表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/299

今日帰る時、身体中にさよならをしました。

  今頃、息を引き取っている方がいらっしゃいます。


 私が帰る時には、体温が35度を切ってしまいました。心音にも、不整が出始め、無呼吸の割合も増えてきました。排尿も、そろそろ、丸一日無い。お通じも、9日無かったのが、お昼に出ました、肛門が弛緩してきている……もう、食止めして、五日……水分補給も、二日ありません。まだ、手足にチアノーゼは、出ていませんでしたが、とても冷たい……今頃、きっと、指先や足の裏が、濃い紫色に変わって、胸を上下させての呼吸から、顎を動かしての呼吸に変わって……そこからは、早いと思われます・


 よく、頑張られました。


 私がお会いした時には、もう、話すことも出来ず、ほぼ食事介助をされていました。なんとか、手を動かすのですが、食事だとわからない様子でした。介助すると、口を閉じてしまいます。ご自分の手を口に近づけると、辛うじて開くのですが、時間がかかる為か、口をスプーンでこじ開けての食事介助となってしまいました。それでも、口に入ったものは、なんとか飲み込んで下さるので、むせて吸引することは、ありませんでした。


 その内、腕が拘縮して使えなくなりました。


 元々、脚は動かないので、眉間を寄せるぐらいしか、動きのない、食べさせられて、オムツ交換されるだけの方に、なってしまいました。そのせいか、お通じが溜まってしまい、三日に一回、浣腸して摘便……やらないと、ガスが溜まって、お腹がパンパンになり、嘔吐してしまいます。


 それでも、耐えて下さいました。


 段々と、飲み込みが難しく、介助のスピードについていけなくなり、食事中、鼻水を出すようになりました。

「無理しないように」

と、スタッフにお願いすると、次第に食事量が減っていき、みんなが、

「そろそろ、難しいね」

と、感じるようになったところで、ご家族とも相談して、食事を止めました。


 そこからは、とても穏やかな時間が過ぎていました。初めのうちは、いつも介護していたスタッフが「行けそう」と感じた時のみ、水分ゼリーをいっていましたが、それも、誤嚥のリスクが高くなり、湿らせたガーゼでの口腔ケアだけになりました。それが、今日で二日目、100cc以下が四日目。


 なぜか、声を掛けると、目を開けて下さるようになりました。


 月に2~3回は面会に来ている息子さんが声を掛けても、最近は目も開けなかったのに、何だろう、柔らかい表情をされています。


 それなのに、


 今日、施設に、雪だというのに息子さんがいらっしゃいました。けれど、様子を聞くだけで、会わずに帰ってしまったのです。


 母親が、もう、死んでしまうのは、理解出来ても、怖い、辛い、耐えられない……と


 穏やかな美しいお顔を見て欲しかったな~


 口腔ケアして、噛みついてもらえたのに……残念です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ