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 森の中にわけ入る香月の姿を見守りながら、洸は唇を噛みしめていた。震える手を握りしめ、このまま一人で香月の帰りを待っていていいのかと自問する。

 何かが起こりそうな恐怖はあるが、このままでは後悔するような気がして洸は思わず走り出していた。

 森の奥へと分け入っていく香月の後を追いかけ、その服を後ろから掴む。

 香月がぎょっと振り返った。

「洸ちゃん?」

「わ……私も連れて行ってください。じゃないと私、きっと後悔する」

「でも……」

 恐怖の為に手を小刻みに震わせながら服を掴んでいる洸に香月が顔を曇らせる。

 待っているように再度言おうと口を開いた香月だったが、服を掴みながら必死にこちらを見上げてくる洸に口を閉ざした。

 口元に笑みを浮べる。

「いいよ、じゃあ一緒に行こう。でも交換条件として俺の手を離さないこと、いい?」

「はい」

 洸が頷き、香月の手を取る。洸の手の冷たさに香月が一瞬、顔を曇らせたが森の奥を見据える洸は気づくことはなかった。

 香月は繋がれた手に力を込める。

「洸ちゃん、声が聞こえる方向はこのまま真直ぐでいい?」

「はい、大丈夫です」

 香月と洸は暗い森の中を歩き始めた。


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