表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/299

自然に任せるという、選択

 今日、入居者さんの入院している病院からの要請で、ご家族と共に、病状の経過と今後の方針について、その説明と、「どうしたいのか?」の話し合いがありました。


 もう、何度となく、「食事が取れなくなってきたので……」と、施設の主治医から家族にお話のあった方です。体重、二十数キロ。ほとんど寝ているのですが、話しかけると、答えてくれます。

「女は、話が好きなのよ」

と、電池が切れるまで、話が止まらないので、そばから離れるタイミングに困ってしまう……


 その方が、高熱を出してしまいました。いつもならば、解熱剤で様子を見ていたのですが、ここの所、風邪が施設ではやっていたので、心配になり、受診したらば、入院!


 何しろ、細っそい方なので、抹消からの一般的な点滴が入らず、鎖骨下からの中心静脈栄養となりました。それを聞いて、

「それって、延命?」

もう、百歳近い方です。やっと食べていました。食べない時間が長引けば、食べれなくなることは、目に見えています。

「あ~連れていくんじゃなかった」

と。でも、痰がらみしていて、苦しそうだったし~けど、もう、帰ってこれないのではないかと……



 病院の主治医からのお話がある前に、少し時間があり、その方のお子さん二人と話す機会がありました。


 長男さんは今回の話し合いにおいて、「自分の気持ちは、決まっているけれど、自分だけの親ではないので」と、長女さんを呼ばれたそうです。お二人で昔の話をされていました。そんな中、「お母さんは、無理な延命を望んでいなかった」となり、方針を決められたようです。


 息子さん曰く

「二年ほど前の食べられなくなってきた時、施設の主治医から、「老衰です」と言われ、もう、母さんにはお別れを言いました。だから、……

 何かして、回復でき、家に連れて帰れて、テレビを見てワハハと笑えるのならば、何でもしてもらいたい。でも、この状態を長引かせるだけならば、もう、苦しい思いは、させたくありません」

 きっぱりと、おっしゃいました。


 施設でのご様子を含めて、楽しいお話で、みんなして笑いました。頑固な所も、気丈な所も、ユーモアセンスがあり、ちっちゃな目でウインクする仕草も……



 病院の主治医からのお話が、とても分かりやすかったので、紹介いたします。



 高熱を出していたので、入院となりました。肺炎と言うほどのことはなく、気管支炎。抗生剤によって、高い熱は連休に入って、もう、下がっています。

 熱によって、飲み物も取れなかったので、点滴治療。ですが、血管が細すぎて、太い血管から入れる高カロリー輸液となりました。

 しかし、昨日から、食事を開始したのですが、口を開けてくれる様子がありません。


 今後の選択筋は、三つあります。


① このまま、高カロリー輸液を続ける。

  この場合、たとえ口から栄養や水分が取れなくても、必要なカロリーは、取れるでしょう。ただし、針を刺したままでは、施設に戻ることは出来ないので、療養型の病院への転院になります。輸液を続けたからと言って、今の状態が回復するとは、考えにくいです。


② 胃瘻を造る。

  お腹から胃に穴を開けて、直接栄養を入れる手術をします。食べれなくとも、生きていくことは出来ますが、この場合も、今の状態が回復するとは、考えにくいです。また、胃に無理やり食べ物が入る訳ですから、吐いて、誤嚥することもあると、お考え下さい。


③ 自然に任せる

  残酷なようにも、聞こえるかもしれませんが……食べれなくなったということは、寿命。老衰として、受け止める。本人の持つ生命力のままに、無理をさせない。


 長男さんから、家族の考えとして、自然に任せるの選択を伝えて下さいました。


「では、これから一週間、食べる練習をしてみます。食べれるようになるかは、わかりません。もし、上手くいかなくても、施設に戻れるのですか?」


「はい、点滴を入れたままでは、お帰り頂けませんですが、たとえ食べることが出来なくても、お帰り頂けます」


「では、その方針でいきましょう」


「○○さんは、どんなに食が細くなっても、チョコレートだけは食べて下さいました。チョコ味でお願いします」


「やってみましょう!」



 帰る前に、病室に行きました。お名前を呼ぶと目を開けてくれたので、

「今度来た時は、一緒に帰りましょうね」

と言うと、大きく頷いてくれました。そして、手を握ると、ギュッと握り返してくれて、離してくれません。

「ああ、いつもの○○さんだわ~離れるタイミング、むずい……」

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ