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聖帝記~聖なる御子の邪神討滅記~  作者: めるりん
第1章 神託の御子
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第8話 夢見の神託

 運よく全員分の席を確保することが出来たので食事をしながら分配について考えるのかと思いきや。全員が食べることに集中してしまい会話をする間もありませんでした。


「あの、分配についてのお話はしないのですか?」

「ああ、する必要ないしな」

「あの二択は罠ってことではないのだけれど、基本的には一択なのおよ」

「後発の冒険者や騎士団からしたら、俺たちにこれ以上手柄を上げられたくないってのと、自分たちの収入が減ることになるからな」

「援軍要請でもない限りはゴブリン関係の報酬だけもらって、その後のことには触れない方がいいのよ」


「その話はいい!それより邪神についてた。あの話は本当なのか?」

「俺が知ってる話はすでにした通りだ。アフェットは何と聞いている?」

「まず、各国・教会・各ギルドの上層部は邪神復活を前提とした行動をしていると母上から聞いています。それとはっきりとはしない話なのですが神歴1000年丁度に復活するとは限らないという話です」

「復活する時期があいまいなのはなんでだ?伝承だと1000年なんだろう?」

「封印の強度など色々差があるので同時に復活とはならないようです。教会の本部はもしかしたら知っているのかもしれませんが、封印地がわからないので調査ができないという話も聞きました」

「冒険者としてはAランク以上じゃないと信頼されないということか、面白い。やってやろうじゃないか」

「私も同じ気持ちよ、邪神復活までにSランクを目指す」

「ランク上げには興味なかったが俺もA以上を目指してみるかな」

「そうそう、それでいいのよ!冒険者が邪神復活に対してより強い力を求めようとする、まさに英雄譚としてはいい場面ね!」

「メロウは変わらないですね」

「いい歌の題材あるところにメロウありよ!」


 メロウの気分が乘りここ数日で作りためた歌を聴いているうちに夜が更けてきました。村の食堂では足りてない椅子と机を店外にも設置しメロウの歌をバックにした宴会は夜が遅くなっても続き空には満月が優しく大地を照らしていました。


 私とメロウは比較的若いことから先に返されました。


「今日は楽しかったねー」

「メロウは数十曲歌っていたんじゃないですか?」

「いひひ、結構儲けたわ」

「お金を取ってたのですか?」

「借りた帽子を近くに置いておいたら勝手にはいってたのよ!」

「まあ無理がありますが、そもそもメロウは吟遊詩人ですしね」

「あーあ、今日が終わっちゃうなー、明日も楽しい日だといいなー」

「メロウのその考え方は素敵ですね。私も見習わなければなりません」

「そうだアフェット。今日は夢に出てくる神様に話しかけてみたらどう?」

「変わらないとは思いますが。メロウの助言を聞いて悪い方向に進んだこともありませんし。試してみるとしましょう」


 メロウの言う今日より明日が素晴らしい方がいいというのは素敵な考え方だと素直に思いました。


 メロウとの会話も終えて就寝したところ、いつもの夢を見ることができました。


 メロウノアドバイス通りに女神様?に声を掛けてみたところ


「・・・・・・・!」


 声は出ているはずなのですが、音声が全く出ていない感じになってしまいます。


「・・・・・・・・・・!」


 懸命に声を掛けてみたところ、女神様が驚いた気配をだしつつ此方に顔を向けてきたました。

その途端女神さまから凄まじい神威が発せられ意識が持っていかれたと同時に優しい声が聞こえました。


《あなたがこの世界に来るのはまだ早いです、わが月の愛し子よ。もう少し月の修行を積むことです。その時に再びで会うことが出来るでしょう》


 起き上がったらびっしゃりと寝汗をかいていました。見てはいけないものを見てしまったという恐れと同時にルナ様の優しさが私を包んでくれているという安心感があるという不思議な感覚です。


「メロウ、メロウ。起きて下さい!」

「なによアフェット、まだ深夜じゃないの。もしかして神託に変化でもあったの!」


 メロウに夢の内容を伝えたところ、これまで見たことないくらい大はしゃぎをしていました。


「要するに実力不足だと言われただけですが、そんなに喜ばしい内容なのでしょうか」

「何言っているのよ、神託よ神託! それにアフェットがこれまでいた場所は月の聖域の可能性が高いわね。これ一本で歌が作れる感じね!」

「アルニスさんが紹介していただける魔術師の方が月の魔術に精通しているといいのですが」

「まあ心配してもしょうがないわよ。神託を得たことは他の人にも話さないと」

「ギルドマスターやエーギル様にも報告しないといけませんね」


 そのままテンションが上がってしまい朝までメロウと話こんでしまいました。朝食を食べた後に集会所に向かっている途中でアルニスさんやローザさんとも合流しながら集会所に向かいました集会所にはすでにギルドマスターやエーギル様にアランさんもいました。


そこで夢の内容を話すと皆沈黙して考え事に没頭してしまいました。


「アフェットの話を総合するとアフェットは月の御子なのだろうな」

「御子の誕生などそれこそ数百年ぶりのことだ」

「つまりアフェットは対邪神にむけて神々からの援護ということですか?」

「逆に言うと善なる神々はアフェット1人にしか力を託せないほど弱っているということか」

「善なる神々は邪神との戦いで大きなダメージを負い、邪神の封印を継続し、その状態で魔術の管理も行っている、力を取り戻せていない可能性があるな」

「詳しい話は教会に聞かなければなるまい。聖都にも連絡を入れておく」

「王都にもダースティア伯を通じて話を通しておく」

「取り合えずアフェットは当初の予定通りにアルニスに鍛えてもらうといい」

「はい、色々ご面倒をおかけします」

「むしろ世界の平和をアフェットに頼む必要がある以上お前に対してはいくら投資しても足りないということはない。気にすることはない。」

「それより分配の話だ。お前達に分配されるのはキングの魔石分を除くと切りよく700万にした。好きに分配しろ」

「そ、そんな大金」

「まあ、こんなもんか」「ちょっと少ない気がするが」「参加人数考えたらこんなもんでしょ」

「金額に驚いてるのはアフェットだけみたいだよ」

「分け方はどうするんですか?」

「本来なら貢献度に応じてえ分けるんだが。正直面倒くさい。それにわざわざ700万にしてくれたんだしな」

「どういうことでしょうか?」

「つまりアフェットやメロウを加えた14人で割り切れる数字を用意してくれてるってことだ」

「つまり1人当たり50万」


「50万!」

「見たことない数字でアフェットが石化したわよ」


 私がきちんと貰わないと他のメンバーも貰えないと言われてしまい了承してしまいました。


 50万という大金に戸惑っている間にも旅立つ日が近づいてきています。


 周辺の討伐を終えた騎士団や冒険者の皆さんがダースティアへの帰路につく中、アルニスさんと[暴風の斧]と[六華の絆]の皆さんはまだ村に残ってくれています。

 どうも、ギルドマスターから私を安全にダースティアに行くまでの護衛を仕事として請け負っているそうです。


「インベントリが使えるんだろう。じゃあ全部持っていけばいいんじゃか?」

「まだ未熟なので私のインベントリは大きめの鞄くらいしかはいらないのですよ」

「じゃあ、最低限の必要な物だけ持っていけ、家は他の村人に譲るんだろう。なら家具や食器類は残しておいた方がいいだろう」

「アフェットって意外と整理出来ないタイプだからねー」

「ちょっと意外ね」

「何にでも大切な意味を見つけちゃうタイプなのよ」

「メロウの寝床にしてる籠は必要ですか?」

「当たり前じゃない、それが丁度いい大きさなのよ!」

「何でもいいからさっさとしてくれ、ギルドから馬車は借りれたが馬車でもダースティアまでは馬車でも10日くらいかかるぜ?」

「さっさと出発したいというアランの意見には賛成だな」

「も、もう少しだけ待ってください」

「時間も時間だし今日中の出発は無理そうだな。俺たちは酒でも飲んでくるわ」

「確かに明日の早朝に出発した方がいいか、私たちも宿に戻るとしようか」

「よかった、まだいたか」

「副団長さん、まだ出発してなかったのね」

「ローザ、君にお願いがあってな」

「要件は想像できるけど聖剣を手放す気はないですよ」

「一生苦労しないだけの金を用意できるが、それでも駄目かね」

「無理ですね。聖剣なんて手に入れる機会はそうそうにないわ。これを手放すなんてとんでもないです」

「聖剣は持つべき者の所にに在るともいうしな、まあ無理を言った自覚はある。ダースティア伯爵家では無理やりに徴収することはないからその点は安心してくれ。だが断るからには聖剣に相応しい実力を身に着けてくれ」

「それは言われなくてもなって見せます!」

「アフェット君もダースティアに来たら会うこともあるだろうしよろしくな」

「はい、エーギル様も旅のご無事をお祈りしております」

「アフェット君に祈られたら安全が確約された気になるな。それでは我らは先に帰還する」


 エーギル様達騎士団は遠征時の演習も兼ねてもうすぐ夜という時間に出発するようです。


「うーん。両親の位牌と聖書にメロウのベット代わりにしている籠だけもっていくとします」

「随分少ないがいいのか?」

「必要な物があればダースティアで揃えることにします」

「まあ報酬もそれなりにあったしな」

「50万もあれば慎ましやかに生きていれば10年は持ちそうですが。冒険者にとってはそれなりなんですか?」

「なんだかんだ俺たちはBランクとCランクだったしな、稼ぐのが難しい額ではないさ」

「アフェットの身分は今後どうなるの?」

「まずは冒険者ギルドに登録して見習い冒険者として働きつつ、見習い魔術師として修行を行い、見習い神官として神官名簿に登録してもらう感じだな」

「見習いばっかりね。アフェットが強かったら扱い変わってたの?」

「腕があろうとどんな組織だろうと最初は見習いさ、伝説に残るような英雄達だって最初は見習いだったもんさ」

「邪神が復活されていると言われる神歴1000年まで、もう4年しかないが。4年もあるとも言える。その間にアフェットを出来る限り鍛える」

「アフェットの意思が無視されてない?」

「邪神と戦うと宣言しているのだ、これくらいは我慢する必要はあるだろう」


 アルニスさんの言いようからアルニスさん個人が決めた方針では無く冒険者ギルドやダースティア伯爵家としての意見も混ざっているように感じました。


 邪神と戦うための修行は望むところなので頑張りたいと思います。


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