花粉に苦しむ理系蛮族・改
ヤツが。花粉のヤツが来ましたね。
目がかゆく。鼻が止まらず。
水分が持っていかれて、頭がフラフラ。
脱水頭痛にアレルギー反応。洗濯物が外に干せない。
忌々しい、スギやヒノキなぞ切ってしまえ!と思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし中には「木を切るなんてとんでもない!それは自然破壊よ!」と思っている方もいるかもしれませんね。
実際、マスコミが自然破壊として流す映像には丸太をトラックで運んでいるシーンが使われたりしてますし。
しかしですね。
人の手によって植えられた木は、森は、人による手入れをしないとどんどんダメになっていくんです。
密になりすぎた木は間伐し、適齢を迎えた木は材木として伐採する。そして空き地に新たな幼樹を植え育てる。
その繰り返しを続けていかないと、あっという間にダメになってしまう。庭の手入れと同じなんです。
だから「切ってしまえ」という論はあながち間違いではないんですよ。
しかし、「燃やしてしまえ」というのはNGです。けもの屋的にNG。
現在伐採を待っているスギやヒノキは、大半が大戦直後に植えられました。
針葉樹は広葉樹に比べて成長が早く、病気も少なく、材も真っ直ぐに育つ。
また加工もしやすい事から、木材としての利用範囲が広かったのです。
大戦が終わった直後、焼け野原を見た人々は願いました。
この荒れた大地に、再び家を建てよう。
街を作ろう。
後の世代のために、木という財産を育てておこう。
我々の代に利益は無くとも、将来の人々が豊かに暮らせるように。
そうして今の針葉樹の森が生まれました。
木材価値の高い針葉樹の森は、我々の世代が豊かになるように植えられたのです。
それを一方的に『燃やしてしまえ』というのは、ちと悲しすぎる気がしませんか。
木材は、建材としてもコンクリート以上に耐久性が高く、また我々の精神面を安定させる……いわばリラックス効果も持ち合わせています。
また心配される耐火性も、数枚の単板を組み合わせた特殊合板にする事によって解決する。
使いどころはたくさんあるのです。
しかし今現在。その木を育て、切る……いえ、『収穫』する人がいない。切った木を運び出す林道も整備しきれず、運び出すだけで一苦労。いざ丸太を運び出してみても、市場価値が低すぎて売りに出せない。
そうして手入れをする為の元手を得る事もできず、日本の森は放置され、飽和しました。
環境の悪い土地に置かれた木は、子孫を残すためより多くの花粉を飛ばします。
その結果、我々の世代になって花粉症という病気が現れた……というわけです。
花粉症を解決するには、針葉樹の森を早急に整備しなければなりません。
再び焼け野原にしたって、何も解決しないですよ。
焼け野原になった山は、木の根という抑えを失って土砂崩れを起こし、山に暮らす獣だって今以上に獣害を起こすようになるでしょう。
そんな未来、誰も望んじゃいません。
もちろん現代日本に、かつてほど木材の需要がないのは事実。
今ある木材を最大限活用する努力をした後は、針葉樹林が穏やかに広葉樹の森に変化するよう、何十年も手をかけていく必要があります。
そうすれば花粉症は過去のものになり。
適切な緑化工事と獣害対策を並行しながら整備していくことによって、土砂崩れも獣害も少ない豊かな森に変わっていくことでしょう。
まぁここまで長々と語らせていただきましたが、今現在わたしはアレ○オンを飲んでいます。
私も花粉症なんで。けもの屋なのに花粉症なんで。ふざけんな花粉。
よって花粉症無くしたい欲は切実です。
そのために『業界』に携わる者だけでなく、『市場』に関わる世間全体で適切な対策が取られることを願っています。
この場合における適切な対策とは何か。
それは、収穫した木材を売り出し利益に換え、需要が減った針葉樹の森が針広混交林へとゆるやかに変わる流れを作っていくこと。
木材が価値ある財産であるということを多くの人に知り、使っていただける市場をつくること。
木材を積極的に「切り」、使うことができる環境そのものをつくること。
その為には知ってください。過去の人々がなぜその選択をしたのかという歴史。植えられた木の、森の生命に託された願いを。
それが花粉症をなくすための第一歩。
この日本の森を、より良いものにしていくための第一歩になるのです。
……。
…………。
え、今日はけものエピソードは無いのかって?
ないです。今年度初の調査において、花粉によって全ての思考能力を鈍らされていた私に他の事を考える余裕はありませんでした。綺麗事言ったって影響は受けてるんですよ。肩に花粉が積もって黄色くなってるくらいにはウケウケですよ。
よって今回はこれにて終幕!
花粉症は鼻の入り口にワセリン塗ってマスクにハッカ油付けて花粉用飴舐めてれば軽減できますよ!
針葉樹どもが色気付いてる期間もあと少しです、共に頑張りませう!
さっさと収穫されて立派な建材になっちまえ、花粉!