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聖帝記~聖なる御子の邪神討滅記~  作者: めるりん
第4章 帝国内乱
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第81話 ラッシュとの別れ

 4番目の巡礼地であるモートスに入った時にその知らせは入ってきました。


「レオン帝がジュリアン皇太子に殺されただと!」

「一体何がどうなってこんなことになったのでしょう」

「モリニス崩れが主原因という話ですが、どうも聖下達に対する暴言があったためそれが決定打になったとかいう話です。それによって廃太子になりそうになったので、レオン帝を暗殺しようとしたところ、それが露見したため、処分される前にということでレオン帝を弑逆したようです」

「なんてことだ、アフェット悪いが俺は一旦抜けて帝都に行く。なんとかジュリアン皇太子を説得してみせる」

「ラッシュよ、帝都に行ったらまず殺されるぞ」

「これでも、ジュリアン皇太子とは付き合いが長いんだが」

「そういう問題ではないのだ、ラッシュは完全に聖下派と見られている、内乱状態になっているということは聖国が戴冠を認めてないということだ、そんな中聖下派と見られているラッシュが行けば良くて人質、悪ければ処刑だぞ。ジュリアンは帝都管区大司教を殺してる事を忘れてはいかん」

「むむむ、しかし帝都には俺達の家族もいる。それに俺はジュリアン皇太子を信じたい」

「後悔することになるかもしれんぞ」

「それでもいかない訳にはいかん」

「ラッシュ、私には無理に止めることはできません。帝都の状況が分かりませんのでお気を付けください」

「これでもSランク冒険者だぜ、何があっても逃げるくらいはできるさ」

「ラッシュ気を付けてね」

「おうよ!」


 そう言ってラッシュ達[彷徨の剣]とは別れることになりました。正直寂しデスがそれ以上に不安感がありました。


「それでは聖下。寂しいのは分かりますが巡礼を終わらせましょう」

「そうですね。ではメロウいきますよ」

「うん……」


 ラッシュとの別れにメロウも寂しく思っているようで元気がありませんでした。しかしこの当時の私達は再びラッシュと会えると思っていたのですが、それが甘い考えだったとは考えてもみませんでした。

 モートスには邪神となったヘーパイトス様の神像が今も立っています。聖都の神殿にも邪神となった神々の神像が残っているのですが、何故撤去しないのか不明です。一度そのことを法王にも聞いたのですが法王にもわからず、ただ壊してはいけないということだけは伝わっているそうです。


 モートスの地下墓地にはスケルトンロードがいなかった為すぐに討伐が完了し虎の守護獣を解放することに成功しました。しかしモートスは邪神となった雷の神ヘーパイトスを祭る巡礼地だったこともあり守護獣からは嫌われてしまいました。


 墓地から出たら地上の掃討も終わっていたのと、まだ昼に入ったばかりだったので次の巡礼地である時の神を祭るグラースに向かうことにしました。


「一泊してからでもよかったのだぞ?」

「ラッシュが心配です。早々に巡礼を終わらせて帝国の内乱を収めないといけません」

「実際にどうなんだ? ラッシュ程の者を殺すとなるとかなり難しいが」

「皇帝や王との謁見では武器を持てないからな、流石のラッシュでも素手では戦うのも限度があるだろう」

「しかしラッシュを殺す意味なんてなくないか?」

「ジュリアンがアフェット聖下を敵だと思っていた場合は聖下に近いラッシュを殺しておこうとするかもしれないな」

「取り合えず巡礼を終わらせて聖国としての態度を統一しましょう」


 昼過ぎにモートスを出発し何とか夜が更ける前にグラースに到着することが出来ました。流石に夜にアンデットを復活させるのは危険ということで一泊してから巡礼の続きをすることにしました。

 何事も無く朝を迎えた為朝食後に改めて時の神スクルド様の神像に向かいます。そうするとこれまでと同様に下に向かう階段があったため、アンデットの被害を防ぐ為に村人を家から出ないように現地の聖騎士であるロッテルさんとミオナ司教にお願いをして地下に向かいます。


「私もラッシュ達を心配ですが、メロウもそろそろ元気をだしてください」

「むー、なんか良くわかんないけど凄い心配なのよ」

「それは私も不思議と心配な気持ちが大きいですが」


 メロウと話しながら階段を下っていると、オーブを持った時の神スクルド様の神像がありました。これまで通りオーブに魔力を込めると、これまでと同じく下へ行く階段が現れました。


「なんかいつも通りって感じよねー」

「そうは言いましても違うことが起こると、それはそれで心配ではないですか?」

「そりゃそうだー、じゃあいくわよ」

「ええ、行きましょう」


 メロウも戦闘へのスイッチが入ったようなので早々に下に下りて扉を開けます。そして開けたとたんに剣で斬りかかられました。完全に油断をしていた為スケルトンロードから袈裟で右目から斬られてしまい神具を装備している肩でなんとか止まりましたがかなりのダメージを負わされました。その後追撃を受けそうになりましたが何とかパシフィスで受け流すことに成功しました。


「アフェット無事!?」

「なんとか無事です。メロウ回復をお願いします」

「ええい、詠唱無しアフェットを癒せリカバリー」


 メロウのリカバリーで右目が回復したので反撃に移ろうとするも、個体差と私のダメージともあって互角の戦闘を繰り広げることになってしまいました。


「メロウ、周囲のスケルトンをお願いします」

「それはいいけど、スケルトンロードがもう1体いるよ!」

「それはまずいですね、パシフィスよ私に力を!」

「おおぅ、パシフィスが神剣になった!」

「神衝剣パシフィス、改めてよろしくお願いします。では行きます!」


 私の突きを逸らそうとしたスケルトンロードの剣が砕け散りそのままコアを貫くことに成功しました。


「うわぁ。つよ」


 メロウが呆れたような声を出したのを聞きつつもう一体のスケルトンロードに攻撃をしたところ簡単に倒せました。その勢いのまま周囲のスケルトンを一撃で倒すことが出来簡単に討伐に成功しました


「アフェット、それ強すぎ」

「神衝剣パシフィスですね。神具の強さは知っているつもりでしたがここまで変わるとは」

「しかしこれはこれで格好いい歌が作れそうな予感」

「取り合えず闇のオーブから守護獣を解放しないといけませんから探しましょう」

「もう見つけてます!」

「言ってくださいよ、時の守護獣は羊のはずですから地面においてください。メロウ潰れてしまいますよ」

「あわわ、床に置いたよ」

「それでは聖属性の魔力を込めてしまいましょう」

「はいよ」


 私とメロウが二人掛りで魔力を注いだ結果、早々に羊の守護獣が現れました。守護獣を連れて墓地の外に繋がる扉を出たところ仲間達が待っていましたが、私が血だらけなのを見て、ナディアと信心篤いフェイ大司教に同じく信仰心の塊といえるオラヒリスさんが倒れてしまいました。

 私の油断もあり大怪我をしたことをフェイ大司教やアルニスさんに怒られつつパシフィスが神剣に進化したことを祝ってくれました。流石にそのまま次の村に行くわけにもいかなかった為グラース村に一泊することにしました。


 翌日は残念なことに雷雨だった為グラース村に足止めされることになりました。私の出血が多かったこともあり逆に回復する時間を取れてよかったとミリー様やフェイ大司教が言っていました。私の負傷自体は癒えていましたが、その日はずっとベットに押し込まれナディアに看病してもらうことになりました。


 昨日の雷雨が嘘のように今日は快晴になりました。朝食を済ませた後にヤスの村に向かって馬車で向かいました。道中で久しぶりに盗賊が現れた為フェイ大司教が蹴散らした上で説法を行い改心させていた為ヤスの村に着いたのは既に日も沈みかけた夕方になりました。聖騎士のブライトさんと司教のポップスさんの挨拶を受けて、翌日の予定を相談してその日は就寝しました。


 翌日に昨日に相談した通りに村人には家に籠ってもらい私達の仲間と聖騎士が村の各地に散ってもらい、その上で私とメロウが風の神ゼピュロス様の神像の前にある地下に下りる階段を下って行きました。


「もしかしてなんですが」

「なにが?」

「巡礼地に聖騎士が配備されてるのって、私達が地下で戦ってる間に地上に現れるアンデットと戦う為なんじゃないですかね」

「あー、確かに」

「正直資格が無いと入れないですから、外から村を守るには過剰戦力なんですよね」


 メロウと会話してるうちに、オーブを持った風の神ゼピュロス様の神像を見つけました。オーブに魔力を加え現れた階段を下っていると地下墓地に到着しました。


「アフェット、今度は油断しちゃだめだよ」

「メロウも気を付けて下さいね」


 お互いに注意を促しながら扉を開けると、まだスケルトンは出現していませんでした。油断せずパシフィスを構えながら進んでいくと、周囲の地面が盛り上がりアンデットが現れました。


「メロウ!」

「ほいよ、穢れた地面に浄化の光を『ホーリーパワーサークル』」


 メロウの魔術で弱いアンデットが浄化される中浄化されないアンデット達に向けパシフィスで突いたり斬ったりと攻撃を加えたところ3分ほどでアンデットを倒すことが出来ました。


「アフェット強い! もうスケルトンロードは敵じゃないわね」

「パシフィスが神剣化したのが大きいですね、それでは闇のオーブを探して守護獣の解放をしましょう」


 メロウと一緒に闇のオーブを暫く探していましたが中々みつかりません。


「ねえアフェット」

「見つかりましたか」

「あたしを咥えているのがもしかして守護獣じゃない?」

「だ、大丈夫ですか?」

「なんか甘噛みされてる」

「闇のオーブに封印されていなかったのですか。取り敢えずメロウを返していただけますか」


 風の守護獣である鷹は私の肩にメロウを預けると外へ向かうドアを開けるよう催促されたのでドアを開けたところ仲間達が待っていました。


「恐らく空を飛べる鷲だからニムギスも捕まえることは出来なかったんだろうな」

「なるほど、そもそも何で闇のオーブに閉じ込めているのでしょう」

「流石にそこまではわからんがな」


 ヤスの村の巡礼も終わり残りは6か所になり半分が終わりました。




 



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