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聖帝記~聖なる御子の邪神討滅記~  作者: めるりん
第1章 神託の御子
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第3話 戦闘終了

「まずいぞ。門がきしんでいる」

「もう門を守るのは無理だ」「これ以上は持たないぞ」


「やむを得ん門を放棄し防衛ラインを下げろ。村の中に誘い込んで包囲して仕留めるぞ」

「確かに潮時だな。キングの姿すら見えないのでは逆転の気も伺えないな」

「アフェットここからはお前の働きが重要になる頼むぞ」

「わかりました。治療なら任せて下さい」

「あたしも力になれればいいんだけど」

「メロウはいてくれるだけで元気になるから、負傷者を励ましてあげて下さい」

「アルニス殿すでに何匹たおされた?」

「三桁から先は数えていないな、にも関わらずキングの姿を未だに見つけれていないことが気がかりだ」

「村長。南門に回っている可能性はないでしょうか?」

「南門の門前は開けているから隠れる場所はない、見つかればすぐに合図がくるはずだ。取り敢えずは見えないキングより迫るゴブリンを優先する。アルニス殿はキングにも気を掛けて下され」

「了解した。村長殿は陣頭指揮をお願いする」

「むろんのことゴブリン共に我らの村を蹂躙させぬわ」


 二人が拳を合せそれぞれの持ち場に急ぎました。私は回復役として待機しつつ護身のためのレイピアをすぐ抜けるようにしておきます。

 ゴブリン共との睨み合いの時間が長かったことから援軍の可能性も考えて村人は避難していません。一応村で一番大きい建物である村長の屋敷や集会所に退避してもらって、かつては凄腕だった村人に守ってもらっています。

 私がいるのは村の救護所でここにも凄腕の村人に守ってもらってますが油断は大敵です。


「ジュールさん、外の状況はどうなっていますか?」

「まだ防衛ラインで踏みとどまっているがいい状況とは言えないな。アフェットも腰の剣を抜けるようにしておけよ」


 救護所を護衛しているジュールさんとお話をしていると怪我人が運ばれてきます。右腕が半分以上千切れて頭部からも出血をしています、


「聖なる力を司りし女神イシュタルよ、我が魔力を代価とし傷を受け傷つきし者を救いたまえ『ハイ・ヒール』」

「アフェットかすまないな、防衛ラインが決壊寸前だこのままでは村を守りきれん。アフェット悪いが前線で治療をしてくれ」

「ちょっとまってよ!ヒーラーが前線に何か行ったら敵に最優先で狙われちゃうじゃない!アフェットは多少は戦えるけど敵が殺到したらどうにもできないわよ!」

「メロウ心配してくれてありがとう。私は前線に出ます」

「アフェットあんたは戦場の気に引っ張られてるのよ!前線に何て行ったらゴブリンにズタボロにされるわよ。それに村長から指示があったわけじゃないでしょ。勝手に動いたら指揮官に混乱を与えるだけよ」

「その通りだ! いいこと言う嬢ちゃんだぜ」

「誰よあんたら!」

「恐らくお前さんらが一番欲しかったものだ」

「どういうことでしょうか?」

「つまり、援軍だ」


 戦線が崩壊する直前に援軍が間に合ったみたいです

 しかし数名しかいないのですが、ここから態勢を立て直せるとるのでしょうか。


「援軍はありがたいですが、予定だと速くても明後日だと思ったのですが」

「ギルドからの緊急依頼だったからな。馬を何頭も乗り継いだのさ」

「そうでしたか、しかし数名の援軍ではこの状況は立て直すのは難しそうですね」

「おいおい、お嬢ちゃん上位冒険者を舐めちゃいけないぜ、あの程度の数のゴブリンならPTで掛かればどうにでもなるさ」

「上位冒険者!」

「俺たちはBランク冒険者パーティーの[暴風の斧]だ、俺はリーダーのアランだ個人としてもBランクの冒険者になる」

「でしたら急いでいただかないと、前線が崩壊寸前なんです。あとついでなんですが私は男性です」

「まあ、慌てるな俺たち以外にも[六華の絆]がすでに来ている。悔しいが俺たちより強いからすでに前線を押し返してるだろうよ」

「そうでしたか、焦ってしまい無礼にも名乗りもせず申し訳ございません。私はアフェットと申します」

「まあ村が襲われて焦るなって方が無理だからな気にするな。それより怪我人が連れて来られるみたいだな」


 その声の通り数名の村人が運ばれてきます。私は会話を切り上げ負傷者の元に向かいます


「聖なる力を司りし女神イシュタルよ、我が魔力を代価とし傷を受け傷つきし者たちを救いたまえ『エリアハイ・ヒール』」


 私の魔術と共に大怪我を負っていた村人達の負傷が癒えていきます。しかし、血を多く失っていたことから再び参戦するのは不可能でしょう


「見事なものだ、それほどの聖属性の使い手はそうはいないだろう」

「そうなのでしょうか?」

「まあこの村は小さな村だから比べる他人が少ないだろうしな、じゃあ俺たちはそいつらの抜けた穴を埋めてくる」

「よろしくお願いします」


 後ろ向きに親指を上げたその姿勢はありがちながらも、とても恰好よく映りました。


「私もあんな風になれるでしょうか」

「無理よ!」

「メロウ。そんなにはっきり否定しなくてもいいじゃないですか」

「っていうかああいうのは前衛系の人がやるから絵になるのよ。それより歴戦の戦士って凄いわね」

「何がですか?」

「だってちょっと会話しただけで、あたしもアフェットも緊張収まってるじゃない」

「そう言われてみると先ほどまでの焦燥感が無くなっています」

「そういえばもう一つパーティーが来てるって話だったわね」

「[六華の絆]と言っていましたね」

「女性だけでPTを組んでいる変わり者ね、Bランクパーティーでも上位に位置する実力者ってきいたことあるわね」

「誰から聞いたんですか?」

「行商人からよ」


 その後新たな負傷者は現れず、しばらくすると戦闘音もなくなりました。


 東の空が明るくなり始め、その明かりを見ているとゴブリンの撃退も相まって希望の光にみえました。


 激しかった戦闘音が消え。勝鬨の声が聞こえます。どうやら戦闘は終わったみたいなので、私も防衛の最前線に向かいました。


 凄まじい数のゴブリンの死骸が散乱しています。魔石の取り出しや討伐部位の切断にかかる時間を考えると気が遠くなりそうではありますが、これほどのスタンピートで死者が出ていないことを今は喜びたいと思います。


「アフェット。丁度呼びにやろうと思っていたところだ。重傷者はいないが軽症者は結構いるから頼む」

「了解しました。聖なる力を司りし女神イシュタルよ、我が魔力を代価とし傷を受け傷つきし者たちを救いたまえ『エリア・ヒール』」


 私の魔術の発動と共に村全体を聖なる光が包み負傷者を癒します


「いやいや、ありえないでしょ。なんだこのエリアヒールは」

「ローザか俺もさっき見たがそっちの目から見てもありえないか」

「まず範囲が広すぎる。効果が高すぎる。それでありながら本人に疲労が全く見られないわ。」

「同感だな。少なくとも辺境に埋もれているべき人材ではなかろうに」

「まあ、それは後の話だな。未だにキングが見つかっていない。」

「うちのヘスとそちらのキャスに森に入ってもらおうかと思うが」

「ヘスは個人としては確かCランクだったな。うちのキャスが先導する形ならいいわ」

「じゃあ早速それで手配する。後からくる連中にキングを譲るなんて勿体ないからな」

「私はあまり拘らないけど、それでもキング討伐の称号は素直に欲しいわね」

「アルニスはそれでいいか? 先に到着してたのだし先着権を主張できるが」

「俺はソロだからな。流石にソロでキングを倒すのは厳しいな」

「じゃあキングを見つけたら俺たちと一緒に臨時パーティーを組もうや、あんたほどの人がいるとこちらも楽だ。」

「いいだろう。こちらとしても願ってもないしな」


 熟練の冒険者さん達によりこれからの手筈があっさりと決まっていきます。


「あ、あの」

「どうしたアフェット?」

「私も討伐に連れて行っていただけないでしょうか?」

「論外だな、自衛が出来ないヒーラーを前線に連れて行くわけにはいかない」

「うーん、自衛が出来ないとなるとちょっと厳しいわね」

「俺はいいと思うぞ。地元の地形に詳しい人間がいるのは助かるだろし。辺境暮しだ山を歩けないわけではあるまい。」

「まあこれだけ人数がいたらキングを見つけた後のスカウトの手が余るから、その子の護衛に当ててもいいかもしれないわね」

「お前ら本気か?」

「正直ヒーラーが足りているとは思えんしな、あの聖魔術は欲しい」

「私も12人でヒーラーが一人なのはちょっと不安ね。多少足手まといでもあの聖魔術は欲しい」

「お前らがそう判断するならいい、俺もアフェットを援護出来る立ち回りをするとしよう」

「すみません、我が儘を言ってしまって」

「合同パーティーでリーダー達の話合いで決まったことだ気にすることはない」

「アルニス、アフェットが行くならあたしもいくわよ!」

「まあメロウが増えても大差ないから構わないさ」

「まああたしの力でキングなんていちころよ!」


 徹夜明けではありましたがキング級を討伐するという高揚感で疲れが吹き飛びました


 対ゴブリン戦は防衛から攻勢に転じる時がようやく来たようです。 


パーティー名は[ ]で表記しています。ちなみにゴブリンの死体はPTメンバーと村人が頑張って処理しています

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