パラレルワールドペンギン物語
ペペーン、ペン!(読んでね!)
ペンギンが首を傾げて、
「ペペン、ペン?」
と言っています。
何て言ってるのかしら?
「冬はもう来たのかしら?」
ですって。
相棒のペンギンが応えました。
「ペペン、ペペン、ペン」
訳しましょうか。
「さぁ、来たんじゃなかろうかね」
此処は、ペンギンたちが暮らしている森。
そう、森なんです。
え、ペンギンは南極に住んでいるんじゃないかって?
実は森に棲むペンギンは実際に居るんですよ?
まあ、それはさておき。
此処に棲むペンギンは現実に存在するペンギンとはちょおっと違うんです。
実は魔法が使えるペンギンなんです。
ペンギンそれぞれがあの短い手で、実際には翼なんですが、魔法の杖を持って呪文なんか唱えてしまうんですよ。
このペンギンたちは何と空も泳げてしまう空飛ぶ魔法のペンギンたちなんです!
あ、ちなみに棲んでいる場所はある魔法使いしか知らない土地なんで悪しからず。
探そうと思ったら、時空の彼方、でしょうかね。
まさにパラレルワールドな世界でしょう。
えっと魔法が使えるペンギンたちの会話は続いています。
戻りましょうか。
「ペペン、ペン、ペッペーン」
やはり訳さないと私たちには無理ですね。
こう言っているんです。
「今年は地球という星の温暖化の所為で、この世界にまで温暖化が進んだように感じるよ」
意外と長台詞です。
ここからは、訳した会話を。
「だからか。冬は来たような、そうでないような感じがするのか」
「地球とこの星は、何故だかあの魔法使いが来たことによって、リンクしてしまったからね」
最初に首を傾けたペンギンはお空を見上げます。
今日の青空も、飛び甲斐がありそうな綺麗なお空です。
「早く雪が降るといいな」
「雪が舞う中、とても冷たいけど空を飛ぶのも乙だものな」
相棒のペンギン、ちょっとだけその様子を想像しているみたいで、短い翼をパタパタさせています。
「そうだ! 魔法で雪の精霊さんに聞こうじゃないか」
「賛成!」
二匹のペンギンの手に、いつの間にか杖が現れました。
一体何処から取り出したのやら。
「「ペペン、ペペン、ペンペン、ペッぺペペーン!!」」
二匹が魔法の呪文を唱えます。
訳したいですが、え、そんな事言ってるの?
ありゃ、こりゃ訳さない方がいいですね。
フォン!
と二匹のペンギンの前に魔方陣が現れて、その中心から雪の精霊さんが登場しました。
「ふぁ~あ。わたしを呼んだのはあなた方かしら?」
欠伸をしつつ彼女は愛らしくにっこりと笑って言いました。
「やぁ、べっぴんの精霊さん。雪が降ったら一緒に空を舞うデートでもしませんか?」
このペンギン、結構軽いです。
相棒のペンギンがベシコーン! とその頭を叩きました。
「失礼。雪の精霊さん。今年の雪はいつ降りますか? よかったら教えていただけませんか?」
「そうねぇ」
雪の精霊さんは、何かを念じる様に目を閉じます。そして瞳を開けると言いました。
「冬の神様が、この星に雪が降るのは六日後ですって今、言ってたわ」
二匹のペンギンは円らな瞳を輝かせました。
「良かった! 雪はちゃんと降るんだ!」
温暖化の心配していましたもんね、本当に良かったです。
きちんと六日後。
ペンギンたちの棲む森に、雪が降り始め見事に積もりました。
子どものペンギンたちは、空を飛びながら雪合戦の遊びを始めています。
大人のペンギンたちは魔法で大きな焚き火をこしらえ、魔法で出したホットワインを飲み始めました。
「ペペーン!!」
「ペッペーン!」
あの二匹のペンギンも空を飛びながらとても喜んでいました。
不思議な不思議な魔法が使えるペンギンたちの少し愉快な物語でした。
少し笑える童話となりました。
もうめちゃくちゃですが、お読みいただけたら幸いです。