ラダマンテュス
「いざ! 出陣だ!」
「おお!」
冥界の全軍は天界へ向けて進軍を開始した。
「デーメーテール様、ご気分はよろしいですか?」
「うむ。苦しゅうない。」
冥界軍の総大将は、義理母デーメーテールであった。
「それでは、ハーデース様、さようなら。」
「さようなら。」
冥王軍全員からお別れを告げられるハーデース。
「マジか!? あの・・・・・・これでも冥王なんですが・・・・・・。」
ハーデースは一人置いていかれた。
「ヒューーーーーーー。」
風だけが通り抜けていく。
「分かりましたよ! 行けばいいんでしょ! 行けば!」
ハーデースは一人寂しく、魔王ネロの待つ魔界と冥界の境の新しい魔王城へ向かうのだった。
「ヘカテー様。」
ハーデースを捨て石に使った冥王軍は魔界を進行中。
「なんだ? ラダマンテュス。」
アイアコスとミーノースと同じく冥界の審判者ラダマンテュスが死の女神ヘカテーに質問する。
「ハーデース様を一人にして良かったのでしょうか? あれでも冥王様ですし。もう少し労わってあげた方が良かったんじゃないでしょうか?」
ラダマンテュスは心配性だった。
「もし!? 悪魔に捕まって、血の池地獄に沈められたり、針の山を歩けと言われたり、ああー!? 想像するだけで恐ろしい!? 私だったら耐えられない!?」
このラダマンテュスは血を見るだけで気絶しそうなタイプだった。
「バカ者ー!!!」
その時、ヘカテーの激怒した声が魔界に響き渡る。
「あなたにはハーデース様の優しさが分からないのですか!?」
ヘカテーはハーデースには深い考えがあると言う。
「ハーデース様の優しさ?」
「そうです。ハーデース様は自分を犠牲にしてでも、我々を前に進めて、天界の神の座を獲得しようとしているのです。天界を治めれば、人間界と魔界も治めたようなもの。ハーデース様の狙いは、4つの世界の完全統一です!」
「4つの世界の完全統一!?」
ヘカテーが思うハーデースの狙いは、全ての世界の統一であった。
「知らなかった!? ハーデース様に、そんな深い計画があったなんて!? 失礼しました! これからもハーデース様に忠誠を誓います!」
「それでよろしい。ニコッ。」
その様子を見ていたアイアコスとミーノース。
「おい、ハーデース様って、そんなに頭が賢かったか?」
「いや、そんなことはない。ああ、どうせならヘカテー様が冥王になってくれないかな。そうすれば義理母に軍の指揮権を奪われることもないのに。」
ヘカテーに忠誠を誓う二人はハーデースに呆れていた。
つづく。




