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TEN  作者: A
7/12

8:Moonlit night

政之は口を開く。


「僕らはこの世界にくる度に様々なルールで集団同士競い合ってるんだ。ルールはその日ごと勝手に決まる。今日みたいにバトルロイヤルのときもあればレースのときもある。毎回の活躍によってポイントが得られる。使い道は今のところ不明だけどね。」


彼は続けながら屋上の端へと足を進める。


「ただ舞台はいつもここ。僕たちは"月夜"と呼んでいる。」



尚人は一瞬だけ空にある月へと視線を移したがすぐに政之の方へと戻す。



「一見普段と変わらない街並みだけれど一つだけ大きく違っているところがあるんだ。どこかわかるかい?」


尚人も端まで進み街を見下ろす。


夜の街。歩行者は見当たらない。交差点で信号機の光が青く灯っている。その下に車が一台停車している。線路がある。あと少しで駅のホームというところで電車が止まっている。何かおかしい。



「気がついたかい?」



尚人は政之の顔を見る。



「この世界では僕たち以外のものは止まってるんだ。」



尚人は再び街へ視線を向ける。視界の中に動くものはなかった。



「まぁ 説明はこんなところかな。またわからないないことがあったら何でも聞いてくれていいよ。と言っても僕らもこの世界にくるようになって半年も経たないからわからないことが多いんだけどね。」


そう言って彼はまた屋上の真ん中の方へ歩いて行く。


「他のみんなも紹介したいんだけれど・・おっ?」


政之が何かに気付いたのを見て、尚人はその視線の先に目を移す。無数の光の粒が現れて一ヶ所に集まって行く。それはみるみる人の形になって光がおさまると、女の子がそこにいた。

彼女がこちらに気付く。



「あれー? 浅井くん もう死んだのー?珍しいねー。」



彼女は見開いた目をパチクリさせてみせる。




「あぁ。 ちょっと油断してしまってね。」




「ふーん。よし!次は負けないぞ!待ってろよウサコ!」



そう言うと、彼女は頬を膨らませながらズカズカと屋上の端へ向かって行く。それを見た政之が声をかけた。



「あっ 今日は復帰はナシみたいだよ?」



「えぇー そんなぁ。」



彼女はがっくしと肩を落とし項垂れた。



「あれ? その子だれ?」



彼女は尚人をみて言う。今始めて尚人の存在に気付いたようだ。


「この子は 藤堂 尚人君。小学5年生。 僕らの新しい仲間さ♪」


「へぇー♪ あたしの名前は ミヨシ カナエ。中学2年生。得意な科目は体育と美術だよ♪ これからヨロシクね♪」



「よ、よろしくお願いします。」



すっかりテンションの戻っていた佳苗に尚人は圧倒されていた。



「5年生ってことは いっちゃん の一つ上かぁ。おしいっ!」



佳苗が指をパチンと鳴らしてみせる。



「さてと、他のみんなが揃うまでどうしようか。」



そう言って政之は空に浮かぶ月を見上げた。

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