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天国で、いっぱいパン、食べて下さいね

 「パン、パン、パン」で書いた方、一昨日、朝、亡くなりました。

 後、二時間待っていてくれたらば、最後の息を看取れたのに、「ありがとう」って、伝えられたのに・・・待っていてはくれませんでした(>_<)


 早番の看護師が来た時には息があり、薬配りなどをして、静養室覗くと、すでに・・・


 私が出勤した時には、主治医による死亡確認も終え、着替えていました。こざっぱりしたチェックのシャツ。

「ああ、ダメじゃない・・・サヨちゃんは、フリフリが好きだったのに・・・らしくないな~」

と・・・

 先ずは、頬紅さして、紅をひいて・・・あんなに浮腫んでいた足も、すっきりしていました。

「綺麗になっているね」

そう、とっても・・・微笑んでいるようでした。


 昨日のことを聞きました。

「昨日の朝ご飯、自分で全部食べたのよ!あんなに呼吸苦しそうだったのに・・・止められなかった・・・きっと、最期だと感じて、頑張ったのかな~食べること好きだったものね。で、お昼前、血糖値測ったらば、なんと500越え・・・慌てて彼女の薬飲ませようとしたんだけど、もう、口開けてくれない。その内、体が熱くなり、40度近くなってきた。呼吸も苦しそうなので、静養室に運び・・・解熱剤も飲めないし、脈拍は、160超えるしで・・・夜間対応用お看取り用紙作って、会わしてあげたい人に、声かけて・・・Aさん見たらさ、「あんがと、あんがと」って、手を合わせて言うわけ。あの口の悪いAさん、慌てちゃって「○○さん、苦しいのに、じゃべるんじゃない!わかったから、わかったから・・・」って、泣くのよ・・・見ていたこっちも、泣けてきたわ・・・もう、会う人合う人に、「あんがと、あんがと」って・・・ここで看取れて、ホントに良かった、幸せな人だよね、そう思いたいよね」

と・・・

 夜間帯も、うつらうつらしながら、時々声を出すような呼吸だったと、聞きます。



 サヨちゃんは、すでに十年以上前からここに居ました。一人暮らしがままならなくなっての、入所です。入所される時には、長男さんの名前もありましたが、折り合いは悪いようで、入院する時、署名はしてくれましたが、会うことはなかったようです。

 そう、彼女には、入所してからの入院歴があります。それも、二回も・・・

 色々と訴えが多くて、検査しに行ったらば、腫瘍が見つかり、開腹せず、カテーテルでの治療でしたが、入院。初めての入院は最初嫌がっていたそうですが、説明して痛くないと理解?したらしく、行きました。認知症以前に、軽度の知的障害があったようです。おばあちゃんなのですが、なんとも童顔で、喜怒哀楽が単純で、我慢が出来ない(>_<)

 その後、フォローでの通院。それが、サヨちゃんの楽しみでした。売店でパンを買ってもらうのです。

 受診の日は、フリフリの服を着て、嬉しそうに玄関前で待機。

「ばんばる(頑張る)」を繰り返し、ガッツポーズまで(笑)

 なにしろ、問診している医師にまで、

「パン、パン」と言うので、付き添う看護師は、恥ずかしくなってしまいます。

それでも、とっても優しい医師で、

「パン、美味しいですよね、食べて大丈夫ですよ」

なんて言ってくれるものですから

「てんていが、いいって、パン、パン」

と、施設に帰ってからも、言い出します。ほんとは、受診でパン食べていることは、内緒(笑)看護師のおごり・・・

 二度目の入院を勧められた時、サヨちゃんに聞きました。どうする?と。すると、間髪を入れず

「ばんばる」と、大きくガッツポーズ(>_<)

「あのさ~パン食べに行くんじゃないんだよ、もしかしたらば、返って来れなくなっちゃうかもしれないんだよ」

サヨちゃんの心には、響きませんでした(>_<)


 でも、無事に退院の日を迎えられ、引き取りに(笑)行くと、ナースステーションでチョコランと車椅子に乗っていました。

「そうだよな~静止聞かないし…お世話を掛けたんだろうな~」

と思いつつ、頭を下げると

「○○さん、そのぬいぐるみは、置いてってくださいね」

と、ちょっときつめに言われてしまいました(>_<)

「サヨさん、それは病院のみんなのだから、置いていきましょうね、サヨさんのは、施設で待っていますよ、早く帰りましょ」

 病院の玄関までの道すがら、笑顔でみんなに手を振り、「あんがと」を繰り返しました。看護師さんだけでなく、お掃除の方や、外来でいらしている方にまで・・・嬉しかったのかな~「良かったですね」と言われて(*^-^*)

 その後も、数回フォローの為受診しましたが、感染期間の受診は施設にとってリスクがあるということで、病院の先生とも相談して、施設の主治医からの処方に移し、受診はなくなりました。何時まで待っても、パンの日は、来ませんでした・・・


 そうそう、この入院で、変わったことがありました。それは、異食が治まったこと(笑)

「厳しく指導されたんじゃない」

と、みんな・・・

 サヨちゃんは、何故かティッシュをちぎって、食事の中に入れて、したして食べていました。それを見つけては、Aさんが、

「こら、○○さん、何食べている!汚い!」

と、叫んでいました。しかもそのティッシュ、収集癖があるので、どこからか調達した?ものです(笑)


 サヨちゃんには、沢山の忘れられない思い出が、あります。


 髪に付ける物が欲しいと言って、相談員さんと買い物に行き、ポマードを買ってきた事件?

まあ、それを買ってしまった相談員さんも、相談員さんなのですが・・・「これがいいって、言ったから」って、阻止しようよ(>_<)

 結局、匂いが強いし、べたべたになるわで、回収されてしまいました。しばらく、泣き叫んでいました(>_<)

 その後は、とにかく塗るものが欲しかったようで、ワセリンをせがみます。少し絞り出すと、足らないようで、もっと欲しいと引き下がりません。根負けして、多めに手のひらに絞り出すと、そこら中に塗ってニコニコ・・・でも、後でAさんに叱られます。

「そこら中、ベタベタの手で、触るんじゃない!!!」

と・・・怖いらしく、車椅子、ダッシュで逃げます(笑)

 お見送りをした後、

「ああ、ワセリン塗るの忘れちゃった、一本持たせてあげれば良かった・・・」

と、悔やまれました。


 ナースコールがマイブームになってしまって、用もないのに押すもので、ちょっと隠したことがあり・・・その夜、サヨちゃんの部屋から物音が・・・

 その内、同室の方からナースコール、

「うるさくて眠れない」

と。

訪室すると・・・

サヨちゃん、木製の「位牌」で、ベッドサイドを叩いていた(>_<)

「これは、そのような使い方をするものでは、ありません」

と、言ったとか(笑)


「あんにゃに、いいもん、あげりゅ」

と言われて、手を出したらば、おもむろにバッグからティッシュに幾重にもくるんだものを取り出し

、ゆっくりと、広げて

「はい」

渡された物を見た看護師、危うく足がつって、倒れ込む所でした。幸い、傍にいた介護員さんが手の平から回収してくれたので、転ばないで済んだのですが・・・

 干からびたウンチ

 たぶん、たぶんですが、便秘症なのを心配していたことへの、報告?悪気はないと、思います(>_<)


 まだまだ、エピソード、たっくさんあります。だから、いなくなって、ホントに、寂しい・・・



 亡くなる六日前、夕方、喘鳴いつもよりひどい感じで、サチュレーション測ると97%。しかし、脈拍が140越え・・・最近、大好きだったポカリゼリーを残すようになったし、足のむくみ、悪化している。で、翌日、往診日だったため、上申しました。

 診断は「心不全」。テープと、利尿剤が処方されました。これで、良くなるとは、私達も思いませんでしたが、「入院」は、考えませんでした。行ったらば、返って来れなくなる!とにかく、辛くないように、見守って行こうと、決めました。

 数日前、パンを焼いてきた看護師がいて、医務室で少し渡してみたのですが、くちゃくちゃ口の中でしていて、ほどけていかない(>_<)美味しそうな顔はするのですが・・・

「食べさせてもらわない内に、食べれなくなっちゃった」(>_<)

 で、パンは諦めて、貰い物のイモ羊羹、ほんの少しづつ、お口へ。まるでヒナにアワだかヒエを食べさせているみたい(笑)

 翌日、トイレ介助後、呼吸が乱れ、脈拍160越え・・・トイレは無理と昼夜オムツにしてもらいました。食事も、自分だと苦しくても口に入れてしまうからと、介助でゆっくり。

 次の日は、熱が出だしたため、解熱剤内服。少しでも落ち着いて眠って欲しいと・・・

 食事はなんとか半分弱。糖尿病の薬、どうだろうか?と、血糖測ると、300・・・ん~みんなで迷いましたが・・・利尿剤だけで・・・毎日測って上がってきたらば、又考えようということにしました。

 亡くなる前々日、状態変わらず。



 亡くなったことを、彼女を知っているだろう方達へ、知らせました。


 何人かは、亡骸を見て、泣いてくれました。安らかなお顔だと、綺麗だと、言ってくれました。

 Aさんは、泣きながら

「昨日はありがとうって言ったんだよ、寂しいよ」

と、いつまでも、そのお顔を覗いていました。

 同じテーブルに座っているちょっと強面のおじいちゃん、亡くなったことを知らせたらば

「○○~」(苗字、呼び捨て)と、叫んでガン泣きでした。

 それを見たAさん、

「男はそんなに泣くんじゃない!みっともないぞ!」

と・・・



 朝に亡くなったおかげで、お昼前、沢山の方に見送られて出て行かれました。これが夜間だったらば、夜か朝に、ひっそりと出て行かなくてはいけません。

 朝まで頑張ってくれて、良かった(*^-^*)



 一つ、白状しなくてはならないことがあります。

 亡くなった日は、私のリーダーの日で、夜間対応の当番。しかも、とても苦手な介護員さんが夜勤者・・・

 「朝で良かったね」

と、みんなと話している時、今夜無事に過ごせること、考えてしまいました(>_<)


 でも、寂しい気持ちに、変わりはありませんので、許してねm(__)m


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