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サタナエル・サガ  作者: Yuki
第十一章 反逆の将鬼
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第二十六話 邪悪なる神

 レエテとドミノの決着の場に、突如現れた、圧倒的威厳を放つ老年の男。


 明らかにその男を知っている、二人。ドミノとシエイエスが呼んだ名を耳にしたレエテは、完全に己の耳を疑った。


「――え――!? ――クリス――トファー!?」


 そしてそれはレエテだけでなく、ドミノが口にした呼び名を耳にしたシエイエスもまた、全く同様のようであった。


 彼は鞭を手から取り落とし、呆然とその場に立ち尽くした。


「どういう――ことなんだ。なぜ――なぜ貴方が生きて――いる。クリストファー。

死んだ、はずだ――。10年前、処刑されて。それは、確かなはずだ。

俺は、10年間の情報収集の中で、それを目撃したサタナエルの男からはっきりと、聞いた。

貴方は磔のうえ身体を無数の槍で貫かれ、確かに無残な死を迎えたのを見たと。そう聞いた。

それが――“第一席次ディエグ・ウヌ”――? 七長老!? 一体、どういう――」


 男――“第一席次ディエグ・ウヌ”、と呼ぶべきなのか、クリストファー、と呼ぶべきなのかはわからないが――。厳かな表情のまま両目を閉じ、低く言葉を発した。


「久しいな、シエイエス。やはりお前は、私の見込んだだけの事はある男だった。

よくぞそこまでの戦闘者、知恵者に成長してくれた。よくぞレエテを導き、愛し支え、ここまで伴ってきてくれた。

お前とはじっくり話したいが、その前に私には、やるべきことがある」


 そう云って、男は胴体と首だけになったドミノに、向き直った。


 ドミノは恐怖に満たされた悲痛の表情で、涙を流し男に向かって叫んだ。


「嘘、だよねエ!!?? 嘘だと云ってくれよおおお!!!

そんな――あたしを、殺す気な、ワケ!? “第一席次ディエグ・ウヌ”!!!

あたしは、あたしは――10年前本拠であんたに声をかけられ、傘下に入って以来――。ずっとあんたに、尽くしてきたじゃないか!!!

知恵を絞ってきた。行動してきた。汚れ仕事に手も染めてきた。『あんたが指示する方針に従って』!!! 

役に立ったって……凄い地位も褒美もくれてほめてくれたじゃないか!

それにずっと、情婦オンナとしてだって、尽くしてきたじゃあないかあ!!!」


 ドミノの驚くべき言葉の連続に――男は、いかなる感情も慈悲も浮かべぬ鋼鉄のような表情のまま、告げた。


「そのとおりだ、ドミノ。お前の10年間の働きぶりと尽くしぶりについてはこれ以上なく、感謝はしている。

その功績は絶大だ。お前が存在していては、これより先の歯車が狂うゆえ――ここで別れとなるが、それはこの後本拠を襲う地獄を味わわずに済むという慈悲、と理解してほしいのだ」


 そう云いつのる男の身体から――魔力の波動が感じられた。


 これは――“法力”だ。しかし、あまりにも馬鹿げている。その強大さが。

 ゼノンや今のルーミスの強力無比な法力を経験しているレエテは、それとも比較にならぬ強さのそれに、比喩ではなく身震いした。


 ドミノが、極限の絶望に貌を歪め、半狂乱となる。


「イイぃ……嫌だ!!!! 嫌だあああああああああ!!!!!」


「さらばだ」



 男の厳然たる死の宣告とともに、突如――。ドミノの手足を失った肉体が、白い巨大な光球に包まれた。


 まるで高位の重力魔導かと見紛うほどの圧力と、密度。

 本来、サタナエル一族の再生能力は法力を上回るため、血破点を利用した法力攻撃は効きにくいのだが――。

 それを全く意に介さず、圧倒的な巨大さと強大さを備えた3mにおよぶ“光弾(バル=リグーレ)”は、ドミノの肉体を急激に膨張させ、破壊させようとする。

 その破壊力にして、本来法力を通用させうるなど夢にも思えぬ、15mという途方もない遠距離から。


「ぎいやああああああああああ!!!!!」


「ド――ドミノおおおおおお!!!!!」



 レエテの悲鳴と交錯した断末魔の叫びとともに――。


 ドミノの肉体は、一気に爆ぜ、赤黒い血肉と化し周囲に飛散した!



「――!!!」


 その返り血を浴び、わなわなと震えながら呆然と立ち尽くすレエテ。


 

 シエイエスも、あまりの突然の出来事に思考が停止しかかった。


 が――。いかに死して当然の悪魔、外道であっても、曲りなりにも「配下」なり「仲間」であったらしい無抵抗の相手を苦しめての無慈悲に極まる殺戮は――。激烈な不快感をシエイエスに与えた。


 歯を噛み鳴らし、鋭い視線を男に投げかけて、シエイエスは云った。


「未だに、生きていることが信じられないが……。先ほどの云いようからして――貴方は俺の祖父、クリストファーに間違いはないのか?

法王庁の元大司教にして、司教アルベルトの父、クリストファー・フォルズに。今俺が見ている貴方は亡霊でなく、人間なのか」


 その問いに、男は口元をやや緩めつつゆっくりと頷いた。


「そうだ、シエイエス。私はクリストファー・フォルズ。お前とルーミスの祖父であるに相違はなく、紛れもなく生きている。

だが今は、人智を超えた高みから人の世を見下ろすべくその名を捨て、サタナエル七長老主席――。“第一席次ディエグ・ウヌ”を名乗る」


 クリストファー――いや、“第一席次ディエグ・ウヌ”は、一旦言葉を切り、ゆっくりとレエテとシエイエスの方へ歩み寄ってくる。


 その一歩を踏み出すたびに――。まるで聖架の向うから神が少しずつ迫ってくるかのような、畏れ多き巨大な威圧感が二人を襲う。


 歩きながら“第一席次ディエグ・ウヌ”は、再び厳かに語りかけてくる。


「驚き戸惑っているようだがシエイエス、お前ほどの男だ。頭のどこか片隅で、私が実は生きておることぐらいは推察しておったのではないか?」


「――な――」


「元より違和感を感じていたはずだ。私が処刑され、死するまでの顛末について。それに加え、聞いたであろう? メイガンめが死んだと見せかけて生きておったこと。

私が脅しによりサタナエル将鬼となったその時期に、同じ“法力ヒリング”ギルドに所属していたであろう、同じ老齢の実力者。それが同じ刺殺による殺害、と見せかけて蘇生する術を持っておったこと。その符合。

お前ならば、否定はしつつも、推理していたはずだ。『祖父も同じではないか』と」


 シエイエスは背筋に冷たい汗が幾条も流れ落ちるのを感じた。


 その通りだった。祖父失踪当時15歳だったシエイエス。その後行方不明だった祖父が死んだという情報を特殊部隊時代に得たものの、その成り行きにどこか不自然な点があるような気はしていた。


 祖父が強大な法力使いだったのは事実だが、なぜあの老齢のあの時期に将鬼に誘われた?


 サタナエルが戒律により手を出せぬはずの法王府から、なぜむざむざと、母ルーテシアと妹ブリューゲルは人質にとられてしまった?


 不自然な点が多すぎる。


 もっと云えば――祖父が処刑される端緒となった一族女子への救済。それを受けたマイエがレエテを助け、教えを元に作った家族に加え――。マイエが死んだ後に本拠を脱出したレエテが、巡り巡って恩人の孫であるルーミスと自分に出会い、サタナエルへの復讐に手を携える。


 偶然にしては、出来すぎていないだろうか?


 シエイエスの優れた頭脳は、どこか片隅でそれらの事実を訝しんでいたのだ。

 だが無意識のうちに、考えまい、考えまいとしていたように自分でも思う。



「お前の推測のとおりだ。“仮死冥凍法ヴーゲトゥイ”は私が編み出した技で、メイガンに伝授したもの。私はそれを用い、処刑による死を偽装した。

そうして表の将鬼としての私を殺し、裏の立場――“第一席次ディエグ・ウヌ”として『計画』を実現するべく動き出したのだ」


「――!!」


「計画はその前から始まっていた。サタナエルからのいざない、人質ルーテシアの殺害とブリューゲルの発狂、将鬼となってのマイエら一族女子への救済。その時点からな。それら全てが、私自身が意図して起こしたものだ。

そして救済時に目をつけた知恵者のドミノを己の傀儡とし、私はずっとお前たち家族を監視していたのだ、レエテ」



「――!! どういう――ことなの!?」


 驚愕するレエテに、“第一席次ディエグ・ウヌ”は云った。



「私は、お前たち家族の中から――。“破壊者”にふさわしい者を見極めようとしていた」


「“破壊者”――? 一体、何に、対しての――?」


「広き意味でいえば、大陸。狭き意味でいえば――サタナエルに対しての、だ」


「――!!!」


「最初はもちろん、第一候補はマイエだった。だがあの子は肉体の強さに比して、あまりにも心が弱かった。

あれだけの力を持ちながら、家族を失うことをただ恐れ、そのリスクの大元であるサタナエルに反逆し淘汰する行動に至らなかった。

それでは駄目なのだ。究極の目的のもとに犠牲をも厭わず、激烈なる情念とともにひたすら突き進むだけの、魂の底からの強さが必要なのだ。

それを持つ者が――レエテ、お前なのだ」


 

 徐々に近づいてくる“第一席次ディエグ・ウヌ”の前で――。



 レエテとシエイエスは、時が止まったように硬直していた。



 頭が、全く追いつかない。思考が停止、いや、考えることを拒絶しているかのように思える。



 考えたくない、辿り着きたくないある一つの結論、によって。



「レエテ、お前がシエイエスとともにここへ辿り着いたことは偶然ではなく、必然なのだ。

私が引いた、運命の糸に導かれたことによる、な」



 その結論、を聞いたレエテは――。瞬きすらせずに見開いた右目を、ゆっくりと、“第一席次ディエグ・ウヌ”に向けた。



「思い出して見よ。お前が家族を殺され、“深淵アビス”を目指したのは何故だ。

私がマイエに与え“家”に遺した書物から得た情報であろう。

そしてあの時、ドミノに“深淵アビス”に関するお前の仮説が正しいという後押しを受けた、だから飛び込むことができたのではないか?

ドミノに私がそのように指示をしたことによってな。

もちろん、その同じ日、ヴェルとマイエが出会うことになったのも――ヴェルの求婚により、家族が全滅にいたったことも――。ドミノに指示を与え、あやつを動かした私の意志によるものだ」



「……!!」



「その後脱出に成功したお前が、ダリム公国に辿り着いたのは何故だ。

私が情報を遺した、我が息子アルベルトを頼るため、法王庁を目指していたからだ。

ダレン=ジョスパンをうまく利用したことはお前の天晴な閃きだったが、私の想定どおりコロシアムで挑戦状を叩きつけ、サタナエルとの復讐の戦をお前は開始した」



「うう……」



「そして存在を知らしめたお前を抹殺するため、サタナエルは動き出した。

あとは、知ってのとおりだ。私はドミノを通じ、ドミノはフレアを通じて。性格も立場も思考も異なるが、極めて優れた知恵者のこの二人が、お前を導くように操ったのだ。

そしてシエイエス、お前と、ルーミスがレエテと出会い、同士としてここへ至ったのも、私の意志であり、運命」



「やめろ……そんなこと……嘘だ……俺は……認めない」



「お前が出奔し、ルーミスが法力使いとして成長し、ともにルーテシアを失った復讐に立ったこと。

お前が特殊部隊に入り、ドゥーマでルーミスとレエテと行動をともにするようになったこと。

それら――全てがな」



「やめろっ!!!! やめろおおおおおお!!!!!」



 シエイエスは極限の苦悩を貌に貼り付け、両手で頭を抱えて地に膝をついた。



「違う……俺は俺の意志で、母さんの復讐のために……ルーミスを守るために……父さんの復讐のために……行動した。貴方の、他人の手に操られたりなんかしていない……ルーミスも……レエテも……! 

もしも、そんなことが本当だったとしたなら……俺は、一体……!!

貴方という、邪悪な神の掌で、踊らされていただけだって云うのかっ!!!!」



 シエイエスは、自我の極限の葛藤に苛まれていた。自分でも、発狂してしまうかも知れないと思うほどの、恐ろしい苦しみが全身を駆けめぐる。



「……アルベルト。あの子は正しすぎた。私がそう育てたゆえにだ。それが原因で、命を落とすことも計算のうちだった」




 苦しみ悶えるシエイエスを前に、レエテもまた、身体を大きく震わせていた。



 この男が、真の元凶だったというのか。自分に降り掛かった大いなる災いの人生も、自分がサタナエルの復讐に駆られ、サタナエルを討ち追い込んでいったことも――この男が引く糸に操られたがゆえだったというのか。



 恩人だと崇拝していたこの男に、マイエは陥れられ、家族は死んだというのか。シエイエスの母ルーテシア、父アルベルトもこの男の邪悪な意志の元に死んだというのか。シエイエスとルーミスと自分が出会い、共に征くこともこの男の計算のうちだというのか。



 凄まじい葛藤が、レエテの体内を駆け巡る。己が過去に経験した慟哭、復讐の意志、それに駆り立てられ起こしてきた数々の行動が脳内で明滅する。



 己の自我による、己の存在意義への、全身全霊をかけた問いかけ。



 それを終えたレエテは、静かに右目を開けた。そして――再生が終わった左目も、同時に開いた。



 その表情は――。一点の曇りもなく、澄んでいた。

 佇まいは、ひたすら静謐で、揺るぎがなかった。


 その中には、いかなる絶望も苦悩も、見出すことができなかった。



「――シエイエス。

何も、苦しむことはないわ。あなたの云うとおり、あなたはあなた。己で感じ、己で行動した結果で――今がある。

そしてもちろん私も――私は、私。己で感じ考えたこと、己の復讐心、尊い存在に対する愛情。それら全てが、私のもの。

そうでなければ、私達のうちどちらかか、両方かが操り人形だったなんてことがあったのなら――。

私達が心から愛し合い、永遠の誓いを交わせる訳が、ないわ」



 レエテは“第一席次ディエグ・ウヌ”を睨みすえ、云い放った。



「クリストファー、いいえ、“第一席次ディエグ・ウヌ”。

たとえ貴方が云うように、私やシエイエスたち、サタナエルでさえもが、貴方の意志のとおりに操られ動いていたのだとしても――。

それが、何だというの。

たまたまハーミアではなく、運命の糸を握っていたのがあなたというただの人間だっただけの話。

私たち自身の意志や選択、行動には、一切、何の関わりもないこと」



 シエイエスは、ハッとした表情でレエテを見――そしてようやく、冷静さを取り戻したようだった。



「――レエテ――!!」



「そして――私は宣言するわ、“第一席次ディエグ・ウヌ”。あなた――お前を――八つ裂きにして殺す、と」



 レエテは――。見る見る貌を歪め、険を刻み、瞳に怨念をたぎらせ――。

 身の毛もよだつような、復讐の鬼女に、姿を変えつつあった。



「マイエは、信じ慕っていた。崇拝していた。お前のことを。それを裏で操り、死に追いやった。

アラネアを、ターニアをビューネイを、死なせた。サタナエルと私の戦いにも介入していたのならば――それはランスロットや、キャティシアを殺したことと、同義。

許さない――。サタナエルに、将鬼に、ヴェルに対し誓ったように――お前の存在を、地上から消す……!! 肉片も残らぬ程に、殺し尽くしてやる!!!!!」



 ――“声”、だからではない。その怖気を震うほどの怒り、復讐の意志は――。


 地獄の悪魔でさえも、心の底から震え上がらざるを得ない、黒き波動となってビリ、ビリと大地を、その場に居る者を震撼させたのだった。



 “第一席次ディエグ・ウヌ”は、それに対し、目を閉じ、満足げな口調で低く、云った。



「――素晴らしい。レエテ、やはりお前は見込んだとおり、この世で唯一無二の、“破壊者”たりうる存在。

その迷いなき揺るがぬ強き心、尽きぬ復讐の、憤怒の炎。それこそが、私が求めるもの。

それを持って、本拠へと参るのだ。そして――ヴェルに立ち向かって見せよ。

サタナエル最強の存在に」



 そして“第一席次ディエグ・ウヌ”は踵を返し、シエイエスに貌を向ける。



「シエイエス。今この場この時においては、私が明かせるのはここまでだ。

あとは、レエテとともに本拠へ――ルーミスも伴って、そして本拠内の“施設”に行き真実を知れ。その後、私の元まで参るがよい。

そのときこそ――全てを明かしてやろう。私の行動の真意、その背景たるフォルズ家の宿命の秘密、それと大きく関わる、サタナエル創生の秘密をな――」



 意味深な言を残して去ろうとしている“第一席次ディエグ・ウヌ”に対し、レエテは鋭く云った。



「――逃げる気か!! そうはさせない、私は今ここで、お前を殺す!!!」



 “第一席次ディエグ・ウヌ”は、ゆっくりとかぶりを振り、レエテに衝撃の事実を告げた。



「やめておくがよい。教えておいてやるが、先程お前達の仲間は――“魔人”ヴェルに捕捉され、そして――。誰かは知らぬが、『その中の一人が、死んだ』」



「!!!!!」



「――!!!!!」



 レエテと――シエイエスの貌は、これまでとは次元の異なる、苦悶と驚愕の衝撃で、極限まで歪んだ。



「魔力が一つ、完全に消滅したゆえ、間違いない。

私に構っておる暇はなかろう。早く、行ってやるが良い。仲間の元へとな――」




 立ち尽くし、ブルブルと震えるレエテとシエイエスを残し、“第一席次ディエグ・ウヌ”は――。



 静かに、元の森林の中に消えていき――完全にその姿は、見えなくなった。




 それを見送ることもなく――レエテが衝動的に、爆発的な速さで動き出し、ここへやって来た時のようにシエイエスの身体を抱えてその背におぶった。


 そして――全速力で、走り出す。



「レエテ――!!!」



 できるだけの冷静さを取り戻し、頭脳をフル回転させようとするシエイエスに対し――。



 レエテは、動揺しきっていた。


 異常に活動促進された交感神経により、荒い息を継ぎながら震え、歯を食いしばり、歪んだ表情の中の目は流れ落ちる大粒の涙で前もよく見えない状態。


 そして喉の奥から、苦しげに、半狂乱になりながら言葉を吐き出すのだった。


「ウソよ……ウソよ……お願い、嘘だと、云って!!!!

私は信じない……ナ……ナユタ、ルーミス、ホルストース!!!! あなた達の誰かが……し……死んだだなんて!!!!

絶対に信じない。絶対に……絶対にイヤ、イヤああああ!!!!

そんなこと、そんなこと!!!! 信じるもんかああああああああ!!!!!」



 負傷が癒えていないにも関わらず、この場所へ来る時を大きく上回る速度で――。



 レエテの姿は、森林の奥へと、流星のように消えていったのだった。

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