26 寝てる女は危険かも
26 寝てる女は危険かも
チリン!チリーン!(風鈴音)
朝、村の様子が気になると外泊の許可を貰った僕は
昨日建てた沼地の村の最上階で、
もう領内は夏の陽気で暑くなってきているのに
一人、風鈴の音と共に高所特有の涼しい風を窓から
受けながら
ペラ・・・ペラ・・・(本をめくる音)
(これ・・・ホントか?)
ペラ・・・ペラ・・・
ミーアが買ってきた、かなり読み込まれ
紙はすり減り、重要な所は印が入れられている
中古の中の中古の付与師の本を読んで
とりあえず、
「・・・やってみよう・・・」
パタンッ!
と本を閉じて、昨日の楽市でミーアが
露店のお婆さんからミーアが
「お嬢ちゃん!それ買ってくれるのかい?
だったら、このウチの爺さんが使ってた
付与の道具も付けてあげるよ!」
と貰ってきた小汚い魔道具のペンを手に取った。
「・・・・・・・・・・・」
僕はペンをじっと見て魔力を込めて
魔法を唱えようとしたら
「って危っね~!・・・」
とフキフキ!とハンカチで一応拭いた・・・
(・・・魔法で綺麗にすると、
この術式も一緒に消えるってホントなのかな?)
と思いつつも
そして、羊皮紙を机の上で広げ
「え~と・・・まずは・・・」
と
チョン!チョン!
とペン先で羊皮紙に触れるが
「んッ?インクが出ないぞ?」
ともう一度ペンをよく見て見ると
インクを入れるような形状はなく
付与師が使う術式がペンの持ち手に
細かく書かれていたのを、じ―――――と見て
「・・・あッそうか・・・
確か、魔力を流し込むんだったよな・・・」
と魔力を込めると
ペン先が緑色に輝いた。
「・・・もう、いいのかな?」
カリカリ!
「おッ!書けた!書けた!」
僕はそのまま
シャ――――――ッ!
と羊皮紙の大きな丸〇を書くと
シャ――――――――――ッ!
さっき書いた丸〇を囲うように
さらに大きく丸〇を書き
その中心に
[ K A Z E ]
と書き
「よし・・・後は!」
とペンを置き、
コトッ!
手をかざして、魔力を込めると
ブワ―――――ッ!
「おおぉッ!
小さい竜巻が羊皮紙の上で起きた!」
別に文字は何でもいいらしい!
本にも
【趣味でやる程度なら
使い手のイメージし易い物なら良い!】
と書いてあったからだ!
「・・・次は何書こうかな?・・・」
と考えていると
ドカッ!(寝返り側頭蹴り!)
ボコ―ン!
「ん~・・・酒がもうないのは・・・
アンタが飲んで飲まれたからじゃない・・・
むにゃむにゃ!」
とミーアが僕のベットでいつものように
激しい寝返りを打ち、
訳の分からん寝言を言いながら、
僕の部屋に蹴りで風穴空けている!
「・・・この光景も1年目か・・・
ミーアは僕が産まれた位から、
ずっと添い寝をしていた。
僕が何度も押し返そうとしても
強引にベットに入ってくるのだ!
しかも、夜行性のため夜は
ギンギンに目を見開いて
凝視してくるため
「あの、青と黄色の目が暗い中、
顔の近くでギラギラ光ってるから
寝ずらいんだよね~
とにかく、あの寝相だけでも、
どうにかならないかな?
明け方、ミーアは寝始めるけど、
毎回うるさいんだよね
・・・・・・そうだ!」
トタ、トタ・・・
僕は、ミーアの寝ているベットに近づき
バサッ!
とシーツを静かにメクると
「・・・ん~・・・」
バリバリバリ
と足を猫の長い尻尾で搔きむしる
薄着のミーアが・・・
(・・・異世界の女の子は
白のランニングシャツと短パンで寝るのか?)
とミーアの寝姿をじっくりと観察し、
ふとッ
(・・・なんか、これ犯罪っぽいな・・・
・・・早く済まそう・・・)
とミーアの足を見ると
(・・・しかし、改めて見ると・・・
やっぱり、膝から下の足は猫なんだな・・・)
と思っていると
「・・・ん~・・・」
バサッ!
と足でミーアがシーツを床に落とし、夏の暑さで
汗ばんだ寝姿が完全に見えるようになった・・・
「・・・・・・・・・・・」
(なんでミーアにドキドキしないとなの?
とっととやっちゃおう・・・)
とおもむろに、ミーアの足を持ち上げ
「・・・・・・・・・・」
(・・・肉球はちゃんとあるんだ・・・)
とミーアの足裏をツンツンしてみる・・・
「にゃ、にゃはは・・・にゃはは・・・」
とミーアは、やはり猫人なのか猫っ娘みたいに
寝ながら笑っている・・・
僕はちょっと気になり
「・・・・・・・・・・・」
(爪はあるのかな?)
と足の指と指の間をクイッと両手で広げてみると
ニョキッ!キラーん!
ビクッ!
(うわッ!危なッ!)
下手なナイフより鋭そうな爪が
フワフワの毛の中から
突然、現れた!
「・・・・・・・」
(・・・ビックリしたけど、わかったぞ!
ミーアはこの鋭い爪に魔力を注いで
・・・・・・・・・・・・・・
毎朝、毎朝、壁やベットの柵、シーツに枕、
ドア、ソファー、僕のおもちゃに
棚、机、魔道具に床、天井!
まあ、とにかく部屋中を
寝ながら壊してるんだな・・・)
と僕は爪を一本飛び出させて
・・・ペンで書き入れを・・・
「・・・できた、後は術式を入れ・・・」
と一人言を言った瞬間
ガバッ!
「な、な、何してるんですか?レイ様?」
と寝ぐせで髪がボサボサのミーア
がビックリしたように起き上がって
こちらを見ているので
僕もちょっとビックリして
「い、いや、ミーアが爪で
物を壊してもバレないように
消音効果を付与したんだよ!は、はは・・・」
とまだ付与し切れていなかったのに
とりあえず言い訳をしてみると
「えッ?じゃ、じゃあ~もうバレないんですか?
ホントに?」
とミーアがいきなり足に魔力を貯め始めた!
「う、うそ!今、やるの?」
(ま、まずい!え~い!どうにでもなれ!)
と僕はミーアの爪の書き書けの術式に向かって
真空魔法を送り込んだ!
ミーアが長い足を振り上げ
カカト落としを壁に向かって
シュン!と振り下ろすと
スパ――――――ンッ!
音もないのに、床も壁も屋根も綺麗に切断された。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
僕とミーアがあまりの威力の蹴りに
ビックリしていると
ミーン!ミーン!ミーン!
朝のセミの声と共に
「「「「「1・2・3・4・5・・・・」」」」」
と朝から剣の素振りの練習をしている
獣人の子供たちの声が部屋に入ってきた。




