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「真樹、よかった無事だったんだな」
「香月……どうしてお前がここに居る?」
「どうしてって……だってお前が 」
香月が言葉を詰まらせる。脳裏に血を流して、地面に転がっていた少女の姿が過った。
唇を震わせ俯く。指先が白くなるほどに強く拳を握りしめる。
「……何で……人の子を襲っているんだよ。昔はそんな事、絶対にしなかっただろ」
遠くの方でまた火がはぜる音が聞こえる。本来ならこんなことを言っている場合ではなく、すぐにでも真樹を連れてこの場から離れなければいけないのに、香月は聞かずにはいられなかった。
口を閉ざして何も言わない真樹に、次第に苛立ちが募っていく。
「真樹、何とか言えよ」
思わず声を荒げてしまう。びくりと真樹の肩が震えた。
「あっ……真樹ごめん。俺、怒鳴るつもりはなかったんだけど」
「いや、いいんだ」
香月が枝の向こうで俯く真樹に触れようと、手を伸ばす。
服に枝が引っ掛かり、小さな音を立てて折れた。
「真樹……何か理由があるんだろ、俺に話してくれよ。俺、お前の為に何か……」
「香月、もう私に関わらないでくれ。お前がこんな血生臭い場所に居る必要はないんだ」
真樹が伸ばされた香月の手から逃れるように、一歩後退する。
「真樹」
遠ざかった真樹の着物を掴もうと、身を乗り出し、手を伸ばす。
複雑に絡み合ったいくつもの枝が、乾いた音を立てて折れた。
「し……」
「ノウマクサラバ タタギャテイビャク サラバボッケイビャク サラバタタラタ センダマカロシャダ ケン ギャキギャキサラバ ビキンナン ウンタラタ カンマン」
後方から聞こえた声に香月が振り返る。白刃と化した霊力が木々の間を駆け抜け、枝が大きく凪いだ。
「うわぁ...…」
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