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聖帝記~聖なる御子の邪神討滅記~  作者: めるりん
第1章 神託の御子
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第4話 ゴブリンキング

 ゴブリンの死体の処理をしている間にキング探しをしていた[六華の絆]のキャスさんと[暴風の斧]のヘスさんが戻ってきました。


「慎重というか臆病というかいまいち分かりにくいけどキングの居た場所は分かったわ」

「流石キャスさんでした、私では見落としてしまいそうな痕跡を見事に見つけていました」

「まあこれでもBランクだしね。キングについてだけどゴブリンナイトやゴブリンウィザードを引き連れてたわ」

「ナイトやウィザードを連れていてもこの14人なら問題ないでしょ、居場所が確定してるなら夜になる前に襲撃しましょう」


 ローザさんの激に皆が答え一気に歴戦の戦士の顔に変わりました。私は情けないことにちょっとひるんでしまいました。


「14人ってそこのお嬢さんと妖精も連れて行くの?」

「マイナス面よりプラス面が勝ると私達が判断したわ。戦闘中はキャスとヘスが護衛するように」

「リーダーが決めたなら不満はないですが、あなたは大丈夫なの?」

「あ、足手まといにならないように頑張ります。キャスさんヘスさんよろしくお願いします」

「何か新人冒険者の育成する気分ね。あと頑張らないでいいわよ、頑張りすぎてる人ほど狙われるしね」

「それじゃあ挨拶も終わったみたいだし早速行くわよ」

「それでは私は道案内をします」

「キャスとヘスが調べてるはずだから必要ないわよ」

「地元の地形に詳しい者がいた方がいいっていう話でしたが」

「アフェットの頼みを聞いてあげたいアランが適当に言っただけよ、アフェットはヒーラーとしての仕事だけ気にしてればいいわ」


 どうも私の我が儘を聞くためにアランさんに気を使わせてしまっていたみたいです。


 合計で14人になりましたので一応メンバーの確認をしておきます。私ことアフェット、聖属性の回復術士です。 メロウ、妖精の子で歌が大好きな子です。アルニスさん、精霊術と弓を得意とし両者を組み合わせた精霊弓という技の使い手です。

 Bランクパーティー[暴風の斧]リーダーのアランさんは大きな斧を使うBランク冒険者です。他には槍使いのトーマスさん、風の魔術が得意なローランさん、大盾持ちのディフェンダーのデュランさん、後はスカウトのヘスさんですが所属している実力派PTです


 同じくBランクパーティー[六華の絆]リーダーは片手剣と風魔術を併用するローザさん。PTメンバーは大盾でディフェンダーのアンナさん、水と土の魔術が得意なミランダさん、私と同じ聖属性の回復術士マリーアさん、大剣の両手剣を使うメルフィーファさん、最後に一流のスカウトのキャスさんです。


 早速山に入ったのですが正直高ランク冒険者を舐めていたのかもしれません。田舎の山奥育ちの私がついていくのがやっとのレベルで道なき道を走っていきます。基礎体力は負けてないとどこかで思っていましたが勘違いもいいところでした。


 それは兎も角として、キング狩り開始です!


 山中を猛スピードで駆け抜けること2時間。夢中で追いかけてたのですがキャスさんの合図で全員が急停止しました。


「キャス。近いのか?」

「近い、このスピードだと30分で遭遇戦になる。ここからはスピードを緩めて距離を詰めていこう」

「私は全くわからないのですがキングの足跡でもあるのですか?」

「キングかははっきりしないが上位種がかなりの数歩いている形跡があるわね。まあ素人にわかったら私の仕事なくなっちゃうわ」

「数はどれくらいなのでしょうか」

「少なくとも上位種が30以上いるわね。キングは厄介だけど、まあどうにかなるでしょう」


 上位冒険者が大丈夫といえば、本当にどうにかなる気がします。実力に裏打ちされた経験が安心感をあたえてくれるのかもしれません。


 それから数十分歩いたところ大きめの洞窟の入り口が見えてきました。その洞窟の前には50匹ほどの上位種を含むゴブリンと。ひと際大きいゴブリンがいました。


「アフェット。あの洞窟は前からあるのか?」

「いえ、あのような洞窟があったら魔物の住処になってしまうので定期的に潰しているはずです」

「つまりゴブリンウィザードがいる可能性があり、洞窟を密かに作り上げ眷属を増やしたってことかしら」

「魔術を使えるキングもいた記録はあるから確定ではないが、ウィザードへの警戒も必要だろうな」

「洞窟内で戦いたくないし、さっさと仕掛けるわよ。先に上位種を叩きたいから、アラン、アンナ、メルフィーファはキングを抑えなさい。アフェットは後衛についてキャスとヘスが護衛。デュランは中衛を守りつつアフェットも気に掛けること他の皆は一気に上位種を潰すわよ!」


 ローザさんの言葉と共に皆が一斉に動き出しました。上位パーティーの名前は伊達ではなく私とメロウという足手まといを抱えていてもまるで問題なさそうです。


「(意外と上位種が強い。掃討に時間が掛かってる分キングと当たっている3人が心配ね)」


ゴブリンキングが振るった剣がアランさんを襲いふきとばされました。


「ぐぅぅぅあ」

「アランさん!」

「アフェット、重症ではない回復しちゃだめ!」

「聖なる力を司りし女神イシュタルよ、我が魔力を代価とし傷を受け傷つきし者を救いたまえ『ハイヒール』」


 キャスさんに止められていたようですが、思わず回復してしまいました。


「アフェットにターゲットがいくぞ!皆キングを止めろ!」


 その言葉で自分がしてしまった失敗を悟ったとともに、思わず見てしまったゴブリンキングの恐ろしさに体が震えてしまいました。


「アフェット、邪神を倒すんでしょ速く正気になりなさい!」

「アフェット一旦引け!」

「だめだ威圧に掛かってる!」

「キングを止めろ!」


 私の方を見ていたゴブリンキングが一気に走り出しました。


 ヘイト管理という言葉があります。意味としては敵の敵意を上手くコントロールしてディフェンダー等の前衛に敵の攻撃を集めることです。魔物も馬鹿ではないので、攻撃をしなくても回復をする者のような厄介な相手に強いヘイトを持つようになります。

 つまり魔物も敵を倒す順番を選ぶからこそヘイト管理が重要なのですが、私が迂闊に回復魔術を使用してしまったことでヘイト管理が崩れてしまいました。


 ゴブリンキングが私に向かって走ってくる間にそんな基本的なことが頭をよぎっていました。


 ようやく頭が働くようになったのはいいのですが、足が震えてまともに動けません。


 ゴブリンキングはメルフィーファさんの攻撃を無視し、アンナさんを正面から吹き飛ばしてデュランさんまでも吹き飛ばし私の目の前まで来ています。


 私の頭が再び真っ白になりそうになった時周囲に眩い光が輝きました。


「アフェット。いつまでも惚けてるんじゃないわよ!」

「今のはメロウの太陽の魔術?」

「そそ、今ので一時的に視界を奪ってるから、安全な位置まで引くわよ」

「そうですね。そうします。皆さんご迷惑をおかけしました」

「詫びは後にしな」

「しかしメロウちゃんの太陽術は使えるな」

「取り敢えずは立て直しだ!アランはいけるのか?」

「おうよ、無傷になってるしな」

「それではトーマスも加えて4人でキングを抑えろ」

「上位種の数も減っているが通常の上位種より強い。油断せずにいくぞ」


  ゴブリンキングに4人掛りになったことで安定性はましましたが、よくわからない不安感があります。


「アフェット怖いの?」

「怖いことは怖いのですが、何か不安感がありまして」

「不安感?」

「説明は難しいのですが、あのゴブリンキングが普通ではない気がしまして」

「うーん、ゴブリンキングなんてそもそも普通ではない気もするけどなー」

「ですので説明が難しいのです」

「アフェット」

「キャスさん?」

「その感覚は大切にしなさい、それとあなたが何か違和感を感じたならそれを周りに伝える義務がある。自分が素人だとかゴブリンキングが初めてとかさっき失敗したとか関係ない」

「キャスさん、わかりました。ローザさんそのゴブリンキングは何かがおかしいです。警戒を厚くしてください」

「アフェット? 違和感の正体はわかる?(立ち直りが早い、キャスあたりが何か言ったか?)」

「はっきりとはわからないのですが、目がおかしいと思います」

「目?」

「ローザ、ゴブリンキングの目から強い邪気が出ています!」

「マリーア。なるほど聖職者だからわかることか」

「ローザ、直接攻撃してるがまるでダメージが通ってない普通じゃない!」

「アフェット邪気に注目して再びゴブリンキングを注視してくれ」


「ゴブリンキングの全身に邪気が覆っていて、それが武器の通りを悪くしているみたいです」

「普通のゴブリンキング退治だと思っていたらとんだ大物退治になってしまったわね。戦闘開始前にアフェットに支援魔術を使って貰えばよかったわね」


 そうローザさんが独り言ちた頃。ぽつりぽつりと雨が降り始めました。


 上位種も仕留め終わりゴブリンキングとの決戦に挑むという前に私はひとつの魔術を思い出しました。


名前を考えるのが一番時間かかります。アフェットは経験不足なので行動が未熟です。

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