掲示板回
【スレッド名】運命分配機が王都に来てから1月。ぶっちゃけ生活変わりすぎじゃね?
1:名無しの旅人
王都の広場にあの一切の理屈が通じない黒い筐体が現れてから、まだ1月しか経ってないんだな。
最初はただの奇妙な見世物だと思ってたけど、今じゃこれがない生活が思い出せない。
お前ら、たった30日前までどうやって生きてたか覚えてるか?
2:名無しの商人
>1
1月経った今だから言えるが、魔石再充填機の登場はもはや天変地異だったな。
それまで使い捨てで、空になればただの石屑だった魔石。
高名な魔導師が束になっても再利用は不可能だと言われていた理が、銅貨数枚で覆されたんだから。
この一月で、路地裏の商店が小銭を出し合い、街灯を灯し始めた。
夜の帳を物理的に引き剥がすなんて、先月の俺に言っても絶対に信じないだろうな。
5:名無しの主婦
本当にそう。近所の家々と銅貨を出し合って、小さな魔石を再利用し始めたわ。
夜中に子供が熱を出しても、医者のところまで道が見える。
それまでは暗闇の中に何が潜んでいるか分からなくて、日の出を待つ間に容態が悪くなるのが当たり前だった。
不可能だったはずの光が、その日の小銭で手に入るなんてね。
8:名無しの冒険者
光もいいけど、俺らからすれば魔獣肉解毒装置の恩恵が一番重い。
今まで森や迷宮で倒しても、毒が回っていて食えなかった魔獣の肉。
解毒魔法なんて高尚なものは、俺らみたいな下っ端には縁がなかった。
それが今じゃ、必死に貯めた銅貨を投じて装置を動かせば、腹一杯肉が食える。
この1月で、若い冒険者のガリガリだった顔が、見違えるほど良くなったぜ。
12:名無しの肉屋
>8
食う側はそれでいいだろうけどな。こっちは商売あがったりだよ。
丹精込めて育てた牛や豚の肉が、そこらの汚い魔獣の肉と同じ値段で売らなきゃならねえ。
家畜の飼育にかかる手間と、分配機を通すだけの手間の差じゃ、勝負にならねえんだ。
ゼクスとかいう魔導具師、あいつは俺たちの生活を壊すつもりなのか?
20:名無しの運送屋
肉屋の嘆きも分かるが、運び屋の俺らからすりゃ感謝しかないぜ。
二等の不疲の獣帯を手に入れるために、ギルドの連中で銀貨をかき集めた。
流石に大物は銀貨が必要だが、それに見合う価値はある。
おかげでうちの馬は山道を二つ越えても息を切らさなくなった。
輸送にかかる時間が半分になって、一月に運べる荷物の量が倍だ。
今までは高価な保冷の術式を使わなきゃ運べなかった薬草も、普通の荷車で運べるようになった。
末端の薬屋にまで品が並び始めてる。
32:名無しの情報屋
生活だけじゃない、人々の考え方が一番変わった気がする。
配信が始まってから、雲の上の存在だった貴族や王族の暮らしが可視化されただろ。
彼らが何を食い、どんな部屋で過ごしているか、平民が知る術なんて以前はなかった。
銅貨を握りしめて筐体に並び、一発逆転すれば、あそこへ行けるかもしれない。
その熱病のような期待が、街全体の空気を変えちまった。
45:名無しの労働者
>32
それな。最近じゃ、真面目に畑を耕したり、工房で奉公したりするのが無駄だと言い出す奴が増えた。
数枚の銅貨を握りしめて分配機の前に並び、レバーを引くことばかり考えてる。
俺の知り合いも、家族の夕飯代だった小銭をつぎ込んで、三等の靴敷きしか出なくて泣いてたよ。
便利になったのはいいけど、みんな夢を見すぎて足元がおろそかになってる気がする。
58:名無しの隠居
便利さは毒でもある、か。
確かに、夜が明るくなり、腹一杯肉を食えるようになったのは慈悲だろう。
だが、その代償に人々は今日を生きるための勤労よりも、明日を変えるための博打に狂い始めている。
先月の王都はもっと静かで、身分相応の幸せを噛み締めていた。
たった1月でここまで熱気が膨れ上がるなんて、いつか世界を焼き尽くすんじゃないかと怖くなる時があるよ。
71:名無しの若手商人
怖いなんて言ってられないですよ。
昨日、一等の魔導四輪が関所を迂回して山を越えたっていう目撃談を聞きましたか?
本来なら通行料で利益を吸い取っていた領主たちが、真っ青な顔で鋼の箱を眺めていたらしいです。
あいつ、道なんて無視して断崖を登っていったんですよ。
既得権益にしがみついていた連中が、術式の理不尽な力で踏み潰されていく。
俺はそれを見て、正直胸がすく思いでしたね。
85:名無しの魔導師
魔導四輪の影響はこれから本格的に出るだろうな。
ただの速い馬車じゃない。空間拡張を積んで、時間すら止める箱だ。
これまで距離や腐敗を理由に価格を吊り上げていた市場の理屈が、根底から崩れ始めている。
特等の時なしの魔導四輪が数台広まるだけで、王都の食卓には常に新鮮な北方の魚が並ぶようになる。
魔法で冷やして必死に運んでいた時代は、もう終わったのかもしれない。
92:名無しの門番
現場の人間から言わせてもらえば、混乱しかねえよ。
分配機から出てくる妙な道具のせいで、これまでの検閲や警備のやり方が全く通用しなくなってる。
姿を隠す外套だの、泥を弾くマントだの。
隠密の才もない素人が、道具一つでプロを出し抜ける。
秩序を守る側からすれば、ゼクスっていう男は世界をかき乱す疫病神にしか見えないぜ。
105:名無しの野次馬
疫病神だろうが神だろうが、俺は明日も分配機を回すよ。
銅貨数枚をあの投入口へ滑り込ませる瞬間の、指先の震え。
一生かかっても手に入らないような宝が手に入るかもしれない。
その可能性がこの街に満ちているだけで、俺は生きてる実感が湧くんだ。
118:名無しの商人
>105
結局、そこに行き着くんだよな。
ゼクスが何を考えてるかは知らないが、彼は世界に道具を与えたんじゃない。
明日が変わるかもしれないっていう、猛毒のような希望を与えたんだ。
もう俺たちは、この熱狂がない頃の退屈な世界には戻れない。
この鋼の箱が、世界をどこへ連れて行くのか。俺は最前列で見届けてやるつもりだ。
132:名無しの情報屋
最新の噂だと、次は情報の伝達に関する目録が出るらしいぞ。
遠く離れた場所の出来事が、一瞬の遅れもなく水晶に映し出されるとか。
もしそれが本当なら、秘密なんて概念すら消滅するかもしれない。
物流の次は情報の連なりを書き換える気か。ゼクス工房の動向からは、一瞬も目が離せないな。
150:名無しの旅人
夜の暗闇が消え、飢えが遠のき、距離が縮まり、知識が共有される。
たった1月でこれだけ変わった。
さあ、俺も銅貨を握りしめて広場に行ってくる。
次は俺が、この停滞した世界を笑ってやる番だ。
【王都中央広場】新作の目録、一週間も音沙汰ないんだが……
1:名無しの博打打ち
おい、最後の一等が出てから今日で丸一週間だぞ。これまでは三日も待てば新しい目録が貼り出されて、受像水晶の中のゼクスが次は何を壊すか語り始めていたはずだ。あいつ、金も名声も手に入れて、もう飽きちまったのか?
2:名無しの商人
>1
俺も毎日広場に通ってるけど、筐体の画面はずっと前の目録を表示したままだな。魔導四輪が世に出た時は、間髪入れずに次の仕掛けが来ると思って銀貨を握りしめていたんだが。この一週間の沈黙は、商売の計画が立てられなくて困る。
3:名無しの新人
新作を待ってる間に銀貨三枚使っちまったよ。といっても、酒場で魔獣の肉を食っただけだがな。あんなに美味いもんを食わされちまったら、今までの干し肉なんて泥を噛んでるのと変わらねえ。新作が出ないなら、せめてあの解毒装置をもう一台増やしてくれないか。
5:名無しの主婦
でも、この一月で本当に助かったわ。銅貨数枚で空の魔石がまた光るようになるなんて、一月前には考えられなかった。おかげで路地の街灯も灯るようになったし、新作が来ない間も、私たちはこれまでの恩恵で十分やっていけてる。夜道が明るいだけで、どれだけ心が休まるか。
8:名無しの冒険者
>5
光だけじゃない。銅貨を投じて肉の解毒さえできれば、俺らみたいな食い詰め者でも腹一杯になれる。一週間新作が来ないくらいで文句を言うなよ。今は手に入った道具や理を、みんなが生活に馴染ませる時間なんだろうさ。魔石の再充填だって、最初は加減が分からなくて石を砕く奴が続出したからな。
12:名無しの運送屋
馴染ませるどころか、広場は殺気立ってるぜ。新作が来ないせいで、銅貨を握りしめた連中が手持ち無沙汰に筐体を睨みつけてる。今までは次から次へと新しい術式が放流されていたから、この一週間の空白が耐えられないんだろうな。さっきも「壊れてるんじゃねえか」って筐体を叩こうとした奴が、防御術式で吹っ飛んでた。
15:名無しの商人
運送屋なら魔導四輪に怯えてるんじゃないのか? 北の関所を無視して山を越える馬車なんて、お前らの商売を根こそぎ奪う死神だろ。一週間沈黙してるのは、既存の運送ギルドが王宮に泣きついて、ゼクスの動きを止めてるからだって噂だぜ。
18:名無しの運送屋
>15
死神どころか希望の星だよ。あんなもん、御者なら誰だって一度は握ってみたい。馬の糞の始末も要らず、悪路でも揺れないんだぞ。ギルドの老害どもが焦って圧力をかけてるってのは事実だろうが、そんなもんであのアホみたいな魔導具師が止まるとは思えねえな。
20:名無しの若手商人
俺のところにも、次の目録の内容を探れって上から命令が来てる。だが、鉄の扉の向こう側がどうなっているかなんて誰にも分からない。これまでは新しい道具が出るたびに、古い商売が一つずつ死んでいった。この一週間の沈黙は、次の犠牲者が誰になるか伏せられているようで、不気味で仕方ない。
25:名無しの博打打ち
おいおい、不気味なんて言うなよ。むしろ最高の期待感だろうが。次は武器か、それとも食い物か。あるいはもっと別の、想像もつかないような術式か。銀貨一枚で国が変わる瞬間をまた見せてくれよ。あのレバーの感触を思い出して、右手が震えてるんだ。
33:名無しの魔導師
一週間の沈黙か。観察しているが、広場の魔力密度が徐々に高まっているように感じる。筐体が壊れているのではなく、何か巨大な術式を編んでいるか、あるいは供給のための魔力を溜めているのではないか。ゼクスの魔導回路は、我々の常識を軽々と飛び越えるからな。
42:名無しの野次馬
さっきから広場の隅で、大商会連合の連中がひそひそ話してるぜ。あの魔導四輪の所有権を巡って、ルナール商会の若造を囲もうとしたけど失敗したらしいな。ゼクス製の道具には、所有者以外が触れると反撃する仕掛けがあるってのは本当だったんだ。
50:名無しの商人
>42
そりゃあそうだろう。あの男、自分の理を他人に汚されるのを何より嫌う。大商会がどれだけ金を積もうが、ギルドの掟を持ち出そうが、あの中ではゼクスの作ったルールが絶対だ。一週間も新作が出ないのは、そんな外野のノイズを整理してる時間なんじゃないか?
66:名無しの情報屋
ルナール公国への移住者が増えすぎて、あっちの宿屋がパンクしてるらしい。あそこはもう小国じゃねえ、大陸で一番「美味くて明るい」場所だ。王都が新作を待って停滞してる間に、世界はどんどん別の形に塗り替えられてる。
71:名無しの隠居
一月前、誰もあの筐体が世界を変えるなんて思っていなかった。そして今、たった一週間の空白で、王都中の人間がこれほどまでに焦れている。便利さは猛毒だ。一度その味を知れば、もう退屈な日常には戻れない。ゼクスという男は、我々に銀貨一枚で夢を見せ、今はその夢を取り上げてじらしている。残酷な男だよ。
85:名無しの門番
現場の人間からすれば、このまま静かにしていてもらいたいものだ。新作が出るたびに、これまでの警備のやり方が無意味になる。姿を隠す外套や、泥を弾くマント。そんなものがこれ以上増えたら、秩序なんて言葉は消えちまう。今だって、魔導四輪の速度に馬じゃ追いつけないから、関所の検閲すらままならないんだ。
92:名無しの博打打ち
そんな固い話はどうでもいいんだよ。俺はただ、あのレバーを引いて、今まで見たこともない術式が飛び出してくる瞬間を味わいたいだけだ。一週間もあの感覚がないなんて、頭がおかしくなりそうだよ。ゼクス、頼むから早く次の目録を出してくれ。銅貨がポケットの中で熱くなってやがる。
110:名無しの若手商人
広場の筐体、さっき一瞬だけ画面が暗転したぞ。誰か見た奴はいないか? 表示されてた古い目録が消えて、何か新しい文字列が準備されてるような……。
115:名無しの商人
>110
本当か!? 毎日通ってるが、そんな変化は初めてだ。いよいよか。いよいよ新しい劇薬が投下されるのか。
122:名無しの魔導師
魔力波形が動いた。広場の中心に、これまでの物流やエネルギーとは全く異なる質の魔力が集束し始めている。これは……何かの施設を構築するような、大規模な術式の展開だ。道具を一つ二つ出すような規模ではないぞ。
132:名無しの博打打ち
何でもいい、早く始めてくれ! 道具だろうが、別の遊びだろうが、俺の銅貨を賭けさせてくれ! 一週間の我慢が、もう限界なんだ! あの筐体が虹色に光る瞬間が見られるなら、俺は全財産を銀貨に替える準備はできてる!
140:名無しの旅人
光が灯り、肉が安くなり、馬車が速くなった一月だった。そしてこの一週間の沈黙の果てに、何が起きるのか。広場の空気が、今までとは違う熱を帯び始めてる。期待と、それ以上に「世界がまた壊れる」ことへの予感。
155:名無しの商人
おい、目録の看板が動き出した! 文字が書き換わってるぞ! 「近日公開」の文字が消えて、何か新しい単語が浮かび上がってきた。
162:名無しの新人
なんだ……「運命の連動」? 違う、もっと別の単語だ。見えねえ、人が集まりすぎて看板がよく見えねえよ!
178:名無しの情報屋
ようやく見えた。看板の一番上だ。 「あなたの運命、書き換えてみませんか?」 ……それだけだ。景品のリストじゃねえ。ただの一文だ。
185:名無しの魔導師
理を道具として出す段階は終わったということか。次はもっと、人間の根源に触れるような何かを、あいつは投下するつもりなんだ。
200:名無しの博打打ち
「運命を書き換える」だと? 上等じゃねえか。泥水を啜るような俺の人生も、銀貨一枚で金貨の山に変えてくれるってことだろ。さあ、ゼクス! さっさとシャッターを開けろ! 俺の銀貨を受け取れ!
210:名無しの商人
王都中から人が集まってくる。一週間の沈黙は、この爆発を誘うためのタメだったのか。広場の火は消えるどころか、さらに高く燃え上がりやがった。
255:名無しの冒険者
何が起きても、この目で見届けてやるつもりだ。ゼクスが次に何を壊し、何を創るのか。俺たちの退屈な日常を、また木っ端微塵にしてくれよ。
280:名無しの博打打ち
銀貨を握り直した。さあ、運命のレバーを下ろす準備はできてるぜ。
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