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チキチキ!!デスゲーム戦争24時

掲載日:2026/02/10

『諸君にはこれから、命を懸けたゲームをしてもらう』


 モニターに映った、趣味の悪い髑髏の仮面の人物が、バリバリにエフェクトのかかった音声で宣言する。


「ゲ、ゲームだと!?」

「ふざけるな! 俺は帰らせてもらう!」

「こんなところに居られないわ! 私は部屋に戻る!」

「このゲームが終わったら、俺……」


 その場に集められた、見知らぬ面々の反応は様々だ。百名ほどいるだろうか。だがそんなことには構わず、髑髏仮面は勝手に続ける。


『まずこれから……』

「ちょっっっと待ったあああああ!!!!」


 しかしその髑髏を妨げる声が!

 集められた「参加者」のひとりのようだ。若い男が、拳を突き上げて叫んでいる。


『……なにかね? 質問なら後で』

「違う! このデスゲーム、我々『死ね死ねデスゲーム団』が乗っ取らせてもらう!!」


 男の宣言に合わせ、「参加者」を装っていた複数の人間が男の周りに集まる。


「な、なんだって!? 『死ね死ねデスゲーム団』……! こいつは先が見えなくなった!!」


 なぜか白熱する「参加者」のひとり。


「おじさん、何か知ってるの?」

「聞いたことがある! まだ資金力の弱い新手のデスゲーム主催団体が、他のデスゲームを乗っ取ることがあると!」

「乗っ取る」

「その中でも最近注目なのが『死ね死ねデスゲーム団』……最近のデスゲーム乗っ取り率ナンバーワンらしい!」

「乗っ取り率ナンバーワン」


『はははは! これは滑稽!!』


 解説の横で、画面内の髑髏は高らかに嗤う。


『飛んで火にいる夏の虫、とはまさに。気が付いていないのかね?』

「な、なんだと!?」

『君たちを誘き寄せて始末するのも、このデスゲームの目的のひとつなのだよ!』

「な、なんだと!?」

『バイトや就職で各所に提出された履歴書……その中に「所属している団体:死ね死ねデスゲーム団」と記入した人物を片っ端から集めたのさ!』

「な、なんだとーーー!!??」


「なんて罠だ! この手練手管、今回の主催は老舗デスゲーム主催団体だな! ということは『全日本死亡遊戯協会』か『あかるいデスゲーム連合』か……!」


 解説おじさんは興奮している!


『君たちのアジトもすでに抑えている! 無駄な抵抗は止めて……』

「ちょぉぉぉっとお待ちなさあああああい!!!!」


 また別の参加者が拳を突き上げた! 眼鏡の知的な女性だ!!


「このデスゲーム、我々『放課後ドキドキ☆デスゲーム部』が乗っ取らせていただきますわ!!!!」

『な、何!?』

「なんだとーーー!!??」


 女性の周りにまた同じ団体らしい人間が集まる。

 

「な、なんだって!? 新進気鋭の『放課後ドキドキ☆デスゲーム部』だって!? こいつぁ見ものだ!!」

「おじさん、今度のも?」

「ああ知っているとも! 今若い女子デスゲーム主催者の圧倒的支持を得ている団体だ! デスゲームの合間の、アフタヌーンティーやエステのサービスで人気だ!」

「ふーん」

「面白くなってきやがったぜ!」


『ふ、まあいい。弱小団体がいくつ集まったとて変わりはない。このゲーム内で片づけて……』

「ちょっと待ったーーーー!!!!」

「待ちたまえーーーっっっ!!!!」

「待て待てぇぇーーーーい!!!!」


「また増えた!?」

「あ、あれは……装いからして、恐らく『王道デスゲーム回帰連合』に『そのデスゲーム、異議あり!ホールディングス』と『愛のデスゲーム伝導会』だ!! 揃い踏みだな!!」

「装いっていうか、みんな団体名入ったタスキしてるね」

「これは……荒れるぞ!」

「もう大荒れだね」


『くっ……! 面倒な! いいだろう、デスゲーム総取りデスゲームで片を付けようではないか!』

「望むところだ!」

「願ってもないですわ!」

「来るがいい!」

「異議なし!」

「受け入れよう!」


「な、なんてことだ!! これは幻の、デスゲーム総取りデスゲーム……!!」

「なんなの」

「説明しよう! デスゲーム総取りデスゲームとは、どの団体がそのデスゲームを乗っ取るか決めるデスゲームであり、それぞれの団体から出されるデスゲームをクリアすることによって得られるポイントの総合得点で勝者が決められる! 勝者は会場・ゲーム・設備・参加者を丸ごと乗っ取れる上に、他の団体の力を削ぐことによって業界で一目置かれる!!」

「なんなの」


『では各自準備時間は一時間! 今参加者がいる区域を六つに区切り、それぞれの区画にデスゲームを用意しろ! その間、参加者の皆様には別室で待機していただく!』


 色々勝手に話がまとまっている。一般「参加者」たちは画面の髑髏とお揃いの仮面をつけたスタッフたちに誘導されて、別室に通された。他のデスゲーム団体の回し者を除いた「参加者」の数は、当初の十分の一程度。ほんの十人だった。


「えー……こんなに少ないの……」

「それだけ乗っ取り団体が集中したんだな……なんて珍しい事例だ!」

「なんで嬉しそうなの」


 そんな中、彼らを別室に案内したスタッフが説明を始める。


「えー、折角お越しいただいたのにお待たせして申し訳ございません。お詫びに皆様には、当団体のノベルティを配布いたします。また、デスゲーム総取りデスゲームの模様は、こちらの大画面モニターでご覧いただけます」 

「ノベルティ」

「やはり『全日本死亡遊戯協会』か! さすがのサービスと対応力! お、始まるぞ!」

「え、いや悪趣味だから観たくない……」

「よし、始まった! ということで……総員、行動開始!!」

「イエッサー!!」

「え、え!?」


 解説おじさんを含む九名の「参加者」は、仮面のスタッフを制圧すると、そのまま扉をぶち破って会場に乱入した。同時に、会場の外からも大勢の人間が乱入してきた様子が、大画面モニターに映し出される。

 ただひとり、おじさんの解説を聞いていた少女だけが、それを呆然と見ていた。


 数時間後。


「いやー、犠牲者も出さずに一気に六団体も叩けてよかったよかった! お嬢さん、お家にお送りしよう!」

「あ、おじさん……おじさんも、乗っ取り団体なの……?」

「おじさんたちは警察で、デスゲームを潰しに来たんだよ」

「え」

「デスゲームは普通に犯罪だからね! あはは!」

「それはそう。……じゃあ、おじさんがやたら詳しかったのも納得だわ」

「あ、それは個人的な趣味」

「趣味」

「デスゲームも意外と歴史があるんだぞ! しかしやはり転換期は、伝説の主催者とも呼ばれる『マーダー卿』の」

「もういいです」

「まあとにかく」

 

 解説おじさんは輝かんばかりの笑顔でサムズアップした。


「デスゲーム、ダメ! 絶対!」


(END)


解説活躍おじさん。

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