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正義破壊。  作者: がなる
2/3

正義の味方

そこに倒れた人が居たら助ける。


そんな当たり前の事を僕はする。

というか今している。


学校に向かう途中、大荷物を抱えたお婆さんが

転んだのを遠目に見た俺は急いで駆け寄った。

どーもこういうのは放っておけない質らしい。


「大丈夫ですか…?」


見たところ怪我はないらしい

お婆さんの歳は80前後だろうか??

お婆さんは少しはにかんだ顔をしながら


「あら、ありがとう…この歳になると足が弱くてねぇ」


「怪我がなくてよかったですよ。お荷物お持ちしましょうか?どちらまで?」

学校に遅刻しそうな時間ではあるが

まぁ仕方ないだろう。

悪いことをしているわけではないのだから。


「あらあら、大丈夫ですよぉ。すぐそこまでですから」


「そうですか?あまり無理はなさらないでくださいね?」


「どうもありがとうねぇ、学校頑張ってね」

そういうとお婆さんはゆっくりと歩いて行った。

大丈夫だろうか?



『……へぇ…?

「正義感」が強いんだねぇ……。

それ、いつまで持つのかな?』



学校につくと仲の良いクラスメイトが話しかけてくる。


「おはよ、今日はいつもより遅かったね?」


話しかけてきたのは大谷柚葉おおたにゆずは

小学生の頃から友達で親友だ。

昔は引っ込み思案な女の子だったが今では女子のリーダー格にまでなっている。

勉強も部活もトップクラスの成績だ。

努力無しでできることでは無いだろう。

そんな彼女を俺は尊敬しているし素直に凄いと思う。



「まぁな…少しアクシデントがあってね」


「またお人好しな行動でもしたんでしょ?」

お見通しだぞ?とでも言いたげな目で柚葉はニヤけている。


「そんなんじゃないよ、ただお婆さんが転んでたから声をかけただけさ」


「ほら、やっぱりー!ほんとお人好しだよねぇ正義の味方めー!」

人懐っこい笑みで柚葉は茶化す。


「うるさいー、早く席付け授業始まるぞー?」

はいはい…と柚葉はニヤニヤしながら手を振って戻っていった。




学校が終わり帰り道…。

俺はいつも通り柚葉とくだらない話をしながら帰っていた。


「それでさー、ん…?あれ…?」

柚葉が急に話を止めて指をさした。

指の行方を追っていくと先にはお婆さんが倒れていた。

よく見ると朝に転んでいたお婆さんだ。

それに今度は線路で転んだようだった。

電車が来たら危ないし早く助けないとな。

また声をかけようと俺は近付いて行った。


「お、正義の味方の出番だねぇ?」

柚葉がニヤニヤしてるのを尻目に俺はお婆さんに声をかけた。


「大丈夫ですか?怪我はなさそうですね。線路は危ないので俺に捕まってください」



お婆さんはニコニコしながら俺をみた。


「ありがとうねぇ本当に優しい子だねぇ」



お婆さんは笑顔でそういう。

俺の足を掴み引っ張ってくる。

俺はよろけるが何とか踏み止まりおばあさんを立たせようとする。


「立てますか?早くしないと電車がきますよ?」

そういうとお婆さんは笑顔のまま


「いいんだよぉ…このままで居て助けておくれ」


えっ……??


カンカンカンカンカンカンカンカン………


瞬間踏み切るの閉まる音がする。


「お婆さん!?電車が来ます、早く…!」


「いいんだよぉ、このままでぇ…」

お婆さんは笑っていた……

笑顔のままがっしり俺の足を掴んで離そうとしない。


「お婆さんほんと電車が来ますから急いで…!!」


「いいんだよぉ……このままで…一緒にいようねぇ」

お婆さんの目はどこか遠くを見つめ焦点が合っていない。

痴呆症のそれだろうか…。

いくら強く引っ張ろうとお婆さんは頑なに立とうとしない。


電車がもう目の前に………

このままじゃ二人とも……



『正義を貫いて死ねるかい?正義の味方さん』


そんな声が聞こえた瞬間僕はお婆さんを蹴って

振り払っていた。

お婆さんの短い悲鳴が聞こえる。

そんなのはお構いなしに俺は走った。


「この偽善者ぁぁぁ!!!!!」



お婆さんの声が聞こえた。


瞬間に電車がお婆さんの上を通過していく。



肉片は飛び散りお婆さんだったモノは

バラバラになっていった……。



『あーぁ…駄目だなぁ正義の味方がそんなことしちゃ…』


また声が聞こえた…







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