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日は昇り、朝の澄んだ空気がゆっくりと風に流れる。
香月は大きな杉の木の枝に立ち、辺りを見渡していた。神竜の屋敷から抜け出して夜通し真樹を探したがどこにも友人の姿は見当たらなかった。
枝から飛び降り、地面に何の苦もなく着地する。
(真樹どこに居るんだよ)
辺りを見渡しても、うっそうと生える木々ばかりで何の気配も感じない。鳥の声すらも聞こえない静寂に包まれた森の中を歩きながら香月は夢のことを思い出していた。
夢の中で出てきたあの場所に真樹が居るかもしれないと思ったが、その場所がどこなのか分からない。
「うぅ……俺、疲れたよ真樹……」
怪我をした体で夜通し真樹の姿を探して走り回っていた香月は、疲労困憊と言った感じで木の幹に寄りかかり、そのままズルズルと座り込んでしまった。
考えてみれば食事もまともに取っていなかったことを思い出し、お腹がグーッと鳴る。
「神竜とこで、御飯食べてくればよかった」
今さら言った所で後の祭りだったが、包帯の巻かれたお腹に手を当て、小さく溜息を吐く。
何の手がかりもなく森の中を彷徨うよりも、何かお腹に入れて違う方法を探した方がいいだろうかと考え初めていた時、こちらに歩いてくる知った気配に香月は顔を上げた。




