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47 [リムマイア]狂戦士、守護魔獣との戦闘を開始する。

 メルポリーは私達の前まで戻ってくると停止し、そのまま宙に留まる。


「一応聞くが、これはいったいどういうことだ?」


 私の問いに彼女はどこか遠くに視線をやった。


「岩山だと思って爆破したら、守護魔獣だった」

「そんな言い訳あるか、この人間兵器が」


 やっぱりこいつには何を言っても無駄だ。こうなったら戦うしかないし今更か。


 ため息を吐きながら迫ってくる魔獣を見つめた。

 まるで岩のような鱗に覆われ、体長は五十メートル以上ある。どう見ても鎧竜種の上位個体だな。〈識別〉で見ると名前はガロミュギラ、レベルは65だった。

 かなりのでかさだが、守護魔獣としてはそれほど強くないから全員で当たれば何とかなるだろう。メルポリーも私達に手伝わせるつもりでここまで連れてきたんだろうし。


「装備を取りに戻るぞ」


 私が声をかけるとマルティナとフリーゼンは渋々ながら腰を上げる。


「……リムマイア、しっかりメルポリーの手綱を引いとけよ」

「作戦では絶対、俺はお前とメルポリーとは組まない……」


 ……あれ、私とメルポリーはもうセットなのか? 確かにオルセラと組むことを考えたら、こいつとは長い付き合いになりそうだが……。

 私の視線を受けて、人間兵器の少女は力強い頷きを返してきた。


「任せて、皆が戻ってくるまであの守護魔獣は私が何としても食い止めるから。この拠点を奴の好きにはさせない」

「私達を巻きこもうと奴を拠点に誘導したのはお前だがな」


 去り際に一人だけ座ったままのゼノレイネに思念を送る。


(危なくなったら助けてやってくれ)

(嫌なのじゃ。わしは手伝わん)


 と彼女はフライパンの中の溶け出したチョコレートをじーっと凝視。

 ああは言っていてもいざとなったら助けてくれるのは分かってる。


 メルポリーもバカじゃないから、きちんとどうにかできそうな守護魔獣を選んでるしな。それに他の敵を引っ張ってこないでうまくこいつだけをおびき出した。叩けるなら今の段階で守護魔獣を叩いておくべきだと思ったんだろう(私欲も入っている気がするが)。


 防具を纏って武器を手に戻ってくると、先にマルティナが準備を整えて立っていた。おそらく前世の名残であろう大きな斧で素振りしている。その視線は空中で戦闘中の少女に注がれているようだ。


「……メルポリーは、本当に転生者じゃないのか?」

「違う、何度も言ったがあいつは現生者だ。人類にとってはよかっただろうな。旧暦時代に生きていたらお前の好きな軍神赤神くらい人を殺したはずだから」

「おい、赤神は(前世の)私の宿敵だぞ。しかし、こいつも破壊するために生まれてきたような人間だ……」


 思わずそうこぼしたくなる気持ちは分かる。相手が守護魔獣だけに、今日はメルポリーも本気だ。


 メルポリーは飛行魔法を〈自由なる翼Ⅱ〉に移行させ、翼を二枚から四枚に増やして高速で飛び回っていた。両手の連射式ボウガンで鎧竜種ガロミュギラに次々に矢を撃ちこむ。いずれの矢も巨竜の体に当たるなりすぐに爆発。


 シュドドドドドドドドドド!


 一発一発の矢がかなりの威力だな。たぶん〈ファイアショットⅢ〉に固有魔法〈放ったものが爆発する〉を上乗せしているんだと思う。


 怒涛の攻撃で全身が爆発しているガロミュギラだが、あちらもやられっぱなしではない。こういう動きの遅い魔獣は大抵それを補う魔法を習得している。

 今あいつが口から発射している無数の光球〈火撒弾〉がそうだ。光球はターゲットを自動で追尾し、捉えた瞬間に爆発する。

 さらに飛行速度を上げたメルポリーは追いかけてくる光球を振り切り、その爆発を置き去りにしていた。

 戦闘は互いに爆破の魔法を撃ち合う派手な展開になっている。


 あのスピードならメルポリーがやられることはないだろうが、それにしてもこの戦いは分が悪いだろ。何しろ属性の相性がまずい。ガロミュギラの得意属性は火。これに対して、メルポリーが習得している攻撃魔法は自身の固有魔法と相性のいい火と風がメインだ。向こうは風属性に強いし、火にも一定の耐性がある。加えてタフな鎧竜種だしな……。

 それでも、メルポリーはこの敵が一番倒しやすいと判断したんだと思う。レベル65というのは守護魔獣の中では割と低い方になる。比較的若い個体で、厄介な奴だと年数を重ねてレベル100を超えているからな。


 倒しやすいとはいえ、そろそろ言ってくるだろう。

 爆破の手を止めたメルポリーがツイーッとこちらに飛んでくる。ボウガンを背中にしまいながら私の顔を見つめた。


「次の魔法に全てを込めてあいつを仕留める」

「そうか。だがあのガロミュギラ、結構焦げてはいるがまだまだ元気だぞ」

「助け合うのがチームだと思う」

「……削ってくれってことだな」

本日、コミカライズの第3話が公開になりました。

コロナEXでご覧になれます。

下のリンクはニコニコ行きだったと思うので、お手数ですがコロナEXでご検索ください。

ニコニコの方は2週間後の公開です。あちらでもメイデスを応援していただけると有難いです。

(ニコニコからも大勢来ていただいているようで、有難うございます)


ところで、漫画のもの干し竿先生はタヌセラを一推しと仰ってくれていて、私も嬉しい限りです。

今は逆に先生のお描きになる表情豊かなタヌセラを見るのが私の楽しみになっています。


タヌセラ

「キュッキュー!」

(それはつまり、私は作り手二人から愛されているということでは!)


まあ、そうですね……。

私は私の作った全てのキャラを愛していますよ。


リムマイア

「待て待て、今回は私が(正式に)登場する回だぞ。私については何かないのか」


何というか、凄まじいですよね。

もの干し竿先生は少年マンガちっくなところもすごくお上手なんです。(メイデスのジャンルは少女マンガ)


ちなみに、次の第4話がタヌセラ満載でかなりお気に入りだったりします。今回も結構満載ですが。(もふもふを思わせるお尻のフォルムがたまりません)

小説共々、次話を楽しみにしていただければと思います。

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陰キャ令嬢が沼の魔女に。

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肩書きだけだった公爵令嬢が権力の頂点に上り詰めるまで。

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王妃オルディアの命を狙われ続ける日常。

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― 新着の感想 ―
森で消耗し切ってなかったらこのくらい戦闘出来たのか 武器回転ギミックカッコいい!タヌセラ、絵になったらより動き回ってる印象w
軽い釣りというのは間違っては無かった。 つまりレベル上げ次いでって言う意味でもベストではあったと.. 軍神赤神って書籍の追加で見たような~?
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