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施設で、生きていくということ

  施設に入所される方は、一応要介護3以上という、シバリがあります。しかし、その身体的、認知度的な状態は、様々です。トイレに自分で行けて、食事も介助無し、しかも、文句の言える?方でも、要介護5が、まかり通る世界です。一つ、共通項があるとすれば、「家に居られなくなった」です。


 「家に居られなくなった」も色々で、そもそも、家を持っていなかった方……路上生活者や、アパートを、認知症からボヤ騒ぎなどを起して立ち退きを迫られた生活保護の方、等々。役所の方が手続きに来て、

「ここに入れて、ホッとしました」

と、おっしゃいます。が、当の本人は、

「前が良かった。帰してくれ」

と、訴えます。マジ、訴えて来るのです。

 暑さ、寒さや、食事の心配もなく、お風呂も週二回入れて、便秘の心配までしてもらえる。なのに、です……

 彼等の言う「自由」とは、生命の危機と隣り合わせだと思うのですが、それでも、私達が「ガラクタ、ゴミ」としか思えない物との生活を望まれます。あまりしつっこく、

「帰してくれ!、こんな所に閉じ込めやがって」

と、言われると、

「なんで、拾って来たんだ!」

と、思いたくもあります。まあ、次第に、この生活に慣れてくるというか、施設仕様にぼけてくれるのですが……


 家はあるけれど、一人暮らしで、身体的、認知度的にも、そろそろヘルパーさんだけでは、無理になった方。食事が届けられても、食べることを忘れてしまう、排泄の始末が出来ないなど。夜間、眠れなくて、不安が募り、119番通報してしまうとか……

 子供や兄弟姉妹がいたとしても、同居はもちろんのこと、緊急連絡先にもなってくれない……

 お金があれば、有料老人ホームという選択もあるでしょうが、蓄えが無ければ、着の身着のままでの、ご入所となります。施設では、個人の荷物は、最低限の衣服と、床頭台に置ける程度の物となってしまい、後は、家もろ共、処分されてしまいます。大切な思い出の品など、終の棲家に必要ないということでしょうか?どんなに辛い思いをなされるか、想像を絶します。又、乾燥機にかけられないような衣服は、着ることを制限されます。

「外出用に、取っておきましょう」

って、いつ、どこへ、外出なんて出来るのですか?ユニクロのフリースに変更です。


 そして、同居している家族が悲鳴を上げてしまった方や、同居を拒まれた方。この方々が、最も多いように、感じられます。そりゃあ、

「玄関開けたら、排泄臭」

というのは、耐えられないでしょう。

 日中は、デイサービスに行ってもらえれば、自由な時間が介護者にも得られます。けれど、「いる」ということが、どれ程精神的に辛いのか?その生活になってみなくては、わからないのでは……介護者の方が、病で先に倒れるケースも多いですから。

 やっとこさ、本入所が決まり、ご家族は、どれ程ホッとされたでしょうか?それまで「いた」部屋をリフォームし、快適に過ごされているかもしれません。きっと、片付けに忙しいのでしょう、本入所が決まると、仮入所の時には頻回に面会に来て下さっていた家族が、パタッといらっしゃらなくなることも、ままあります。反対に、あまりちょくちょくいらして、要望を言って帰られたりすると、

「暇なんだから、自分の家で、看ればいいじゃないか!」

と、思われてしまいます……


 さて、入所された方々は、どうでしょうか?

 かなり認知症が進んでしまっている方でも、ここが自分の家でないことぐらいは、わかります。

「家に帰りたい」

と、訴えます。それが、前に住んでいた家であったり、生まれ故郷であったり、時には、前の施設であったりします。高齢になってからの「お引越し」は、大変なのです。トイレの位置も、使用方法も変わるし、生活のリズムが狂うし、話し相手?も変わるわけだし……家族が面会に来て、

「お母さん、友達出来た?」

って、

「何を考えているんだ!ここは、そういう所では、ありません。そもそも、話の出来る方が、半数。その内、会話が出来る方が、更に、半数。そして、辻褄の合う話が出来て、昨日話した相手だという認識が出来るとなると、ん~とても難しい。職員は、お母さんの友達には、なれません」

と、教えて差し上げたい。とても悲しいことですが、ここは、介護されるだけの、施設です。


 「自分にとって、正当な場所に住んでいる」

という、安心感が、特に高齢者の場合、大切なように思えます。病気ならば、仕方がありません。病院入院を、諦められるのです。まあ、認知症が進んでしまい、自分の体調不良を理解できないのならば、無理ですが。そうそう、こんな家族も、……

「お母さん、今、歩けないでしょう?だから、ここに入院しているんですよ。歩けるようになったらば、家に帰りましょう」

って、ここは、リハビリ施設では、ありません。歩く為の練習はもちろんのこと、そもそも、歩けるようになれる方ではありません。

 認知症、かなり進んでいる方ですが、どうも、察しているように思えてなりません。なぜならば、面会のあった日は、夕食拒否、奇声を上げる等々、荒れます。


 私は、小説、「新党」立ち上げました の中で、「加藤家」という、グループホームを作りました。加藤さんだけに住んでもらえれば、表札に「加藤」と書けるのですから、自分の家と、認識出来ます。まだ、自分の名前を言える人には、自分の家に住んで、安心して生活してもらいたいものです。

 

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