22 トラウマが・・・
22 トラウマが・・・
「・・・という訳なのです・・・」
「・・・ふ、ふ~ん・・・」
家族会議の後
僕はミーアと裏庭で僕の奴隷の人たちと
話すことになったので
僕らの周りを奴隷の子たちが囲んで貰い
今、目の前で話しているのは
長い木の杖を持った元村長の盲目の犬老人だ!
以前、住んでいた村は、
今まさにこの王国と戦争中の帝国との間にある
広大な深い森の中にあったらしい。
「よくあんな魔物だらけの森で
村を維持できていましたね」
とミーアが感心していたが
「い、いえ、それが、・・・
近くでダンジョンができていたみたいで
ある日突然、スタンピード(魔物暴走)
が起きたようなのです。
あっという間、村を追い出された我々は
亜人にも寛容な王国に来たのですが・・・」
食糧庫は襲われ、
深夜であったため村の男たちは寝巻のまま
何とか立ち向かうも、
やはり素手や木の棒だけでは
犠牲も多く・・・困っていた所をあの闇金が
良い人を装い近づいてきたらしい・・・
(・・・弱り目に祟り目とはこの事だな・・・)
と思うが、それよりも気になる事が
僕とミーアの姿を見た奴隷たちがやたらと
緊張している。
さっきまで笑顔で訓練していた子供たちでさえ
母親や兄弟と寄り添うように直立したままだ!
(・・・なんでだ?
座っていいって言ってるのに?・・・)
と思っているとミーアが
「とりあえず、レイ様。食料などを用意しましょう」
「そ、そうだね・・・でもこの人数だと・・・」
そう!とにかく改めて見ると僕の奴隷は
(・・・300はいるよな、食べさせなきゃ・・・)
そんな事を思いながら
「じゃあ、僕が・・・あッ!・・・」
「そうですね!どうしましょうか?」
家族会議で決まった事があったのだ!
・レイは当分の間、買い物をしてはいけない!
・領内から出てはいけない!
・奴隷の面倒はしっかり見る!
「では、私が買ってきますので
レイ様は家の方お願いします。」
「わかった・・・あッ後ついでに・・・」
と色々ミーアに頼むと、そのまま楽市へ行ってしまった。
僕は、知らない人たちと取り残された訳だが
(・・・家か・・・)
「こっちだよ!」
と僕は元村長の・・・
(え~と・・・なんだったかな?・・・)
「何って名前だった?」
「ド、ドナです。レイ様!」
「そうだ!ドナだった・・・」
と僕は新たに任命した盲目の村長ドナの手を引き、
奴隷のみんなを連れ
森の奥へと進んでいく。
するとすぐ後ろにいたドナに
ソックリの細マッチョの長剣もった男が
「あ、あのレイ様・・・
どこへ向かっているのでしょうか?」
と話しかけてくるが
「・・・・・・・・・・」
「・・・バッカです・・・」
「そうだ!バッカだった!村長の息子だよね!
今はこの先の沼地だよ!
水があるし、剣術の練習を朝からしても
だれにも迷惑かからないし、何より魔物がいるから
食べ物も困んないしね」
「・・・そ、そうですか・・・」
とバッカは返事をするが
「・・・そうだ!いくつか言っておく事が
あるんだけど・・・」
「は、はい・・・なんでしょうか?」(バッカ)
「・・・な、何でもおっしゃって下さい」(ドナ)
と親子で返事をするが
「僕は魔法が得意だけど、
人の名前を覚えるのが苦手だ!」
「「かしこまりました!」」
(おぉ~!返事良いな!)
「つ、次に・・・単純な農作業なんかは頼むつもりだけど、
空いた時間は、ダンジョンに潜るとか、
楽市で売り買いとか、後は好きにしていいから!」
「「はい!かしこまりました!」」
(お、おぉ~・・・なんでこんな気合入ってんの?
奴隷ってみんなこうなのか?)
と思いながら
「さ、最後に俺には迷惑をかけなでくれ!後が大変だから!」
「「はい!!存じております!!」」
「・・・ぞ、存じておるの?なんで?・・・」
と二人に圧倒されていたが
再び村のまとめ役にとレイに頼まれた
ドナと息子のバッカ、そして村人全員が
今朝早くの留置所のでの出来事を思い出していた。
まだ、陽も登り切らぬ、薄暗い朝!
ドナとバッカとその家族
そして他の家族たち300人と共に壁に沿って
グルッと大きな輪になって寝ていると
トンテン!カンテン!
トンテン!カンテン!
「急げ!早く柵を組むんだ!」
と隊長らしき年配の兵士が
若い兵士たちに奴隷の自分たちの寝ている
処刑場の真ん中に
太い丸太で出来た柵を作り始めたのだ!
がばッ!
「親父!なんだ?何の音だ?」
「わからん・・・木で柵を作る気配のようだが・・・」
と配られた毛布を退け
ドナ親子が警戒しながらも飛び起きると
「う~ん!お母さ~ん!どうしたの~?」
「大丈夫よ!良い子ね!よし!よし!」
と周りでも昼間、鉱山に売られそうになっていた
親子が自分の子供をあやしていた。
すると
「おい!おい!なんだよ!こんな朝から!?」
と自分たちを騙した闇金が鎖で繋がれたまま
連れてこられた。
ざわざわ! ざわざわ!
「あ、あいつは・・・」
「なんで、連れて来られたかしら?」
「ママ~!あいつだよ!!!」
と奴隷たちが闇金を見て
騒ぎ始めた。
しかし、闇金は怯える獣人たちを見て
「ふんッ!」
とバカにしたように笑う・・・
が隊長以下兵士たちも何も言わず
トンテン!カンテン!
トンテン!カンテン!
と作業をこなすだけだった。
やがて
「隊長!出来ました!」
と柵の完成を隊長に知らせてきた。
「よし!ソイツを入れろ!」
「おい!おい!なんだって、
わざわざ、鉄の牢屋から木の牢屋に
・・・っておい!(ドカッ!)ぐあッ!」
と蹴り飛ばされた闇金は木の柵の中に
入れられた!
そして
ガウ!
「ぎゃ―――ッ!
頼む!頼むから、止めてくれ!」
ガウ!ガウ!ガウ!
「ぐあ―――――!足が~!俺の足が~!」
と闇金が数匹の犬に噛まれ始めたのだ!
「親父!何がどうなってるんだ?」
「・・・わ、わからん・・・
な、なぜ犬をけし掛けとるんじゃ?
し、しかも、あの犬らは皆、空腹のようじゃぞ!」
とドナ、バッカ親子はヒソヒソと相談していると
隊長が柵に少し近づき
「やかましいぞ!静かに食われろ!
朝から騒いだら、レイ様が起きるだろ・・・
・・・・・・・・・・・・・・
いや・・・いや!いや、違う!!!!
違う!違う!ダメだ!もっとだ!
もっと悲鳴を上げさせろ!
レイ様をハメた事を、・・・
いや、生まれてきた事を後悔させてやるのだ!
犬だ!もっと犬を用意しろ!」
「兵士長!大変です! コイツがデブのせいで
足だけで、もう犬が満腹のようですが・・・
どうしましょう?首を跳ねますか?」
「ダメだ!ダメだ!
もっとだ!もっと餓えた犬を連れてこい!
こんな片足なくなった位の軽い刑では、
ミーア様が満足するとはとても思えん!
子供たちの誘拐事件も全く進展しない上に
間違いとはいえ、レイ様をぶち込んだのだ!
なんとしてでも、
闇ギルドの情報を全部吐き出させ
空前絶後の残忍な方法で殺さねば・・・
お前たちが危ないんだぞ!」
「は、はい!」と一人の兵士が走っていくが
残った兵士たちが
「ぐ、グスッ!す、すいません・・・隊長!
俺たちがレイ様を連行した上、
囚人や俺たちと同じ臭い飯
支給したばっかりに・・・」
と泣き崩れ、地面に倒れる者まで現れた。
「泣くな!やってしまった事は仕方ない!
あんな急場で闇ギルドの者どもが暴れたのだ!
仕方なかろう・・・
それより、何としてでもこの窮地を脱するぞ!
コイツを見せしめにレイ様や
他のご領主様ご家族に手を出した奴は
必ず報いを受けると領内中に
・・・いや、世界中に知らしめるのだ!」
すると先程、犬を連れに行った兵士が
4、5人の兵士と鎖に繋がれた
フゴ!フゴ!フゴ!
ジャララ! ジャララ!
「隊長すいません!もう犬がいないので
昨日、冒険者ギルドがしばらく預かってくれ!って
頼んできたブラックボア(黒い猪の魔物)なら
いたので・・・」を持ってきた。
「よし!それでいい!そいつを柵の中に入れろ!」
「はい!」
と兵士は柵の中で手を放し
「よせ!やめろ!やめてくれよ!
ギャ―――――!」
フゴ!フゴ!
バリバリ!ブチブチ!
ぐちゃぐちゃ!
「・・・が・・・た、たす・・・」
・・・ガタガタガタガタガタ・・・




