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 結界の外へ出た瞬間、全てが一変する。

炎に熱せられた空気は吸い込むほどに喉と肺を焼き、視界いっぱいに広がる赤い炎で他に何も見えない。

「真樹、どこだ」

 香月が叫ぶ。肺に熱せられた空気が一気に流れ込み、喉が焼ける。

口元を服の袖で覆い、返事がないか耳をそばだてながら辺りを伺っていると、バチリと炎のはぜる音がした。

香月がそちらに視線を向ける。

炎で肌が焼かれるなか目を凝らしていると、黒く変わり果てた木に亀裂が入り、新しい枝が姿を現す。至る所から伸び出した枝が急速に成長し、まるで蛇のようにうねりながら香月へと迫りくる。

 とっさに腕を顔の前にかざした香月を枝が飲みこんだ。枝に体ごと持って行かれる。

「真樹!」

 縦横無尽に伸びる枝の中で香月が叫んだ。その声に反応するように今まで猛然と成長していた枝がピタリと止まる。

 幾重にも伸びた枝に絡め取られ、身動きのままならない香月が枝を無理に折らないようにゆっくりと腕を下げた。

 遠くの方で火がはぜる音が聞こえる。今はまだ急激にのびた枝が炎を凪ぎ払ったため、炎は弱まってはいたが次第にここも炎に包まれることは明白だった。

 枝がスルスルと香月の体から解けていく。

 幾分、自由に動けるようになった香月が枝の上で身を起こす。

 右側の方から気配を感じ、香月が顔を向けると無数の木の葉が渦を巻く中から白髪の青年が姿を現した。幾重にも重なった細い枝が柵のように香月と真樹を隔てているために、表情ははっきりと見えないが大きな外傷は見当たらなかった。

 香月がほっと安堵の息を吐く。

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