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イメージしていた様に、書けませんでしたが、ほのかちゃん好きです( ̄◇ ̄;)
授業が終わって間もない時間。日はまだ高く、校庭では部活動に励む学生のかけ声が響いている。運動場として使われる校庭とは別に、校舎を挟んだ反対側にも小さな裏庭があった。
校舎の影になっている為に薄暗い裏庭を、ぼんやりと歩いていた洸は、校舎の影から一歩出た所でその足を止めた。
昼間よりほんの少し柔らかい日差しの中で、目を瞬かせる。
膝上ぐらいの高さしかない植木が規則正しく並んでいるはずの場所に一部分、ぽっかりと空間が空いていた。
いや、正確には植えてあった木が切られ、小さな切り株だけが残されていた。そして、そこには小さな花束が二つ置かれていた。
「花束?」
しゃがみこみ、花束に手を伸ばしたが、背丈の低い植木の根元に小さく光る物を見つけ、花束に手が届く寸前にその手を止める。植木の根元に目を凝らして見れば、それは緑色の小さな石のネックレスだった。
「あれ……これ私のネックレスだ」
手を伸ばし、洸が根元にあった物を拾い上げる。
「いつの間に落としちゃったんだろう」
手にひらに乗せた小さな緑色の石をボンヤリと眺めていると、後ろから伸びた手がネックレスをすくい上げる。 洸がぎょっと目を見開き、慌てて後ろを振り返ると、屈託のない笑顔の青年が立っていた。
「香月さん!」
「こんにちは、洸ちゃん」
洸から取り上げた緑色のネックレスが、香月の手の中でチャリッと音を立てる。
「どうしたの、これ?」
「返してください」
ネックレスを取り返そうと手を伸ばした洸を、手を高く掲げることで軽くかわす。
「香月さんー、返してくださいってば」
ぴょんぴょんと蛙のように飛び跳ねて、香月の手の中にあるネックレスを取り返そうとするが、手を高くかざした香月に届かない。
「洸ちゃん、これさ……」
洸の訴えなど聞こえていないがごとく、日の光に輝く緑の石をしげしげと眺める香月に、ムッと顔をしかめた洸が片足を軽く後ろに下げる。外すことがないように足の位置を確認し、何の躊躇もなく香月の向こう脛を思いっきり蹴りあげた。
「いたぁ!」
香月の足に激痛が走った。手に持っていたネックレスを落とすようなことはなかったが、あまりの痛さにしゃがみこみ、脛をさすりながら情けない声が出てしまう。
「何するの洸ちゃん。ここ弁慶の泣き所~」
「そんなの知りません。香月さんが悪いんですからね」
しゃがみこんだ香月の手から易々とネックレスを取り返し、両手に大切そうに握りしめた洸は、子供のようにそっぽを向く。
「これ私の大切なお守りなんです」
「お守り? まぁ、お守りとしては十二分に役割を果たすだろうね。それかなりの妖力がやどってるよ」
「妖力って何ですか?」
「ん?」
まだじりじりと足が痛んだが、しゃがんだままでは話づらいと思った香月が足を擦る手を止め立ち上がる。
「んー。妖しの力……みたいなものだよ」
そう言って頭をポリポリと掻く。こんなに堂々と妖しと言っていいのだろうかと思い、う~んと首を捻る。洸を見れば、へぇーと口の中で呟きながら手の中にあるネックレスをしげしげと嬉しそうに眺めていた。
「洸ちゃん、そのネックレスどうしたの?」
「これ私が小さい頃に貰ったんです」
満面の笑顔を向けてくる洸に、香月が目を瞬かせる。
「へぇー、小さい頃って小学生くらい? 誰から貰ったの?」
「物心ついた時には、もう持っていました。誰から貰ったかはよく分かりません。どうしたんですか、行き成りそんな質問」
「ん。ちょっとね、気になったもんだから」
首の後ろを揉みながら、へらりと笑う。
「よく似合うと思うよ、その緑のネックレス」
「そうですか?」
洸が照れたように笑い、ネックレスを大切そうに握りしめる。その姿を見て香月もふんわりと頬笑みを浮かべる。




