私の1ページ_22
「この前愕然としたんだけどさ」
休み明け、中学から一緒の友人がお弁当を頬張りながら話し始める。
「実家に帰って部屋の片付けしてたら漫画読み始めちゃって」
「あー、止まらないやつ」
相槌をうつとピシッと箸の先をこちらに向けられた。
「マナー違反です」
「それが止まったんだよ」
指摘は意に介さず、友人は話を続ける。
「なんでかわかる?」
「母親からのご飯の呼び出しとか?」
適当に答えてみる。案の定、違う違うと首を横に振られる。
「なんだか面白くなくて…」
悲しそうに俯いているが、おかずを口に運ぶ箸は止まってはいない。
「あんなに大好きだったのに。あんなに夢中になって読んでたのに。どうでもよくなってたのが寂しいよ」
「人の心は移り変わるから」
また適当に答える。自分の友人への想いは中学の頃から変わらないけれど。