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第29話 順調には進まない道中

「俺と決闘しろこの下民が、ナディア殿下に相応しいのはこの俺だ!」


 2回目の台詞が聞こえましたが誰も動きません。ナディアはややイライラしていてメロウは目をキラキラさせていてミリー様は興味なさげで、アルニスさんはほっといていいのか気になってる様子です。


「あの、ほっといてもいいのですか?」

「構ってしまうと彼が大変なのです。今の状況では誰に下郎などという言葉を言ったかを誤魔化すことも出来なくもないですし」

「恐れたかアフェットさっさと出てこい」

「無理になりましたね」

「正直頭の悪い人間に構いたくはないのだが」

「しかし殿下との婚姻に文句をつけているということは無関係の人物ではないのだろう」

「私の婚約者はアフェットが最初で他の婚約者と縁を切ったとかそういうことが無い以上無関係な他人です。むしろ私達の関係を引き裂く敵です」

「これは私が出て行かないとまずいでしょうか」

「むしろアフェットが出て行って王国貴族が聖人に罵詈雑言を吐かれると王国が困ります。少なくとも出発が数日遅れることになりかねません。なので、このまま馬車で引いてしまってはいかがでしょうか」

「ナディアらしからぬ言い様だが気持ちはわからないではないな」

「この状況を解決するなんて簡単よ!」

「頼りたくないが意外と頼りになるメロウの意見を聞こう」

「何か気に障る台詞だけど、簡単よ。余計なこと言わさずにアフェットが圧倒的に倒してしまえばいいのよ。その際は相手が余計な事言う暇を与えずにナディアへの愛を高々と述べるのよ。きっとこの状況を見た人は馬鹿貴族の悪口雑言よりアフェットの愛の言葉が印象に残るって寸法よ!」

「それはひたすら私が恥ずかしい気がするのですが」

「でも。さっさと行くにはあの邪魔な人どかさないといけないじゃない」

「地味に私も恥ずかしいのですが」

「王族なんだから愛の物語が巷間に流れるのは仕方がないことなのよ」

「何気に歌の題材としたいだけにも見えるがそれでいいんじゃないか?」

「そうねちょっと興味も出てきたわ、じゃあアフェットさっさと倒してきなさい」


 そう言われ馬車から放り出された私は例の貴族と対面します。取り敢えず悪口を言われたら愛の言葉を重ねればいいという難易度が高すぎるミッションが課せられました


「臆病に」

「わが愛するナディアとの間を邪魔しようとするとは貴様はなにものか!」

「わが名はランドルフ伯が嫡子ラドクリフだ貴様が卑怯にも」

「私の愛するナディアとの間を割くために現れたというのならば容赦はしない」

「俺の発言をさえぎる」

「わが名はアフェット・フローズン・メル。愛する者の為に戦おうではないか!」


 こんなやり取りを暫く続けたあと剣を抜くまでも無かったので殴ったらどこかに飛んでいきました。馬車に戻ったら顔が真っ赤なナディアがいてとても可愛らしかったです。


「さて、予定より30分も遅れてしまいましたが出発すると致しましょう。あんなののせいで30分も遅れてしまいましたが」

「でもお陰でアフェットからの愛を叫ばれて嬉しかったんじゃない?

「まあ差し引きでプラスということにしましょうか」

「まあナディアの百面相が見れた分面白い出し物だったな」

「というか素手のアフェットにあっさり負けるとか王国貴族のレベルの低さが心配になるな」

「まあ今のアフェットならBランク冒険者でも殴り倒せそうだしな」

「たった1年鍛えただけでこれなんだからすごいものだな」

「目的意識がしっかりあるからな、実際ゴブリンキングとの戦いて邪神復活を信じた冒険者達もランクを一気に上げて行っているだろう」

「確かにな、俺も早くSランクになりたいが、弓術師向けのランクアップはこの辺だとアイリーじゃないと受けれないからな」

「Sランクになれれば聖具を借りれるのですか?」

「俺の場合はエルフとしてはまだまだ若造だからな、その辺がどうみられるかだな」

「心配あるまい。アイリーの上層部も邪神復活については分かっているはずだ、使えそうな若者がきたら渡すだろうよ」

「そうだといいのだがな」

「ところでさ、なんで聖都いくの?」

「今更!」「まあメロウだしな」「メロウは相変わらず軽いなー」

「だって何となく行く流れになってたし」

「まあ説明すると政治的には聖人認定されている二人を招きたいということです」

「後は聖国が所持する聖具を手に入れておきたいというのがあるな」

「神官としての修練を中途半端にしかしていないので詰込み教育で大司教か出来れば枢機卿の位階を私達に渡したいらしいです」

「まあ忙しそうではあるな」

「これじゃあ暇ないじゃない」

「あると思っていたのですか?」

「ナディアやミリーはその間何するの?」

「聖国には聖流剣と言われる剣術の流派があるのでそこにお邪魔をして修行をしようかとおもっています」

「私は聖都にある大図書館だな禁書庫もアフェットとメロウがいれば立ち入りが出来るだろうしな」

「何も考えてなかったのはあたしとアフェットだけか」

「私も仲間にしないで下さいよ。私は聖都にあるという聖杖イーリスを手に入れるための試練を受けたいと思っています」

「えぇ、アフェットの裏切りものー」

「聖都は人種の坩堝だ。色んな歌を仕入れれるんじゃないか?」

「ナイスミリーそれいただき」

「まあ旅は始まったばかりですし、聖都までは40日近くもありますし急いで決めなくてもいいでしょう」

「しっかし長旅になると話題が減ってくのが困るわよね。お勧めの話題を提供する執事とかいたら需要ありそうよね」

「実際に主人が退屈しないように工夫する執事は結構いますが大変らしいですね」

「執事やメイド同士で話題を交換しているうちに自家の内情が漏れてしまったりすることもあるらしいな」

「なので貴族は退屈でもひたすら我慢するものなのですよ」


 出発してから10時間。流石のメロウすらも黙ってしまったところで、ようやく到着です。本日宿泊するのはノーフェラント公爵のお屋敷です。こちらでも挨拶以外はしなくていいと言われていたのですが豪放磊落なノーフェラント公爵とメロウが意気投合した結果。30分の面談の予定が2時間以上に及びナディアがイライラしていました。

 なんでもノーフェラント公爵は4男であり家督を継ぐ予定も無かった為冒険者をしていたそうです。Aランク冒険者にまでなったとのことで凄いです。その後流行り病で公爵も兄達も重臣も死んでしまい王命により後を継いだそうです。政務の経験も無く重臣も失っていたこともあり大変だったそうです。

 今でも冒険者公爵として有名で領内では冒険者の活動が活発だそうです。アルニスさんもノーフェラント領で活動したことがあるそうで一層話が進み更にナディアがイライラしていました。

 会食が終わった後も話が尽きなかったのですが明日に差し障るというナディアの一言で残念ながらお開きになりました。


 翌日は予定通り出発出来たこともありナディアの機嫌も良かったです。


「今日も決闘したいとか言い出す馬鹿がきたら面白かったのにな」

「そうなったら私ではなくナディアが出て行って倒してしまいそうです」

「次からはそうさせていただきます」


 そう言ったナディアは目が笑って無く怖かったです。


 その後は1個大隊相手に攻撃を仕掛けてくるという間抜けな盗賊を相手にしたり、斥候を見つけたことから発覚した盗賊を壊滅させたり、故障した馬車を囮に使う盗賊を討伐したりと何故か盗賊の討伐ばかりを行っていました。


「私達は盗賊討伐大隊だったかな」

「この盗賊とのエンカウント率の高さはなんなんでしょうか」

「国内の治安が乱れているということだろうな、捕らえた盗賊の口から邪神に滅ぼされる位なら好き勝手に生きるなんて言っているやつもいたしな」

「こうなるのが怖くて邪神復活については緘口令を敷いてきたのですが」

「素人盗賊が多いから簡単に討伐出来るけど面倒よね」

「本来は私が希望となって盗賊等に堕ちる人を減らさないといけないのですよね」

「大半の住民が真っ当に暮らしている、堕ちる人間は平和な時代でも堕ちるものだ気にしすぎるな」

「ありがとうございます。しかし聖人と言ってくれる人がいる以上これは私が負うべき業なのだと思います」

「背負い込みすぎて壊れないようにな」

「私には支えてくれる方が沢山いるので大丈夫ですよ」


 と話していたら再び盗賊とエンカウントしました。あまりにも盗賊が多いため調べたところこの地の領主が悪政を敷いていて逃散した農民が盗賊になってしまっていたそうです。

 盗賊は即死刑が基本なのですが、あまりにも弱かったため生きて捕らえていました。ナディアは王女として領内の査察権があるので査察を行い悪政の証拠を集めたうえで捕らえた盗賊達のうち人を殺したことが無い者はそのまま村に戻し、人を殺した者は鉱山奴隷として処分されることになりました。


 この一連の作業で予定が更に数日遅れることになりましたが、王国貴族の不祥事は放っておくことは出来なかった為、ナディアも真剣に取り組んでいました。

 その間私たちは各村を周り怪我人や病人を癒して回りました。領内は困窮しており怪我人や病人も多かったです。

 領主が溜め込んだ財を放出し領民経済の回復を行い、領内の貧富の差を縮めるように政策を取り後は後日くる代官に任せて再び出発しました。

 

「今度こそ何事も無く進めるといいわよねー」

「王国はそこまで腐敗していないはずなので大丈夫だとは思います」

「聖国に入るどころか未だに王国内だしな」

「予定からは5日ずれてしまいました。一応早馬を出して聖国側に遅れるとは伝えていますが」

「何かそういう話をしていると何かがおきそうよねー」

「例えば何ですか?」

「うーん、アフェットのパワーアップを警戒したアークデーモンが襲来とか」

「流石にアークデーモン級は来ないだろう」


「アークデーモンの襲来だ」「陣形を整えろ」「敵を通すんじゃない」「数が多いぞ!」


 全員がメロウを見ます


「え、あたしが悪いの?」


 メロウの予言が的中してアークデーモンの集団が来ました



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