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聖帝記~聖なる御子の邪神討滅記~  作者: めるりん
第1章 神託の御子
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第14話 王女襲来

 ダースティアに到着し修行を始めてから3ケ月が経とうとしています。


「はい、今日の分の薬草ね」

「もう森にも完全に慣れてきましたね。ランクもEランクにまであがりましたし」

「最速昇格を逃して残念だわ」

「登録からSランクまでの世界最速記録は3ケ月ですしね」

「それでは今日もありがとうございました」

「はい、またの起こしをお待ちしております」


 ギルドへの報告も終わりアルニスさんの家に戻ります。


「手紙なんて珍しいな。ジェファーソン司教が聖都から戻ったみたいだな。面会の予約をしてくるから先に家に入ってていいぞ」

「司教って結構えらいのよね?」

「そうですね私とは位階がまるで違います」

「そんな人に簡単に予約できるのかしら」

「会っていただけるだけで徳があがりそうですね」

「アフェットも目指せ司教ね」

「司教様になれるとは思いませんが、司教になると担当教区とかできそうで忙しそうですね。私達は教会と呼んでいますが司教様がいらっしゃる教会を司教座聖堂とも言うのですよ」

「何か普段行ってる教会が一気にすごくなった気がするわ」

「アルニスさんがどれくらいで戻るかが、わかりませんし私達で食事の用意をしておきましょう」

「じゃあ私は玉ねぎの皮をむくわ!」


 アルニスさんが戻ったのはそれから1時間ほど経ってからでした。


「4日後に予約が取れたからその日は一応1日開けておこう」

「随分早いのですね」

「教会としてもアフェットとメロウの重要性は把握しているのさ」

「俺とミリアネアによる修行が終わったらお前たちは聖都に送られることになりそうだぞ」

「聖都ですか。一度行ってみたかったです」

「えぇ、ってことは聖都でも修行三昧なの?」

「ミリアネアも聖属性は使えるが聖都で教育を受けた方が確実だからな」

「世界を救うのは大変ねぇ」

「二人のことを知っている者からしたら早く成長してもらいたくてしょうがないからな」

「邪神討伐は自分で立てた目標ですし頑張ります」

「邪神討伐に付き合った方が良い歌書けそうだし、しょうがないかぁ」


 翌日、いつものように午前中はミリー様の所で修行です


「司教に会う予定も決まったみたいだし、そろそろ神託の魔術を覚えてみようか」

「やっとかー、やっと夢に出る女の子に話しかけれるのね」

「私もお話が出来ると思うと嬉しいです」

「一応言うと神託の魔術はそんな便利なものじゃないのよ、神がたまたま呟いた言葉を神託を使っている瞬間が合えば言葉が聞こえるっていう魔術なの。あんたらだと普通に会話してきそうだから教えるのも怖かったんだけどね」

「何かまずいことがあるのでしょうか?」

「魔術界隈の常識が壊れるのが怖いのよ」

「まあ話しててもしょうがないから早速教えていくわよ」


 その時ドンドンドンとドアが乱暴に叩かれました


「深淵の魔女ミリアネア師、ここにいるのでしょう。早くあけてください!」


 若い女性の声がドアを叩く音と共に聞こえてきます。


「あちゃー、来ちゃったか」

「何かただならない雰囲気ですが?

「借金でもしてるとか?」

「借金なんてないわよ、放っておいたら窓を破ってきそうね。はいはい今行くから静かにしてね」


 ドアを開けた瞬間に飛び込むように中に入ってきたのは、長い金髪を風に靡かせ品のいいドレスに身を包んだお人形さんのような少女でした


「やっと会えましたわね。もう逃がしませんわよ!」

「これはこれは王女殿下、ご来訪いただけて嬉しく思います」


 普段のミリー様からは見慣れない優雅の礼を受けて王女様は混乱しているようです。


「え、あっと。ごきげんよう?」


 混乱はしていても美しいカーテシーを見せていただけました


「え、王女殿下?」

「王女なんて初めて見るわね」


 まあ王女がその辺に転がっていたら驚きです。


「ミリアネア師。その二人は何ですか?」

「何って私の弟子だが?」

「弟子ですって。ミリアネア師は私の師になって下さるのではないのですか?」

「それについては申し訳なく思ってはいるが、この件に関しては国王も承知のことだが?」

「お父様はミリアネア師には重要な用事が出来たからとしか」

「(国王は王女を利用してアフェットとメロウのことを探らせるのが目的かな)国王にちゃんと許可はもらって来ているの?」

「当然です。王都の学園の長期休みを利用して来てますから」

「王女殿下には申し訳なくは思ってはいるがこの二人の育成は私の魔術師人生の全てを掛けてでも行わなければいけないことだ。殿下の面倒を見る余裕はないな」

「その二人が大切なのはわかりましたが、些か納得いきかねます」

「アフェットにメロウ。二人の魔力適正を見せてもいいか?」

「はい、構いませんが」

「適正値がなんだというのですか」

「まずはアフェットだ」

「な、なんですのこの適正値は100なんて見たことありませんわよ」

「次いでメロウだ」

「え、えっと。なんなんですのこの2人は」

「まあ、そういうことよ。だから殿下の面倒は見れないのさ」

「その二人が特別なのはわかりました。それではその二人も連れて王都で学ぶというのはいかがですか?」

「王都だと余計な貴族にちょっかいを掛けられかねない、二人の身分は平民にすぎないから貴族に絡まれるとどうにもならない」

「それはここでも一緒では」

「ダースティア伯は一度もこの二人に会っていない、国王直々に二人には余り関わらないように命令が出ているのよ」

「私は思いっきり会っていますが、もしかして不味いのではないでしょうか?」

「恐らくわざと二人と合わせようとしたんだろうよ。教会とギルドが煩いから、何も知らない殿下を使って二人の人柄を確かめさそうとしたのでしょうね。一つだけ殿下に伝えるなら、この二人は別に考え適正の多寡で一喜一憂はしないことね。殿下の魔力も適正値も宮廷魔術師並みよ。努力を怠らずに頑張りなさい」

「ミリアネア師、ありがとうございます。腐ることなく努力を続けたいと思います。ですが、それはそれとして本当の天才の実力を見せていただきたいわね。それに剣の先生が相手の人柄を見るには決闘が一番と言っていたわ」

「えっと、決闘と言われましても」

「逃げるつもりですか!」

「やり取りを見てるのも楽しそうだが、弟子が困っているので擁護させてもらうと決闘は無しよ」

「何故ですかミリアネア師。弟子を庇うのですか!

「そりゃあ庇うわよ、この二人にはまだ攻撃用の魔術教えてないもの」

「ああ、そうですか」

「何かすみません」

「何か締まらない話になっちゃったわね」

「なぜ攻撃系の魔術を教えていないのですか?」

「二人の魔力が高すぎてね。魔力操作や詠唱短縮なんかの技術を先に身に付けさせてるの。というかダースティア伯からこの二人に街の中で攻撃系の魔術の練習をさせ無いように釘がささっていてね」

「何でそんなことになったのですか?」

「メロウにライトの魔術を使わせた時に制御が乱れてね。ダースティア中を照らす光球が5日間消えなくてね。良い歳だというのにダースティア伯に平謝りしたわ」

「そ、それは大変でしたわね」

「それまでは国王からも王都での修行を勧められてたのだが、それからは辺境こそ相応しいって言われるようになったわ」

「確かに王都でやったら大惨事ですわね」

「それで殿下は今日はどうなされるので」

「ダースティア伯の屋敷でお休みさせていただきますわ。滞在日数を10日にしていますので、その間だけでも見ていただけると嬉しいのですが」

「それくらいなら構わないわよ。アフェットとメロウを虐めるのはやめてね」

「そんなこといたしません。このような可愛らしい妖精と王都でも見たことがない美少女を虐めるなんてありえません」

「一応言うけどアフェットは男ね」

「またご冗談を」

「いや、本当」

「こんな愛らしい男性がこの世にいるなんて信じられません!」

「今のところ攻撃系の魔術も無く、剣の腕もそこまでじゃないから色んな意味で危険ね」

「二人揃えて王都に連れて帰りたいですわね。まあいいですわ、アフェットにメロウよろしくお願いします。ロンデリア王国アルフレッドの3女ナディア・フローズン・メルと申します」

「レネット村のアフェットです。よろしくお願いします」

「太陽の畑のメロウよ、よろしくね」


 王女様と出会うだけでなく言葉を交わす機会がくるなんて思ってもみませんでした。


 ましてや暫く一緒に修行するなんて思いもしませんでした。これからどうなるのでしょう。


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