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お風呂入ってバスタオル忘れて異性の幼馴染頼った

作者: 蹴神ミコト

彼はいつの日かツケが回ってくることを知らない。


「あああバスタオル忘れたあああ!!!」


中3の夏、久々の湯船に俺はやらかした。

我が家では暑いときにはシャワーで済ますのだがふと衝動的に風呂に入りたかった俺はあろうことかバスタオルの用意を忘れた。


家族?みんな出かけてて夜まで帰ってこないよ。


今?お昼13時ですが??



「てかなんで忘れたんだよ…いつも目につくところにあったのに…」



思いだした

「朝っぱらに母さんが庭に洗濯物干してたな…」



バスタオルはおそらく全て庭だ。

全裸でどうやって取り行こう?詰んでるじゃねぇか。


どうにかして庭のバスタオルを回収せねばならない。詰んでると思うのが先か後か、救いは俺の手の中にあることに気づいた。


ダラダラと風呂場で使っていたスマホである。

隣の家の幼馴染を頼ればバスタオルを届けてくれるかもしれない。



問題は俺が男で、頼る先が同い年の女の子なのだ。

幼馴染の女の子にバスタオルを届けてもらう?



「新婚かっ!!」



あーもうそんな恥ずかしい真似ができるか!

いい友達だよ?変に意識して友情に亀裂入ったらどうすんの!?


問題は幼馴染の方にもある。



「あいつに頼んだら倒れるんじゃねぇかなぁ…シャイの権化だそ…」  



幼馴染の京子きょうこ

バレー部のエース…のような身長で実際は園芸部の目隠れ巨神兵である。とにかく恥ずかしがり屋で男子で噛まずに会話できるのは俺くらいだ。



「いや、あいつも来年高校生だしこう言うので頼ってもきっとなんとかたぶんケロっと助けてくれるかも」



俺はさっそくSNSでメッセージを送る。

隣の家に居なかったらその時点で詰み。

頼む、助けてくれ…!



ーーーーー

俺『京子、今家にいるか?』

京子『いるよ、どうしたの?』

ーーーーー



第1関門セーフ、あとは恥ずかしがるようなフレーズを回避して風呂場にバスタオルを届けてもらう。




ーーーー

俺『実は家の中で動けなくなっているんだ、助けてくれないか』

京子『!?今すぐ行く!!』

ーーーー



待て、来る前にバスタオル!!

言い方も良くなかったかもしれない救急車呼ばれたらヤバい、電話をかけよう




TRRRR ピッ



「どうしたの!?何があったの!?」


「落ち着いてくれ、死にそうとかそうゆんじゃ無いから。ただとにかく助けてほしいんだ。」


「う、うん。一体どうしたの?」


「今の状況は密室に閉じ込められていて外に出るにはアイテムがいる、使える道具はスマホのみだ」


「なんで家で脱出ゲームしているの??」


凡ミスしたからだよ。

しかし俺が妙な状況にあるからか焦っている京子はシャイがグーンと下がっている。

これは良い事かもしれない!勢いで全裸の俺に幼馴染を呼びつけるんだ!



「詳しく状況を言う事は諸事情でできない。だが本当に困っているんだ、庭にあるアイテムを回収して俺に手渡ししてほしい」


「うーん、よくわからないけど困ってるなら頑張るね。後でちゃんと話してね?それでアイテムってなに?」



……バスタオルって言った時点で気づくんじゃねこれ?



「庭にある洗濯物を一旦家の中に回収してほしい。後で畳むからとりあえずいれるだけでいい。」


「??分からないけど分かったよ。お家の鍵が入っているやつの暗証番号は0831でいいのかな?」


「うん、そのまま変わってない。頼んだ」




しばらくすると音が聞こえる

ガチャガチャ



「家の中に入ったよ。どこにいるの?」


「すまん、後でなんでもするからまず洗濯物を入れてくれ。」



全裸でバレるかバレないかひやひやしながらそばに幼馴染いるとか胃にくるなこれ、なんで癒やしにお風呂に入って頭脳戦しているの俺??


大人になったらこういうのもいい思い出だと笑える日が来るのかなこれハハハ…


次の手、次のセリフを考えねば



「取り込んだよ、次は?」



勝負だ…

「その中で1番大きな洗濯物を洗面所の洗濯機の上に置いてくれ。置いたらすぐに洗面所から出て扉を占めるんだ」


「うん、分かった」



ガララ


トサッ


ガララ



「次は玄関で5分待機してくれ」


「…うん」


足音が遠ざかっていく音がする。

よし勝った!!やった!!


俺は風呂場から出れる、幼馴染は恥ずかしくない。完璧なハッピーエンドだ!

誰も恥をかかない完璧な勝利だ!!








〜3年後〜


「へー京子先輩の彼氏さんって幼馴染なんですね!実は私もずっと仲の良い幼馴染がいるんですけど姉弟としか思えなくて…異性として気になったキッカケとかあったんですか?」



高校3年生になり、いつの間にか恥ずかしがることも減ったバレー部エースの京子は言った。



「全裸の男の子の指示で彼の家に上って彼の意のままに動き回った日からかな」

京子「全裸の男の子にバスタオルを届けに行くことに比べたら大抵のことは恥ずかしくなくなりました。」

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