狂犬ラックの獲物
サイド伯爵家には《狂犬》がいる。
ユイナーダ王国の貴族や多少後ろ暗い者達、冒険者ギルドのギルド員なら誰でも知っている事実だ。
知らない奴がいたらモグリだろう。
奴に狙われた獲物は、何処に逃げようと無駄なのだ。
奴の名は《ラック》……
薄茶の髪と茶色の目を持つ、一見すると人の良さそうな雰囲気の若い男だ。
だが一度、獲物に喰らい付いたら最後決して逃してはくれない。
そんな奴の今回のターゲットは、【殺人】【詐欺】【横領】ユイナーダ王国で最も罪が思いと言われている【人身売買】で手配されている《マクレガー》という壮年の男だった。
自分の借家に住んでいた、兎族の人妻に自分勝手な恋愛感情をいだき、練金術師だった夫を殺害。
《土地購入代》として用意させた金と家財道具を【横領】。
借金返済の為にズーラシアン王国に出稼ぎに行く事になった人妻の関心を引く為に、その子供達を預かるふりをして実際には、自分の弟が経営する教会孤児院(後に獣人専門の人身売買組織の拠点の一つと判明。)に子供達を売り渡して逃走。
筆頭魔導貴族ボルネオール侯爵家とサイド伯爵家から賞金が出ている久々の大物だ。
それなのにこの男、呑気にサイド伯爵領の隣りにある依子のファミマ子爵領内を彷徨いていた。
手持ちの資金が切れて、銀行に下ろしに来たところを、何処で嗅ぎつけて来たのかその場で張っていたラックに捕まった。
というのが今回の顛末である。
(ギルド職員Aによる報告書)
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※1
シリーズ⑩
ケイトちゃん参照。




