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看取りに特化した施設を目指して

  今、施設で取り組んでいることが、あります。


    それは、「看取り」について


 ここが、どういう所なのか、入所される方どころか、その家族も良く理解されていないことが、余りにも多い。そのために、最期を迎える時、混乱が起こり、こちらは家族に振り回されるし、本人にも、辛い思いをさせてしまう。何とかならないものか?と。


 手始めとして、入所される時に、「看取り」を含めて、説明をすることにしました。

 今までは、「どこで亡くなりたいか?」「延命治療を、希望しているか?」などの項目に、丸を付けてもらうだけでした。それを、ここで「看取り」が出来ること、もっと言えば、ここで亡くなることを伝える……


 ここは、家族での介護が無理になってしまった方、一人暮らしが無理になってしまった方に、優先順位をつけて、入所していただく施設です。このまま、放置されれば、家族共倒れか、孤独死を免れない方の、終の棲家……


 ですが、何というか、「介護のプロに預けることで、親を、永久保存出来た」と、勘違いしている方が、ちらほらいます。何年も、ほっとらかしにしていると、親の歳を忘れてしまうようで……ご自分も歳を取られているのだから、そこのところ、認識して欲しい!いつまでも生きていると、何で思うかな~


 冷凍保存しているのでは、ないのです!日々を過ごし、確実に老いに向かって進んでいる。預けてしまえば、そこに寄り添うことないので、実感がわかないのだと、思います。同居されていたのならば、その苦労から解放されたのですから、せめて定期的に面会に来て欲しい!入所させて、「はい、終わり」って家族、多すぎます……

 そのくせ、いざ亡くなりそうとなると、出てくる……状況も、理解できない……


 今、急に、飲み込みが悪くなってきた方がいます。といっても、もう、90近い。で、ご家族に連絡して、状況を説明し、主治医から、話をしてもらう段取りになりました。一応、経過を説明

「嚥下が悪くて、食事量が減っています」

と伝えたところ、

「飲み込みが悪くなってきたのですね」

と、言われたので、

「ああ、わかってくれている」

と。が、明日、主治医とムンテラという日に、電話があり、

「少し食欲が無いと、聞いていましたが、今、どうですか?明日、行った方がいいですか?」

と。

「食欲の問題ではなく、口は何とか開けて下さるのですが、飲み込めないのです。30分ぐらいかけて、ゆっくり介助していても、喉の所で、ゴロゴロしてしまって、危ないので難しい状態です」

と、再び、説明。

「はあ、点滴しているのですか?」

ここは、病院では、ありません。こういう勘違い、ホント多くて、困ります。

「いえ、施設では、点滴は出来ません。栄養士から、栄養価の高いゼリー食を出してもらい、対応しているところです。明日、いらしていただいて、主治医から、状況の説明を受けてください」

と。

「はあ、わかりました」


 未来が見えます。


 ここに至るまで、採血したり、内服を変えたりしました。でも……老衰だと思います。この場合、ここでのお看取りで、良いのですが、この家族……ああ、入院させたほうが……って、思ってしまいます。嫌な思い、いろいろありましたので……そこで、


 今まで施設でお看取りをさせて頂いた方、老衰なのに、病院へ連れていかれた方、色々なケース、家族がいました。それを踏まえて、最初に伝えるべきこと、ある意味、覚悟を持ってもらいたいと、考えたのです。

   いずれ、亡くなる

この、当たり前のことを、受け入れられないまま、入所されては、困ります!


 ここは、リハビリ目的の所では、ありません。身体機能も、認知機能も、穏やかに下降するだけで、良くなるは、ほぼ、ありません。たまに、今まで全くの寝たきり状態だったのが、きちんと栄養を取り、起きている時間が増えたということはあっても、サクサク歩けるようになったは、ないかな~

 立位訓練と称して、トイレ介助時に、ちょっと、立ってもらったり、一日一回のつかまり立ちの介助とか~塗り絵をやってもらったり……そんなもんです。

 リハビリして、機能向上したらば、家に帰れるのですか?引き取ってくれるのですか?

 安易に「トイレに自分で行けるようになったらば、家に帰れるよ」なんて、家族、言わないで欲しい……


 「はい、死ぬことを待つだけの所です」は、何とも虚しいですが、入所される本人には、「残りの時間を、安心して過ごせる所です。なるべく、痛みのないように、援助していきます。大切な人に、迷惑をかけないで生活していけますよ」と、伝えたいかと……


 優先順位に沿って、入所されているはずなのですが、「あれれ」って方も、沢山いらっしゃいます。耐えがたきに堪え……と、入所を待っていらっしゃる家族が知ったらば、どんなに落胆されることでしょうか。余りにも、理不尽……わけわかんない……

 入院中に介護度を取って、施設に入ってしまえば、施設の主治医。顔も知らないでDOです。なにも、ここに居なくても、日中デイサービスでも行っていれば、十分家にいても生活できると思うレベルが混在しているから、ややこしい。その家族にしてみれば、「死」は、遠く彼方の事……

「おおーい、ここは、お看取りの為の施設ですよ~」

 リハビリは勿論のことですが、生活の質、というか、まだ自分で出来ることがあったとしても、それを支える援助をする、暇がありません。スタッフには……ゆえに、ボケは、進むばかりです。


 親に、どうあって欲しいのか?何をこの施設に求めているのか?預ける前に、考えて頂きたいです。ただ、今の生活を何とかしたい一心で、預けるのは、やめて欲しい。どうしても、破綻してしまいます。お互い、そう、家族も後悔するかもしれませんし、私達スタッフは、疲れ果て、傷つき、悲しい思いをするのです。そして、入所者さんだって、いい迷惑です。



 いろんな苦労もありました。心配なことも、たくさんありました。でも今、ここに来れて、安心して暮らせます。もう、迷惑をかけることも、ない。だって、ここでは、仕事として介護をしてくれている方に、守られているのだから。わがままは、言えないけれども、お願いすることに、変な遠慮は不要。やっと、安住の地に、たどり着きました。あとは、笑って過ごせるように、可愛いおばあちゃんを演じていくだけです……


 そう、思ってもらえれば、良いかな~


 そんな施設で、ありたいかと……


 


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