28 自由って素晴らしい!
28 自由って素晴らしい!
広場で急に布袋に押し込まれ
不覚にもチュパリングをしてしまった僕らは
暗く、臭い鉄格子のケースの中に僕とマリーは
押し込められていた。
「ヒック!ヒック!」
とマリーはさっきからずーと泣きっ放しだ!
「・・・マリー・・・」
僕はマリーに声をかけようと思ったが
上手い励まし方が思い浮かばなかったが
(マリー可哀そうだなぁ・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・しかし・・・
えらく、手際の良い連中だったなぁ~・・・
ミーアと僕が離れるのを
あのミーアに気取られずに
機会を伺って、あっという間だったもんな~!
この布だって睡眠薬みたいの入ってるみたいだし・・・
ここが何処かも、今、いつかもわかんない・・・)
「は~・・・どうしよ・・・」
まあ、僕は前世で35歳、こっちで1年だし、
それなりに結構色々経験してるので
そこまで、ビビりはしなかった・・・
ぼったくりバーでヤクザに囲まれた経験とか
お姉ちゃんのいるお店で触り過ぎて囲まれるとか
やっと連絡先貰って、二人っきりになれるよう
気に入った子に連絡を送りまくって、
店に行きまくってたり(注文しないで話しかけるだけ)
花束送りまくってたら(タンポポとか彼岸花とか)
なぜか、お巡りさんと個室で二人っきりになって、
最終的にセラピーを受けるに落ち着いたが・・・
(いや~、あの時は頑張り過ぎたかな~
懐かしい~・・・2年前か~・・・)
と割と最近の事なのに
さも、懐かしそうに思い出していたが
「グスッ!・・・ヒック!」
相変わらず、マリーは泣いていた・・・
(まあ、でも・・・やっぱり
小さい女の子がいきなり攫われたらこうなるよなあ・・・)
と思いつつ、ちょっと場を温めようと
「・・・うわ~!どうしようか?困ったな~
あッそうだ!明るくすれば良いんだ!」
とワザとらしくお道化て
魔法でとりあえず、明るくしようとするけど
「・・・出ないじゃん・・・」
魔力が体から出ない!
ジャララッ!
原因は多分、このいつの間にか着けられた手錠だ!
「・・・魔力を吸い取る金属があるのか・・・
どうしようかな・・・・」
とにかく、ちょっとでも出れないものかと
僕らが入れられている鉄の柵を掴み
ガチャガチャ!と鉄格子を揺らすが
子供の体では、ビクともしない・・・
ガチャッ!ガチャッ!ガチャッ!ガチャッ!
ガチャッ!ガチャッ!ガチャッ!ガチャッ!
ガチャッ!ガチャッ!ガチャッ!ガチャッ!
「開け!こら~!!!!!」
とうっかり魔力を手に込めてしまうと
バキンッ!
鉄格子が1本折れた!
「うおッ!なんか急に脆くなったぞッ!?なんで?」
とよく折れた鉄筋棒を見てみると
「・・・魔力が出てる?・・・」
僕の触れている部分から、折れた鉄筋棒伝いには
魔力が流れていた。
「ふ~ん・・・この手錠の金属は魔力は出せないけど
触れてれば魔力を出せるのか・・・」
ともう一度、マリーを見ると
「ヒック!ヒック!・・・私の、私のせいで・・・」
と何か自分に責任を感じているようだったので
僕は慌てて
「ち、違うよ!マリーのせいじゃないよ!
そ、そうだよ!僕だよ!僕のせいだ!
僕があんな所で金貨を渡したから・・・」
と慰めようとすると
「ヒック・・・私のせいでジュースが・・・」
「いや、ジュースの話かい!」
とまた、うっかり大声で突っ込んでしまった。
すると
ガチャッ!とドアが開き
スキンヘッドの大男が部屋に入って来てきた。
(で、デカい・・・)
ズシッ!ズシッ!
と如何にも重そうな体で近づいてきて
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
ケースの中から見上げている僕とマリーを見下ろすと
ガチャンッ!ギギ~!
と鉄のケースの蓋を開け
「・・・・・・・・・・・・・」
僕を猫でも、持ち上げるかのように
摘んで、
グググッ!と
僕に顔を近づいてくる。
「・・・・・・・・・・・・」
この無口のハゲが、凄く見てくるので
(な、なんだよ?!)
と思っていると
「ふっ!」
と僕の顔を見て笑いやがった!
(こ、このハゲ!舐めんなよ!)
と僕は全力の魔力を左手に込め
大きく振りかぶると
(うぉ~~~~!)と
このハゲの顔面に
ペチッ!
「・・・・・・・・・・」
すると再度ハゲが
「・・・ふふッ!・・・」
と僕を小バカにした。
(くっそ~!!!!)
ペチッ!ペチッ!ペチッ!ペチッ!
ペチッ!ペチッ!ペチッ!ペチッ!
ペチッ!ペチッ!ペチッ!ペチッ!
と左手のペチペチラッシュを食らわせるが
「ふぁ~・・・・・・」
とハゲはアクビをしやがった。
僕は相変わらず、プランプランと
ネコのように掴まれながら
「ハー・・・ハー・・・」
(な、なんだと~・・・)
まあ、冷静になれば
攻撃力0.01の幼児にも満たない僕が
身体強化でちょっと上げて、
例え10倍になっても0.1だから
攻撃が効くわけもない・・・
(くそ~!なんかないか?
何か、このハゲを黙らす、何かが・・・)
と僕はキョロキョロすると
自分の右手がチラっと目に入るが、
やっぱり他を見て・・・
(何か・・・な・・・・・・)
と改めて、再度右手を見ると、
さっき、へし折った鉄筋棒が
「・・・・・・・・・・」
ズゴン!
ドザっ!
ハゲは鉄筋棒が頭蓋骨にめり込み
そのまま、僕ごと床に倒れ込んだ!
モゾモゾ!
「く、くそッ!なんでこんなに臭いんだよ!」
とハゲの体を退かし、何とか這い出ると
目の前にハゲの顔が
「・・・うわッ!・・・
・・・死んでる・・・よね・・・」
と一応確認のため
目を見開いたまま、口から泡を吹いている
ハゲを突っついて確認して
「・・・ふ~・・・雑魚め!」
と汗を服で拭きつつ、僕は安堵し・・・
「さ~てと・・・」
ゴソゴソ!
とハゲの服を漁り
「鍵はないのか?この手錠のカギは?・・・ん?」
と何か手に当たるので
引っ張り出してみると
「・・・深夜の海・・・ジミー・・・
キャバクラの名刺じゃん!」
ビリビリビリ!
とやたら、カラフルな名刺を
破り捨てた・・・
「ホントにどうしようか?
あ~もう~魔法は使えないし、
ココが何処かもわかんないし・・・」
と突然、僕はキョロキョロして
「そういや、アイツら(ヒヨコとスライム)
はどこ行ったんだ?あ~もういいや!後で
それより、このハゲの死体を~」
と他に何にも持ってないハゲを空間魔法でしまうと
後ろから
「あ、あの~・・・レイ様?」
とケースから出てきたマリーの声が・・・
「ん?どうかした?今、ちょっと忙し・・・」
と言いかけるがマリーが壁を指差している。
そっちを見るとカギがかかっていた。
「・・・ソコかい!」
ガチャッ!ガチャッ!
ガシャーン!
サス!サス!
僕は自身の手首を触りながら
「ふ~・・・やっと、取れた~・・・」
と言いながらマリーを見ると
ガシャーン!
とマリーも手錠が取れたようだ!
「よし!出よう!」
「はい!」
と二人で廊下に出ると
汚い男をバッタリ出くわしてしまった。
「「「あッ!」」」
レイとマリーがいる部屋の下の下の下の階
明かりもない真っ暗な地下倉庫の中で
ゴトッ!ガタッ!
「え~ん・・・え~ん・・・」
「お母さ~ん・・・」
「ヒック!ヒック!」
「うるせィぞ!ガキども!静かにしろ!」
ドガシャーン!
この領内で誘拐された泣いている子供たちを
怒鳴りつける帝国の諜報員がいた。
「おい!なに、興奮してんだよ!」
「お前もうるせえよ!ガキは嫌いなんだよ!ガキは!」
「はははッ!まっ!もう少しだ!東で戦争が終われば
こいつら売って、俺たちもご帰国!
晴れて、国の英雄で金持ちだ!」
「っけ!それまで、我慢かよ!
別に攫うだけでいいんだから、
攫って殺しちまえばいいだろうが・・・」
と男が廊下を行こうとすると
「・・・なんだ?・・・」
廊下の真ん中に一匹のスライムに乗ったヒヨコが・・・
が、次の瞬間
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
とカラフル光るスライムが突如、
暗闇の中に大量に現れ・・・
僕は拳を魔力で覆い、ガードすると
とんでもなく量の魔力で身体強化をし
ドカッ!と捕まえた悪党の顔面に
拳を叩き込んだ!
ドカッ!
「ここは!」
ドカッ!
「どこだ?」
ドカッ!
「言え!」
ドカッ! ドカッ!
「早く・・・言え!」
廊下でバッタリ出会った悪党の胸倉掴んで
ボコボコにしてから、もう5分ほど殴っているが
「・・・ハー!ハー!しぶといな!
・・・もう殴る所がない!・・・」
「なかなか吐きませんね!」
と横で見ていたマリーが冷静に言ってくる!
慣れたのか、元からなのか、わからないが
さっきから若干切れてるようだが
とにかく、彼女が元気に
なってくれたのは良い事だ!
だが、どちらにせよ、一つだけ思ったのが
(・・・女を怒らるのは、後が怖いな・・・)
それにしても
さっきのハゲには、身体強化のみで
魔力で手を覆えなかったので
差して攻撃もできなかったが、
今は、好きなだけ、出せるので
最高に
最高に楽しい!!!
「・・・しかし・・・どうしようか?
コイツが喋ってくれないとココの場所が・・・」
と僕が悩んでいると
マリーが閃いたように
「レイ様!指を一本ずつ切り落としてみては?」
「おおぉ!凄い事思いつくね!
いや~・・・それにしても・・・恐ろしい・・・」
と出合い頭に潰したグチャグチャに腫れ上がっている
アゴの悪党が必死の形相で首を横に振って
「む~・・・む~・・・」
とバタバタしているのを無視して
コイツの手首を掴むと
「む―――――――ッ!!!!」
僕は風魔法で刃を作り
「よいしょ!」
シュン!
トサササッ!
「あッ!やべッ!」
「の――――――――・・・」
と間違えて指を
全部切り落としてしまった僕だが
悪党は全身を硬直させた後、バタバタし
鼻で激しい息遣いになるだけで
やはり
「ん~・・・ん~・・・」と
尚も何も話さない・・・
「なんで喋んないのかな~・・・」
「ん~・・・なんででしょう・・・」
と二人で考えていると
ドドドドドドドドォ―――――ン!!
ズゴゴゴゴゴッ!!!
「うお~!なんだ!なんだ??」
「きゃ~!レイ様~!」
僕らの真下からもの凄い爆音と振動が・・・
悪党を持ち上げ、盾代わりにし
「マリー!こっちだ!」
とマリーを抱き寄せた!
バラバラバラ!
カラン!カラーン!
「・・・・・・・・・」
「・・・もういいみたいだな・・・」
上から落ちてくる物がなくなり
ドサッ!と床に悪党を投げ捨てると
背中には無数の木屑が刺さっていた・・・
(うわ~・・・こりゃ、無理だ・・・
回復魔法も無駄だな・・・それより・・・)
「ど、どうしましょう?レイ様?」
と怯え切るマリーに
「ん~・・・今の魔力・・・
多分、アイツらなんだよね・・・
あんな事出来たんだ・・・知らなかった・・・」
とヒヨコとスライムに少し驚いた僕だったが
「もう、いいや!静かにするの止めよう!」
とマリーに言うと
「サーチ!」
ブワ―――――――――ンッ!!!
緑の波長がレイを中心に高速で広がっていき
「・・・どうやら、下・・・
いや、地下に子供が沢山いるみたい・・・
そうか!ここはあの子供専門の誘拐事件のアジトか!
アイツらはそれを助けに行ったみたいだ・・・
っていうかそんなの出来るなら、
まず僕を助けるだろ!普通・・・」
と突っ込むと
「えッ?こ、こ、こ、子供?・・・」
となぜか、さらにキレてそうなマリーだが
「あッ!こっちの横の壁の向こう外だ!
ちょっとマリーはこっちに来て!」
とマリーを反対側に寄せると
「おらッ!!!」
ドドコーン!
僕は魔力で手を覆い、身体強化で
壁を殴り開けた!
すると
ビュオ――――ッ!
高い位置にあるのか、入り込んできた
冷たい夜風が僕たちの体を冷やす!
「ヒャホー!外だ!
やったーーー!ははははっ!どうだ!ざまあみろ~!!!
はははははっはッ!!!!」
と外からの風を全身で浴び、叫けび、
もう暗い外の景色を見て見ると
「・・・見ろ!マリー!僕の家だ!
まだ、ここはリストセットだぞ!
やった!まだ、何とかなるぞ!」
と遠くに見える我が家を見て喜んでいると
「レイ様!あれを?!」
と下の通りをマリーが指差した。
「レイ様~!!!」
とミーアが僕の名前を叫びながら剣を片手に
走って来た!
「ミーア!」
地下
領内中で捕らえられていた子供たちが
泣きながら誘拐団の大人たちを
檻の中から見ていると
「うわッ!なんだこいつら?」
「くそッ!なんだ?この量のスライムは!?」
「おい!取ってくれよ!背中の・・・」
と
自分たちをここへ連れてきた大人たちが
あっという間に、無数の分裂したスライムたち
に腕や足にくっ付かれ、騒いでいたら
スライムたちの色が緑、青、の色から
黄色、赤と激しく点滅していき
「おい!おい!なんだよ!」
「色が変わってきたぞ!ちくしょう!」
とかなり、怯え始め、声を荒げている。
すると、そこへ
ガチャッ!(ドアの開く音!)
「おい!不味いぞ!守備兵どもが
ココへ向かってくるから、
例の未完成人造魔人が動き出・・・
・・・って・・・
・・・なんだこの・・・スライム?・・・」
と突然入って来た悪党っぽい顔の男が
自分の手に取り付いた高速で点滅する赤いスライムを
見た瞬間!
ドドゴー――――ンッ!
と爆発し
粉々に飛び散った・・・
「「「「「「キャ―――――ッ!」」」」」」
子供たちは自分たちが閉じ込められている檻の中で
悲鳴を上げている・・・
ゴゴゴゴゴゴゴッ・・・!
やがて、爆発と衝撃が収まり
凄い煙が舞う中
一番上に何やら黄色い何かが乗ったまま
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
その粉塵が舞う中
スライムがジャンプしながら
1匹が2匹、4、8、16、32、64・・・・
と増えていき
あっと言う間に部屋一杯になると
あるスライムたちが散らばった誘拐団の死体を
ジュ―――――ッ!と体に取り入れ溶かし
あるスライムたちは子供たちが
閉じ込められている檻に近づいていき
残りは周りに散らばって行くが
尚も、スライムは増え続けていく・・・
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
ポヨンッ!ポヨンッ!
先程、まで泣きじゃくり、親に兄弟に
再び会いたがっていた子供たちも
目の前の状態に頭が追い付かず
ただ、黙って
「「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
見ていると
コロコロコロコロ!
と転がりながら、自分たちに近づいてくる
普段、見ないようなピンポン玉位の
無数の小さな丸いスライムたちが
子供たちを閉じ込めていた檻のカギに
べちゃッ!
べチャチャッ!
とへばり付くと・・・
パンッ!パパパンッ!と爆発し
ギ―――ッ!
と次々を開けていった。
そして
「ピえ~~~~・・・!」
バタバタバタ!
バタバタバタ!
バタバタバタ!
檻から出してくれた子供たちは
偉そうに先頭の女の子の頭の上で
「ピ~~・・・ピッ!ピッ!」と
指示をするヒヨコと
光るスライムたち抱いて懸命に走っていた。
バタバタバタ!
バタバタバタ!
バタバタバタ!
「こっちなの?」
「ピェッ!」
とヒヨコが小さな黄色い羽で誘導する方向は
ご丁寧に、子供たちが走り易いよう
本来、暗い地下道を、たくさんのスライムたちが
カラフルな色どりで発光し、点々と照らしている・・・
バタバタバタ!
バタバタバタ!
バタバタバタ!
だが、とある角に差し掛かると
「ピッ!」
とヒヨコが全員を静止させた・・・
「どうしたのなの?ヒヨコちゃん?」
と少女が頭の上のヒヨコに聞と
シュッ!シュタンッ!と
ヒヨコは頭の上から
子供たちの前へと飛び降りた・・・
「・・・・・・・・・・・・・」
ヒヨコはスライムたちがいない
暗闇の続く地下道の方を見つめたままだったが
突如
ズンッ!ズンッ!
と暗闇の方から何かが近づいてくる音が聞こえ
ビカ―――ン!
と何か赤い光がこちらを見ていた・・・




