下らない始まり
『天魔大戦』
16億8296万2355年前に終結した、天と魔による戦争。
その天魔大戦という嵐は、ふらりと現れふらりと消えた。
誰も気づかずに始まり、誰も知らぬまま終わった。
終わりについてはともかく、始まりは下らなかった。
とある天使と悪魔の、夫婦喧嘩が原因なのだから。
これは、その『天魔大戦』を描く、物語。
「ふう……しかし、戦争か。治安維持の為の軍隊が、こんなことに使われようとは」
「仕方ないだろ。マトモな戦闘技術があるのが、俺たちしかいないんだから」
「それはそうだが……」
「ま、気持ちは分からんでもないさ」
装備を着ながら、話し続ける二人の悪魔。
そこへ――
「ムータさん、デルアさん、出撃命令です」
「お、遂にか」
デルアは楽しそうに。
「まったく……死ぬかもしれないのに、楽しそうだな」
ムータはデルアに呆れたように。
「そりゃあな。このスリルが良い感じなんだぜ」
「はあ……さっさと行って、さっさと帰ってくるぞ」
「ほいほい――『約束の下に』!」
「『約束の下に』……生きて帰れよ」
「おう……またな」
それが、二人の最後の会話であった――
――『天魔大戦』
何時から始まったのか、それは誰にも分からない。
一説には、始まりなど無いとすらある。
正直、下らない。
目的もなく、ただ周りに流されて、戦う。
こんな戦争に、何の意味があるのか。
誰が始めた。
切っ掛けは何だ。
この戦争で、犠牲になった者達の数は。
本当に、これでいいのか。
止めなければ、何時までも続くであろうこの戦争は。
殺されては殺し返し。
奪われれば奪い返す。
何処までも下らない。
神など、いない。
いるなら、とっくに終わらせてくれてるはずだ。
何で。
騙しては騙し返され。
失わせれば、失わされる。
どうして。
撃たれれば撃ち返し。
刺されれば刺し返す。
こんなに。
斬れば斬り返され。
抉れば抉り返される。
絶望しなくちゃならない?
それは、ささやかな願いだった。
だが――願いは、簡単に叶えられない『夢』であるからこそ、願いなのだ。
それでも。
終わりますように、終わりますように、と。
そうやって、ただただ願うだけしか、出来なかった。
どうか、どうか――
――願いなど、所詮は願いだったのだ。
「長ーい長い、戦いの――始まり始まり」
パチパチパチパチ。
※これは『天使と悪魔の夫婦生活』の外伝的な物であり、本編同様不定期更新となります。早いときは早いし遅いときは遅い。
それでもおkな方々には、楽しんでもらえれば幸いです。
ちゃちゃっと更新しろやな方にも、ストーリーは楽しんでいただければと。
今回は完全にプロローグだけです。
本編こと『天使と悪魔の夫婦生活』もよろしくどうぞ。(露骨な宣伝)
では、これで。ぶっちゃけちゃうと眠い。(投稿時間を見れば分かります)