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自然に任せるという、選択 3

 56,63話の方、夜勤者四人に看取られて、亡くなりました。


 前日の午後、一時半ごろから、足の裏にチアノーゼが出始めたので、夕方かしらと思っていました。その時点で、呼吸は規則正しく、苦痛表情無し。声掛けに、辛うじて瞼を動かしてくれますが、開眼まで至らず。でも、瞼を持ち上げると、なんとなく追視をしてくれる。朝には強く握り返してくれたのに、両手とも脱力。あんなに曲がって拘縮していた膝も、なんとなく伸びてきたような・・・


 主治医が来てくれる時間までに亡くなれば、オンコール対応で、施設に戻ることになっていました。

「今帰っても、微妙だな~」

と思いながら、待っている訳にもいかず、いっぱいいっぱいさよならをして、帰りました。帰る時には、亡くなる前に聞かれる、喘鳴が始まっていました・・・


 で、その時間が過ぎても、連絡ないので、就寝。


 二時半ごろに、息を引き取ったと連絡ありました。


あんなに、「夜はダメだよ!独りで逝かないでね」って、言っといたのに・・・


 朝、ビンビンに冷えた静養室に、顎をタオルで結ばれて、横になっていました。介護員さんセレクトの可愛いピンクのブラウスに、レースのカーデガン、首にはシフォンのマフラー……スジだらけの首が、優しく包まれていました(*^-^*)

 タオルをほどくと、すでに固定されていて、優しいお顔がありました。口をすぼめていて、上の前歯が一本、飛び出しています。笑ったお顔です。口紅は塗る所がないので、チョットだけ、頬に紅をさしました。

 布団が膝の所で山なりになっているので、伸ばしてあげようとしたらば、なんと、膝の下にクッションが(笑)確かにそのほうが、安楽だけど・・・亡くなってすぐならば、伸ばせたかな~

 でも、退院した時のことを考えれば、はなまるです(*^-^*)


 亡くなった時の様子を夜勤者に聞くと、

「○○さん(介護員)が、もう、五分と持たない感じだって、みんなを呼んでくれたのよ。で、四人で最後の息を看取れた……声も掛けたし、身体も擦ったから、寂しい旅立ちではなかったわよ」


 

 五月の末に、お看取りとして、退院された方です。それが何と、二日後には、まあ、元々少しだけの食事量ですが、ほぼ完食!病院で、食べれなかったのは、何だったのでしょうか?

 もちろん、ムラはあるし、覚醒しない時もあります。介助を無理すると、むせてしまうことも……でも、何とか食べ、水分もゼリーで取れていました。振り子の車椅子に乗っている時など、目も開けてくれるし、笑ってくれる!!!握力も、復活!!!


 入院していたことをみんなが忘れかけていた二か月後、少しずつ少しずつ、又食事量が落ちてきました。眠っている時間も増えてきて、車椅子に移っても、覚醒しない(>_<)なので、食べることが出来ない。

 そこで、食事はお昼だけにして、朝夕は、栄養ゼリーと水分のみとしました。


 一日の水分は、取れて600㏄。ゼリー2個と、ゆっくりと無理しない程度のペースト食。それで、低空飛行を……その間、私達に沢山の喜びを与えてくれました(*^-^*)


「今日は、良く口を開けてくれるよ!しっかりと、ゴックンしてくれる!、いいね」


「これ、美味しいのかな~なんか、笑っているね」


「赤ちゃんみたいだよね~指入れると、握ってくるし~」


 ただ、食べてくれる、笑ってくれる、それだけで、私達、嬉しかった・・・



 八月中頃、水分も、難しくなっていき、一日に200㏄がやっと、ご家族に主治医から説明をしていただきました。もうすでに、何回も(笑)話はしているのですが、お看取り対応として、看取り加算?取る為に必要だそうで……

 ご家族は、病院でも話されていたように

「苦しくないように。後は、お世話をおかけしますが、そちらの都合に合わせて頂ければ、いいと思います」

と。又、

「夜間は、どうせ行かれないから、もし、置いて頂いて迷惑が掛からないのならば、連絡は朝7時半頃で、お願いします」

と言われました。


 それから、水分も飲み込めなくなり、まる三日、足の裏にチアノーゼが出てから半日頑張り、ホントに優しいお顔で、亡くなられました。


まだ、お話が出来るころ

「女はおしゃべりが好きなのよ」

と、笑っていたお顔のまんまです。お部屋で独語?誰としゃべっていたのだか?つかまると、話が切れないので、なかなか離してくれない(笑)可愛いおばあちゃんでした。


 長男さん夫婦が引き取りにいらした時、奥様に

「みんなに愛されていたんですよ、それにしても、心臓のお強い方ですね」

と、色々エピソードを話していたらば

「そうなんですよ、強い人でした、私なんか、一個も勝ったことがない……外面いいのかしら……でも、ここで可愛がってもらえていたことは、ホントに嬉しいことです」

と、涙を流していらっしゃいました。

 長男さんも、何度も何度も深々と頭を下げていかれました。



  あなたの息子さんですね、最後まで、素敵でしたよ(*^-^*)

 

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