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長いお看取り期間を経て、ゆっくりと、旅立たれました、彼女らしく

 先日、長い長いお看取りを経て、亡くなった方


 私が、入職した時には、まだゆっくりですが歩いていました。ご飯は、歯が数本残っているだけで、義歯がないため、ソフト食。小さな柔らかいスプーンで、ゆっくりゆっくりと・・・そう、全てが、ゆっくり。

 自分から話すところは、聞いたことなく、どこかがぶつかった時などに

「い・た・い」

と、囁くような声で、訴えます。表情を、ゆっくり変化させて・・・


 結婚後、かなりつらい目に合っていたと、聞きます。なので、ここに入れて、やっと落ち着いた生活を過ごせるようになった、と、みんなその話を知っている方達は、言っていました。


 まだ話が少し出来る頃、息子さんが面会に来て、何となく相槌を打っていました。息子さんは障害を持っているようですが、お掃除の仕事に就いていて、お母さんに

「ゴミの分別は、大変なんだよ」

などと、一方的に話をするのです。私達は、

「そんな話しても、イクちゃんには、わからないのに~」

と、思ってみていましたが、頷きながら、ほんと、お母さんの顔なんですよね(*^-^*)微笑ましい面会でした。


 歩行が怪しくなってきて、良く転ぶようになりました。なにしろ、ゆっくりなので、見守るにも、時間がかかり、手引き歩行は、引きずるがごとく(>_<)それでも、手を繋がれると、ちょっと、微笑んでいるように見えました。嬉しかったのかしら・・・

 そして、車椅子対応。それでもしばらくは、トイレに行っていました。なんとかつかまり立ち出来たので。けれど、つかまり立ち、トイレ介助時だけのリハビリでは、筋力低下して、難しくなり、オムツになってしまいました。全てにおいて、文句を言われたことは、ありません。認知症が進んでいたからというよりも、性格なのでしょうか、受け入れるだけの方でした。


 食事も、なかなか進まなくなり、時間がかかるので、食事介助することが増え、とうとう、手が出なくなりました。拘縮するということはなく、ただ力を入れない(>_<)食べる分だけ口に入れてもらうと、眠ってしまいます。

「寝ちゃった、はい、終了」

即撤収して、ささっと、口腔ケア。

それでも、なんとか体重キープ。内服薬無し!時々、下剤服用のみです!


 体調崩すこともなく、動くことも声を出すこともなく・・・置物的な感じ。それでも、

「イクちゃん、イクちゃん」

と、可愛がられていました。色白で小っちゃくて、ふっくら・・・羽二重餅のような・・・

 

 そんな訳で、すでに二年ほど前から、食事量減っていました。水分もポカリゼリーのみ、そんなに取れていません。それでも、問題なく、過ごしていました。


 覚醒が悪く、食べ物を飲み込まずに口からだら~と出してしまうようになってきたのは、半年前ぐらいからです。それでも、時々、介護員さんによるのか、覚醒が良かったからなのか、完食という時もありました。緩やかな体重減少。老衰の域になってきたと、思いました。


 そして、三カ月前、さすがに食べれないほうが多いので、家族に連絡すると、遠い親戚の方から、応援?の品が、スタッフに届きました。段ボールで・・・お持ち帰りするほどに・・・

 息子さん、娘さんがいらして、実際にイクちゃんに食事介助をしてもらい、飲み込みが難しいことを体験してもらいました。

「わかりました。母が苦しくない程度に、お願いします」

と、寂しそうでしたが、わかって下さいました。


 一日の食事量、数口、水分200㏄などという日が続きました。そこで、誤嚥させる前に食事を中止してお看取り対応にしようかと、主治医に相談し、ご家族に話してもらいました。ご家族も納得されて、いざ明日からという時に限って、覚醒良く、食べれてしまうのです。医務室での会話が、盗聴されているのか・・・がんばってしまう介護員さん、それに応えるイクちゃん(笑)

 栄養士さんも、俄然やる気を出され(笑)、味の凄い(酸っぱくて、甘くて、匂いも強烈!健常者、無理)カロリーゼリーを購入。介助方法も、伝授・・・口に入れたらば、顎を下から抑えて、口を閉じ、飲み込むのを待つ。車椅子の角度、クッションの入れ方、写真に撮って、張りつけました。


 みんなが、イクちゃんの為?と、知恵を絞り、工夫をして、時間をかけ・・・イクちゃんは、感謝も出来ないけれど、文句も言いません。


 どうしても、取れて600㏄という水分量では、脱水になったようで、発熱しました。けれどなぜか二日ほどで自然に解熱、そこからは36度台、亡くなる二週間前ぐらいからは、なんと35度を切っていました。

 呼吸も、それまで気にしていなかったので、前からかはわからないのですが、ゆっくりした深い呼吸の後、20秒以上無呼吸。時々、

「止まってる!」

と、思って、肩を叩くと、

「ふ~」

呼吸開始(笑)

亡くなる一週間以上前の早番で、先ずはイクちゃんを見に行こうと訪室すると、止まっている!

「ああ、まだ温かい、イクちゃん、なんで待っててくれなかったの?」

と、手を合わせたらば、

「ふ~」

でした。ごめんなさい・・・


 そんな呼吸ですから、足先にチアノーゼも出てきました。赤黒くなってきて、それそろかしらと思うと、翌日にはピンク色、その繰り返し。何なんでしょうか?



 明日が休みという日には、帰る前にお別れをしていました。それが、一か月越え・・・



 一日量、ゼリー食2分の1と、ポカリゼリー2~300㏄だけで、ホントに最小限の省エネで生き抜きました。誤嚥することはなかったと思います。食事介助されて、対応しきれなくなった方が出す、鼻水も出ませんでした。ただ、一度だけ、食事介助の直後、大粒の涙が、流れたのを見てしまったのです。あれ、何だったのでしょう?



 朝、看護師が朝食後の薬配りなどの一仕事を終えて訪室すると、亡くなっていたそうです。前日、入浴して、

「入浴後なのに、身体冷たいね」

と、みんなに、擦られて、くすぐったそうにしていました。朝、すでに冷たかったらしいですが、たぶん、そんなに時間は立っていなかったと思います。

 家族に連絡するも、繋がらず・・・けれど、主治医が到着するタイミングで、家族もいらっしゃいました。面会に来て下さったようです。イクちゃんが、呼んだのでしょうか?



 イクちゃん、みんなが、一生懸命あなたと関わりました。

 苦しませてしまった?

 時々見せてくれる、あなたの笑顔、それがいけないんだよ。だから、みんな・・・


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