妖怪便まみれ
今日も、天気が良かったので、うちの子(サボテン二鉢)に、「日光浴を」と、庭へ。夕方、迎えに行くと、トゲトゲに、桜の花びらが刺さっています。
「あら、お花見してきたの?」と、声を掛ける……
窓際のベッドの方々、時々、日干しにされていることがあります。顔に直の日光は、気の毒ですが、カーテン開けたら、開けっ放し。布団への日差しも、体温を上げてしまいます。真っ赤な顔して、茹っていることも、しばしば。
廊下側のベッドの方々、日光は届きません。プライベートカーテンなんか引かれては、一日中、薄暗い……
今年の桜、車に乗れる数人が、「お花見」と称して、ぐるっとドライブしてきました。帰ってきて、すぐに行って来たことを忘れてしまう方もいらっしゃいますが、車中は、楽しそうだったと、聞きます。でも、花びらに触れられなかったかな……
うちの子達の方が、「しあわせ」とは、言いません
「一人一人をちゃんと看る、生活を潤いのあるものにする」などは、施設として、とっても難しい!
して差し上げたいという、志があったとしても、手がありません。日差しの角度によって、カーテンを引くとかの為に、各部屋を回っては、いられません。けどね、オムツ交換や、水分補給で、回っている時に、ちょっと、気にしてくれてもいいのにな~と、思ってしまいます。窓側と廊下側を時々チェンジ……そんなこと言ったらば、お叱りを受けること、必須。
生活の介助、生命の維持だけで、もう、手一杯。
そんな中でも、季節ごとの、壁飾り(幼稚園風)等々、工夫されています。まあ、ホールが明るい雰囲気で良いのですが、参加するところまでは、なかなか出来ないようです。
「スタッフがやった方が早い」
「クオリティに、難あり」
「教えるのに手間がかかり、そんな暇がない」
ここは、リハビリ施設ではありません。トイレに移乗する時が、立位訓練。毎日の食事が、指の運動。
理学療法士も、作業療法士も、言語聴覚士もいません。ですから、なあんにも、することがない。毎日、同じ日常の繰り返し。そして、生活動作に問題が出て来る(失敗や時間がかかるなど)と、介助の割合が増えて、何も出来ない人になっていくだけ……
家に居れば……
「家に帰りたい、ここには自由がない!」
と、訴えている、入居者さん。でも、帰ったとしても、一人ではとても生活が出来ません。オムツ交換されず、食事も出てこない。それで、自由なのでしょうか?いったい、どんな自由が得られるのでしょうか?とにかく、ここに居るのが、不満ということだけ?
「家に帰りたい、子供の所に」
と、訴えている、入居者さん。それがもう無理になったから、ここに入られたのです!
ツイッターで、
「施設では、20名程を、夜間一人で介護している。家で一人で見るだけで、大変なのに……」というようなことが、書かれていました。
私が思うに、
「一対一でないから、出来る。愚痴る同僚がいるから、出来る」
と。
施設では、「一人一人に、完璧に対応なんて出来ない」からの~介護です。
「ちょっと、待っててね」の、連続です。広い施設内、スタッフの逃げ場はあるし、ナースコールだって、他のスタッフのも鳴っているのですから……要求をすべて満たすは、到底無理だし、いくら頑張ったとしても、相手は満足しない輩……これが、狭い家の中で、一対一では、とてもとてもやっていけません。
オムツ交換も、時間で回る。「ぎゃ~」という状態でもない限り、待ってもらいます。尿意のあるクリアーな方は、
「オムツ交換は何時ですか?」
と、聞かれて、そこに合わせて、排泄するようです。介護者の都合に合わせている……
食事は、同じ時間と決まっています。「なかなか起きてこない」からと、少し待って出すは、ありますが、早く出すは、スタッフの都合。「まだ、食べてない!」には、いちいち対応しません。嫌いなものは、残せばいいだけ。肉がダメな方は、魚という、代替えはしますが、嫌いなメニューを、すべて排除なんて、やってられません。食事介助も、一人だけを見ている訳ではなく、まあ、タイミングで……スタッフ同士の情報交換の場だったりします。
ほんとに悲しいことですが、一人一人の入居者さんの気持に寄り添うなんて、到底出来ない。
でも、だからやっていける!と言うか、こなしていけている!
就業時間が終われば、家に帰れます。お休みもあるし、食事に行ったり、旅行だって行けるでしょう。でも、在宅で介護されている方は、休みがない。
それは、無理です。
デイや、ショートステイを利用して、自分の時間を持たれるとか、同じ境遇の方と、情報交換(愚痴る)をして、憂さ晴らしとか……それでも、大変!!それに、職を失っては、自分達の生活もままならなくなってしまいます。助けを求めたくても、どうしようもない状況になっている方、沢山いらっしゃると、思います。声もあげられないでいる方々……
本当に大変なことになっているご家族を、救えるような施設があればいいのにな~と、思います。
先日、ふっと、妄想が……
え~もう、言葉が本来の言葉ではなくなっている方々を、海外に移住して頂き、現地のスタッフによって、介護を受ける。今、施設が足りないからと言って、施設を増やしたとしても、働き手が無い訳だし、やがて高齢者の人口は減っていくのだから、無用になってしまう。だったらば、そっくり移住して頂く。もう、日本語でなくとも、良くなっているんだし~
凄いプロジェクト、どっかの企業がやってくれないかな~ごめんなさい、妄想です……
介護の現場は、
「エ~!!やられた!!」
「なんでこうなるかな~」
「………ハア~」
ってことが、いっぱいあります。
家で一人で見ているご家族は、それを、ため込んでしまうしかないのでしょう。ご家族間で、笑い話にするのは、やはり、難しいと思います。ショートステイを利用しているご家族は、送迎の時に、私達に愚痴っていかれることも、しばしばです。なるべく時間をかけて、聞くようにしています。質問されれば、答えますが、ただ、聞いてほしいという方々が、ほとんどでしょうか。親戚は勿論のこと、旦那さんにも言えない……私達は、ただ、
「体調に変化があれば、ご連絡しますが、お母さんがここに居る間は、忘れて下さいね」
と。そして、入所中の様子から、少しでも家で役に立ちそうなことは、提案しますが、
「また、お待ちしています」
が、一番喜ばれる言葉です。
先日、夜勤スタッフが、
「昨日の晩、出たんだよ~妖怪便まみれ!!」
と、朝来たスタッフに言っていました。
夜間の見回りで、二人部屋、「うっ」という臭気。ボ~と立っている人影と目が合い、ニカッと笑われたそうです。電気をつけると、全身便まみれ、しかも、壁やカーテンまでも……足がすくんだと、言っていました。
要するに、柔らかめの便が多量に、勝手に出てしまい、
「どうしたものか?気持ち悪いし~」
と、なり、そこら中で拭いてみた。
結局、歩ける方なので、二次被害防止のため、泣く泣く休憩なしで片付けたそうです。みんなただただ、
「お疲れ様でした」
もはや、「認知症だから仕方が無い」では、気持ちが収まらないと思います。
妖怪便まみれ……美味しそうに朝ご飯を食べていました。
妖怪は、日々現れ、その日の笑い話となります。それが出来るのも、施設だからかと……




