最後にしてあげることが、まだあります。
今、風前の灯火の方が、います・・・
昨日、お昼前、心配で、居室に行くと、まるで胸を動かさずに、顎だけで呼吸しています。顔色は、どす黒くて、わからない……サチュレーションは、70台。
「これって、あれだよね~」
看護師二人で、顔を見合わせました。
靴下を脱がすと、何となく足先の色も悪いような……
でも、苦しそうでは、ない……
「ツヨシさん、ツヨシさん」と声を掛け、しばらく見守っていると、又、胸を動かし出した……
「今日のお昼は、無理に起こさないでと、介護員さんに伝えよう」
と。
で、お昼にホールへ行くと、ちゃんと座って、彼、食べている!
彼、ツヨシは、ここへ、まずショートステイでやって来ました。一人暮らしをしていたアパート立ち退きとなり、緊急入所。
既に半年、入浴せず、コンビニ食で食いつないでいたとか。一年前から関わっていたケアマネさんが、あっけらかんと説明。薬もぐちゃぐちゃ……、でも、それはいいとして(笑)、とにかく、臭う!!持ってきた衣服からも、とても人間の臭気ではないような。身体も痒いらしく、ボリボリと掻いていて、その度に大量の落屑が舞います。
一人で入浴、その後に皮膚科へ。疥癬は否定され、アトピー性皮膚炎。ほっとしました。
一人暮らしを満喫?していた方なので、何かと大変でしたが、食事だけは、大いに気に入ってくれて、
「旨いよ、旨いよ」
と、いつも、完食でした。
それなのに、お通じがない。入所時、ケアマネさんの説明では、
「コロコロの便が、台所の流し?に落ちていたそうで~す、便秘気味なんですかね~」
でした。が、いつも、緩い便が出っ放し、まとまった便が出ない。で、
「硬いのが詰まってしまって、周りから緩いのが出ているのかしら?スッキリと一回やらなくちゃ」
と、取りあえず、レシカル入れることにしました。
レシカルで、良かった、これが下剤内服していたらば、死んでいたかもしれない……
レシカル、何度試しても、ポキンと、折れてしまうのです。これはおかしいということで、即受診。
それから、何しろ食べることが大好きなのに、「食べるな!」なので、色々問題を起し、病院も変え、忘れた頃に、なんとストマになって、帰ってきてしまいました。
命を救ってしまった? その責任? か~(>_<)
入院中に、かなり認知症も進んでしまい、手を上げるようなことはないのですが、思い通りにならないと、声を荒げ、近寄ってきます。自分の食事と人の物の区別がつかないというか、人の物も、自分の物(笑)、油断できない……
「又、ツヨシが……やられた!」
でも、慣れてしまえば、ここの住人。特に問題なく?馴染んでいきました。
それが、この春口に、風邪を引きました。
初めは、
「○○も、風邪ひくんだ?」
なんて、みんな笑っていましたが、次第に、咳き込むようになり、痰がらみも酷く、サチュレーションも徐々に低下。それでも、食欲は変わらず、
「食べているんだから、大丈夫」
と、野生の力?を信じちゃっていました(>_<)
それが、食べれなくなり、いつも何杯も欲しがるお茶も、飲みません。で、受診、即入院。
「又、追い出されるんじゃない?」
と思っていたらば、なかなか退院の話が来ない(>_<)
一か月、来た連絡は、
「たぶん、ガン、どうしますか?」
でした。
肺炎は、程なく完治。が、肺に水が溜まっている。で、抜いたらば、腫瘍が写った……
家族は、もう、繋がりが無く、本人は、判断する能力、不足……
「病院にいたい?手術をしたい?」
こんな質問だけで、決められません。
病院とも話し合い、退院することにしました。
「食べられないほどに、苦しそうならば、又、水を抜きましょう。抜いても、元を治療しなくては、又溜まります。けれど、この歳での、積極的な治療は、ただ、ベッドに寝かせている時間を伸ばすだけになってしまう可能性が高いです」
そう言ってもらえ、施設として、覚悟をもって、ツヨシを迎えました。
ツヨシさんではない、ツヨシ……本人に対しては、ツヨシさんとか、苗字で呼んでいるのですが、どうも、話題にする時には、
「ツヨシがさ~」
なんでなんでしょうか?ん~ん、そんな感じの方なのです(笑)
退院した時には、嚥下も悪くなっていました。あの、歯が三本しかないのにコンビニ弁当食べていたツヨシ、入院前、お粥になり、退院後は、ノリのようなゼリー粥になっていました。
それが、今日、
「ああ、ご飯が食べたいな~」
と、つぶやいたのです!
「ツヨシさん、この食事は嫌なの?」
「いや、ご飯食べたいだけ、美味しいからさ」
早速、栄養士さんと相談です。後、何食、食べられるかわからないのですから……
「お試し」として、ご飯を出してもらうようにしました。それから、食べたい物を聞きましょう!リクエスト、何でもツヨシに降ってきます!食べたい物を食べて、それで……と、だって、今、生きているのですから。
最期を、どう過ごしたいか?
シチュエーションを、考えることもあります。まあ、思い通りには、ならないとしても……
第一話で書いた、おじいさん。私を、成長を楽しみにしていた誰かだと思ったらしく、会えたことを喜んでくださいました。たまたま、意識が戻った時に、私がいた。その後は、きっと、その方と楽しい時を過ごす夢を見ていったのだと、思いたいです。
お看取りの方が、覚醒していることを知らせてくれる何かがあれば、いいのにな~
そしたらば、誰かしら、傍に寄り添えると、思います。
私は、「美しい心」と言ってくれた という小説の中の施設で、お看取りの為の部屋を作りました。
施設に入所したらば、まず、亡くなる時にどういうシチュエーションがいいか?好きな音楽、香り、何してもらいたいか?どんな幼少期を過ごしたのか?家族、会いたい人等々データを取る。で、それをもとに、演出する。
~好きな味での口腔ケア。枕元に座って何か話している人もいる。
「何を話しているのですか?」
「聞き取りをしていた昔の話とか。やはり、肉親が看取れないのは、切ないじゃないですか。ふりをする。ん~この方が看取られるべき環境を演出する。余計なお世話かもしれないけれど、看取っている側の虚しさを埋めるための、ん~最後にしてあげることがまだある、ということが、私達の救いになっているのかもしれません」
と、書きました。
ツヨシさん、もう少し関わらせてね




