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神龍が出てくるため、場面が変わります。

 広大に広がる屋敷の一室、二〇畳ほどの座敷に二人の人間が向かい合うように座っていた。一人は四〇代後半の年配の男性。もう一人は頭をさげ、顔は見えないが若い十代半ばほどの青年だった。

神竜(しんりゅう)

 名を呼ばれた青年が顔を上げる。闇を切り抜いたかのような黒髪と瞳を持った、美しい青年だった。整った顔を立ちの為か、どこか氷のような冷たい印象をうける。

 背筋を伸ばした青年に、年配の男が重々しく口を開いた。

「昨日、依頼があった。失踪者の捜索だ」

 神竜は不愉快そうに、冷たい光が宿った目を細める。

「そういうのは、警察の仕事だと思いますが」

 不快感を隠そうともしない声音の神竜に、年配の男性が小さく嘆息を漏らす。

「分かっている。だが占術の結果この失踪には(あやか)しが絡んでいるようなのだ」

 妖しという言葉に、今まで冷めた目で話を聞いていた神竜の瞳に、少なからず興味の色が混じる。それを感じ取った年配の男が畳み掛ける。

「それもかなり強力な妖しのようだ。引き受けてはくれまいか」

 神竜が顎に手を当て、考える素振りを見せる。数拍の後、口元に妖艶な笑みを浮かべて頷いた。

「わかりました。この依頼お引き受けいたします」

「そうか、引き受けてくれるか」

 頷く男性に神竜は「では、失礼します」と退席の言葉を述べて、頭を下げると静かに席を立つ。部屋を出ようと襖に手をかけた神竜だったが、ふと立ち止まり部屋に残る年配の男性を振り返った。

 口の端を歪め、笑みを浮かべる。

「あぁそうだ。今回関わっているという妖怪、力が強いという話ですが使い物になるようでしたら、俺の式神にしてよろしいですね」

 否と言わせぬ雰囲気を漂わせた言葉に、年配の男性が眉を潜めて難色を示したが、すぐに嘆息を漏らす。

「うむ……好きにするといい」

 その言葉に、神竜は満足そうな笑みを浮かべて、襖の外に姿を消した。


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