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聖帝記~聖なる御子の邪神討滅記~  作者: めるりん
第1章 神託の御子
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第1話 魔物の襲来

主人公の一人称は「私」ですが男性です。

神歴996年


「アフェット、よくお聞きなさい神歴1000年をもって邪神の封印が解けてこの世に破滅をもたらそうとするでしょう」

「しかし、母上それはただのおとぎ話なのではないのですか?」

「長い年月が経ち一般的にはただの伝説のように伝えられていますが、実際の話です。教会や各国は対処するために力を蓄えています」

「なぜ母上はご存じなのですか?」

「私の見習い神官時代の師匠が現在対策の指揮に当たっています。私にも声が掛けられたのですが、私はすでに病に侵されている為断ったのです」

「世に破滅をもたらすなんて放ってはおけません。私にも出来ることはありませんか?」

「ならば一層の修行にはげみなさい、それと私が死んだ後は私の師匠を頼りなさい」

「母上はもう助からないのですか?」

「世界を救いたいと願う者が肉親の死に怯えてはいけません。しかしあなたの気持ちは嬉しく思いますよ」


 そう言えって母は優しく抱きしめてくれました


「・・・・ト」

「・フェット」

「アフェット!」


「う、うん? メロウ?」

「もう話の最中にうとうとしないの!」


「それでアフェットは今後どうするか決めたの? フィリアの喪もそろそろ明けるでしょ」

そう私に話しかけてきたのは体長30cm程の少女は妖精族のメロウです。私がきっと偉大な業績を成すと考えて私についてきてくれています

「村長たちの気持ちは嬉しく思いますが、やはり私は旅に出たいと思います」

「邪神復活はあくまでも伝承にすぎないのよ?」

「伝承に終わるならそれでいい、私の時間が無駄になるだけで済むならそれにこしたことはありません」

「あたしはいい歌が作れればいいだけだし、アフェットが決めたのなら付いていくだけよ」

「あまりいい歌の題材になる自信はないのですが」

「こんなに綺麗な聖属性の持ち主なんだからアフェットはきっと大きな結果を残すに違いないわ。それについて行かないなんて損ってものよ」

「わかりましたメロウ。それでは果てがあるかわからない旅に出かける準備を整えるとしましょうか」

 いつものようにメロウを肩に乗せ教会への帰り道を歩いていると、このレネット村で過ごした日々が思い出されます。

 私の父アモスは元冒険者でかなりの凄腕だったようです、しかし私が幼少時に村を襲ったスタンピートに立ち向かい死亡してしまいました。

 私の母フィリアは父と同じく冒険者でした。レネット村に定住する際に村の教会の神官となりましたが病が原因で昨年死亡してしまいました。


  思い出こそは沢山ありますが母上も亡くなりこの村に留まる理由もなくなった今こそ旅たちの時だと思います。

 

  だがその思いは急になり響いた半鐘の音とともにいったんは思考の隅におかれました。


 メロウと目を合わせた瞬間に私は走り出す、メロウは肩から降りて自力で飛んで付いてきます。


「メロウ方向は北東でしたね?」

「確か北東の意味の叩き方だったわ」

「それでは北東に急ぎましょう!」


 どうやら旅立ちの前に一仕事があるみたいです。


 村の北東に到着した時にはすでに戦える村人が集まっていました。


「アフェットにメロウよく来てくれた」

「村長現状はどうなっているのですか?」

「ゴブリンの群れが確認されている。群れの規模はまだわからないのでこうして防備を固めているところだ」


 レネット村は最果ての村の異名もある通りの田舎ですが、だからこそか戦闘経験が豊富な者も多いです。

 村長はすでに60歳を過ぎているにも関わらず未だに一線を引いていないという歴戦の兵であり。だからこそ、その言葉には重みがあります。

 その村長が防備の必要を説いているということは上位種が引き連れた群れの可能性があるということです。


「すでに街に若者を早馬で走らせている、アフェットとメロウも防衛に回ってくれ」

「村長。防衛に回るのは構わないのですが、こちらからは討って出ないのですか?」

「正直な所数がわかっていない。中途半端に攻撃を仕掛けて包囲されては話にならん」

「わかりました。では私も防衛に回ります」

「あたしも探知が出来るからそっちに回るわ」

「正直助かる。探知の有無で戦況が大きく変わるからな」


 レネット村は小さいながらも元冒険者が50名ほど暮らしており、他の住民も最低限の自衛が出来ますが流石に数で押されると支えきれません。


「村長、探知に魔物の反応が1,2,まだ増えていきます」

「村長、あたしの探知にもいっぱい引っかかってるもう数えきれないよ」

「今から戦いになると夜になるな、夜目がきくゴブリンの方が優位になる。やはり上位種がいるな」


 レネット村の存亡を掛けた戦いが始まろうとしています。


 私とメロウの探知により完全な迎撃態勢が取れたことで全体的に心理的余裕を得ることが出来ました。

緊張感を失うのは論外ですが、心理的に余裕があるのと無いのとでは大分変わって来ますので、前段階として私の仕事は上手くいったと言えるでしょう


「ゴブリン共がくるぞ、攻撃用意!」


 村長の指示で魔術や弓に長けている者が攻撃の準備に入ります。そして少しの時間を置きゴブリンが視界に入りました。


「攻撃開始!」


 村長の合図で一斉に攻撃します。私も何かしたいのですが。


「アフェット、お前は回復用に魔力をとっておけ」

「了解しました」


 現在村にいるヒーラーで私以上の使い手がいないので仕方ないのですが、一方的に攻撃してる現状だとさぼっているように見えて少々居心地が悪いですね。


「不満なのはわかるが戦闘はこれで終わりではない可能性が高い我慢するのだ」


 どうも不満そうにしているのがばれでしまったようです。


「矢が足りるかが心配だ」

「途中で折れたりしますし、回収率は高くないですしね」

「それもあるが猟期に入っていたから備蓄の矢がそもそも足りてないのだ」

「では目標は領都からの援軍までの持久戦ですか?」

「こちらには幸いなことにアフェットがいる。負傷者がすぐ戦線に戻れるのは大きいが、領都までは早馬で三日かかる物資がもつかどうか」

「失血までは戻せないので注意してくださいね」

「それは承知のことだ。わし等は英雄ではない、しかし重ねた年輪というのも馬鹿にはできんもんだぞ。アフェットは村を出るのだろう?」

「はい、そのつもりです」

「それはそれでいい。若者をこんな村に縛り付けるのも良くはないしな。しかしわし等でもアフェットの手本になれる部分もある。よく見ておくがいい」

「はい、村長たちの力勉強させていただきます」

「いいわね、いいわよ。まにこれこそまさに英雄譚、早速歌を作りたくなっちゃったわ!」

「メロウ。流石にこんな戦場で歌作ってたらつまみ出されるよ」


 実際に防衛は見事なもので私と村長がのんびり会話する余裕すらありました。しかし上位種がいるにしては圧迫感が無い気がするのは気のせいでしょうか。


「村長」

「上位種のことであろう?」

「はい、動きが無いのが不気味で」

「さっきも言ったがまだ前哨戦なのだ、向こうも様子見をしてる段階だ」

「一気に来ないものなのですね」

「完全に夜になるのを待っているのだろう。こちらは明かりが無ければ何も見えんが、向こうからすれば恰好の的だ、ゴブリンアーチャーもいるだろうし上位種ともなれば戦術を理解してくるものだ、たかがゴブリンとは侮れん」

「現状が続くとまずいということですね」

「まずいどころか壊滅の危機だな、今から逃げても誰も攻めはせんぞ」

「村長。私は戦士アモスと神官フィリアの息子ですよ。こんなところで逃げませんよ」

「仕方ないわねー、あたしも付き合ってあげるわよ」


 現状はこちらに被害者は出ていませんが、矢の備蓄がどんどん減り。魔術師の魔力も減少していっている状況です。決して優位と言えない状況をどう覆すの難しい局面です。


 そして夜が深まり魔物たちの時間が始まりました。


レネット村は人口が500人くらいですが元冒険者が50人ほどいます

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