふ、もうすぐ到着すると思うので、来てからのお楽しみです」

「そうなんですか、よかったですね」


 でも、その大物と私、何か関係があるのかな?


 おっと、そろそろタヌセラが待ちきれない様子だ。どの魔石をあげようか。やっぱり私やこの子が頑張って倒した魔獣のものはあげたいよね。あと今日はたっぷり食べさせてあげるって決めてたし。


「よし、タヌセラ、ティグレドとブレノーガ、それからネフィダロスのを二十個食べていいよ」

(……え? いえいえ! さすがに貰いすぎです! オルセラ、魔法も買いたいと言ってたじゃないですか!)


 ……おお、この子、初めて遠慮した。確かに魔法も欲しいんだけど、お金は森の魔獣を狩っても割と稼げるし。


 結局、ネフィダロスの魔石を減らすことで折り合った。私の方があげるって言ってるのに……。タヌセラ、何か変なものを拾い食いしなかった?

 まずティグレドの魔石を食べたタヌセラはレベル15に。続いて、ブレノーガの魔石、ネフィダロスの魔石八個と食べると16に上がった。


 急成長を果たした狸の魔獣は、周囲の戦士や職員から拍手での祝福を受ける。


(どうもどうも、皆さんどうもどうも。これからもラクーム筆頭として頑張ります)


 ペコリペコリと頭を下げて回っていた契約獣が戻ってくると、私は手を伸ばして抱き上げた。


「もう次の魔法習得レベルが見えてきたし、皆楽しみにしてるのかもね」

(私も楽しみでなりません。が、まずはオルセラの新たな魔法を買いにいきましょう)

「そうだね、小腹もすいたから何か食べつつ買い物をしよう」

「キュイッキュー!」



 いつもの狩り時間である夕方までまだ結構あるので、お腹を満たしながらお店を回ることにした。


 私の欲しい魔法とは雷と異なるもう一つ別の属性魔法だ。どの属性にするかはすでに決めてあった。具体的に購入する魔法も。

 魔法店を出た私は、二つの魔法結晶を順に胸の中へと入れていく。風の下位魔法、〈ウインドカッター〉と〈ウインドウエポン〉を習得した。


 風属性を選んだ理由はいくつかある。一つは、ネフィダロスのような雷に強い地属性の魔獣に対抗するため。あと、メルポリーさんの固有魔法〈放ったものが爆発する〉との相性も考えて、というのもあるよ。


『オルセラ大好き。二人でいっぱい爆破しよう』


 なんか、(台地の)上から声が降ってきたような気がした。


 それから銃器店で魔法弾を補充して、日が沈みはじめると町を出る戦士達の列に加わった。

 森に入り、まずは全滅しそうな新人がいないか捜すも見つからず。今日は全滅しそうなお姉さん達もいなかった。私はタヌセラにちらりと視線をやる。


「ど、洞窟、行っちゃう?」

(い、行っちゃいましょうか?)


 実は出発時に関所でランクEの洞窟の地図を貰ってきていた。一番ランクの低い洞窟だし、昼より私もタヌセラも強くなってるし大丈夫でしょ。


 ところが、洞窟に向かって走っていると森の中に気になる反応を感知した。

 ……沢山の魔獣が集まってる。きっとあれが噂のデッドゾーンだ。

 四人の戦士達が囲まれちゃってる! レベル十台のチームみたいだけど、あれはもちこたえられそうにない!


「タヌセラ! 予定変更! デッドゾーンに突入するから心して!」

(分かりました! 打ち合わせ通りに戦います!)


 デッドゾーンには大型だけでも十頭以上の魔獣がおり、小型も入れるとその数は百頭を超える。魔力を温存して戦わないととてももたない。だから魔法は節約してなるべく近接攻撃で倒していこうと、事前にタヌセラと決めてあった。


 デッドゾーンの感知を続けていると、私達とは反対方向から先に一人の女性戦士が突入したのを察知。彼女は単独で次々に魔獣を倒していく。


 ……この人、めちゃくちゃ強い! 感じる魔力の量は私や囲まれてる人達とそう変わらないのに……。たぶん魔力の質が違う。それに操作もすごく上手い。きっと力を抑えた英雄クラスの戦士だ!

 ……それにしても、凄まじい早さで狩っていく。私達が着く前にもう全部倒しちゃいそうだよ……。

 けど、あの人の魔力、何だか懐かしい感じがするような……、とにかく急ごう。


 私とタヌセラが到着した時、そこはもうデッドゾーンではなくなっていた。一帯の木々が薙ぎ払われた森の中で魔獣達はことごとく魔石に変わっている。今まさに最後の一頭が、赤髪をなびかせる女性戦士の双剣に斬り裂かれるところだった。


 たった一人でデッドゾーンを制圧した彼女が私の方に振り向く。


「オルセラ、元気そうね」

「ユイリス……!」



すみません、また投稿が空きました。

お詫びに今後、ユイリス編を少しまとめて投稿するかもしれません。

次話からユイリス編に入ります。

メインの仲間はそのキャラ視点で生い立ちをきちんと書こう、とか考えていた気がします。リムマイアとか。結構前のことなので記憶があやふやです。


ところで、本日メイデスのコミックス2巻が発売になりました。

この下にカバーを貼りましたので、よろしければご覧ください。

現在連載中の漫画は、次話はちょっと間が空きそうです。

今ネーム段階なのであと一か月ほどでしょうか。

コミックスの方もまだまだ続きますので、安心してご購入いただければと思います。

何やらTOブックスさんの方に海外の出版社からオファーも来たようですし。

アメリカだかインドだかで出版されるかもしれません。

コミックス2巻は私のお気に入りで、本当に自信を持っておすすめできます。

よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。





書籍化しました。なろう版へはこちらから。
↓をクリックで入れます。




陰キャ令嬢が沼の魔女に。

社交界で沼の魔女と呼ばれていた貴族令嬢、魔法留学して実際に沼の魔女になる。~私が帰国しないと王国が滅ぶそうです~




書籍


↓をクリックでTOブックスストア書報へ。


klpg4yz5b1oc2node6ca5sa7jfl_nhg_dw_js_ddo6.jpg

1wfh4e77id1ojgvi3w3s4ahb9ryu_ft9_dw_jr_e350.jpg

86uh6ozp2wrm3jdwmfzk4ouk2a3v_gbk_dw_jq_cpdv.jpg

de4q2t0bfkyu704dfoctjrlg8w8u_vdz_dw_jr_950l.jpg




ヴェルセ王国 エピソード1
↓をクリックで入れます。




メイドが発現した固有魔法はまさかの国家規模!?

どうもすみません。孤児院出身メイドの私が王子様と結婚することになりまして。




ヴェルセ王国 エピソード2
↓をクリックで入れます。




肩書きだけだった公爵令嬢が権力の頂点に上り詰めるまで。

公爵令嬢、お城勤め始めました。婚約破棄するために権力の頂を目指したいと思います。




ヴェルセ王国 エピソード3
↓をクリックで入れます。




王妃オルディアの命を狙われ続ける日常。

聞いてません。王国に加護をもたらす王妃になりましたが、近隣諸国から毎日暗殺者が送られてきます。




ヴェルセ王国 エピソード4
↓をクリックで入れます。




11歳のオルセラが主人公です。

公爵令嬢、メイドになります。 ~無自覚モテ令嬢のハタ迷惑な生態~








本編の五年前、リムマイアのエピソード
↓をクリックで入れます。




狂戦士から転生した少女が成り上がります。

ベルセレス・リライフ ~史上最凶の狂戦士、惰弱な孤児少女に転生する~「愛くるしい小動物系美少女?いいえ、あれは踏んだら最期の地雷系女子です」





↓をクリックでコミック試し読みへ。


fvn3kutc16ulc3707tsn12eh38v4_8ke_dw_jn_amd1.jpg
― 新着の感想 ―
タヌセラが自重を学習した…安定し出したら余裕が生まれるもので 海外からってことは翻訳されて…という?
海外オファーって、びっくりする朗報?が来ちゃいましたね~この時代(ネット)ならではの報せと言うべきか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ