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どれ程時間がたっただろうか、すっかり腫れぼったくなった目を瞬かせ、埋めていた膝から顔をゆっくりと上げる。
開け放った障子の方へ顔を向けると、こちらに背を向けた黒髪の青年が座っていた。
「神竜……?」
逆光の為に、黒い影のような背がのそりと動き、感情の読めない漆黒の瞳が香月を捕える。
「……落ち着いたか?」
「…………うん……」
頬に残る涙を手の甲で擦る。
「ずっとそこに居たのか?」
「あぁ……」
神竜がこちらに向けていた目を再び庭へと戻す。
表情と同様に感情の読み取れない静かな声に、香月は目をゆっくりと瞬かせた。
膝の上に組んだ腕の中に顔を半ば埋めるようにして、神竜が見つめる庭にぼんやりと目を向ける。
奇麗に整えられた庭の光は先ほどよりも傾いたためか、いくぶん柔らかな印象を与える。ふわりと吹いた風に、庭に植えられた木の枝が揺れ、葉の擦れる音が耳に心地よい。
目を閉じ、葉の擦れる音に耳を傾けていた香月が誰に話しかけるわけでもなく、独り言のようにぼそりと呟いた。
「洸ちゃん、妖力の籠ったネックレスを持ってたんだ」
神竜が静かに振り返る。漆黒の瞳の色が一層深まった。
「小さな緑色の石がついたやつ。お守りだって言ってた」
香月が目をうっすらと開ける。差し込んだ光によってか黄金色に淡く輝く瞳で神竜の漆黒の瞳を見かえす。
「あのネックレスに込められた妖力、真樹のだよ」
小説って、難しい(ーー;)(ーー;)




