表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/28

不穏な匂い

拝啓 お母さん様。

今日は洗濯物を部屋干しにしました。父は靴下を片方だけ失くし、新品で購入したはずの靴下には穴があいてました。

こんな我が家ですが、私はなんとか元気です。


ところで、“あなたによく似た小さい母”ですが――

「帰れない」と言った次の日、平和堂での買い物の途中に、ふっといなくなりました。

野良猫みたいに、急に現れて、急に消える。嬉しいのか、寂しいのか、もう分かりません。


追伸。

いなくなってから、もう二ヶ月。

母がいない生活にも、少しずつ慣れてきたころ。

だいたい事件は“日曜日の雨の日”に起こるんです。


――ドガシャーーン!!。


家全体が揺れた。雷が落ちたような音。

「なんだ!? 地震か!? 天変地異か!?」

取り乱す父。

(違う。これは……)

ガシャーン。ガラスの割れる音。

「父さんの寝室!」

二人で駆け出す。


夏休みにはまだ少し早いけど、話したい事たくさんあるんだ。

私、まだちゃんと言えてないから

「"お母さんおかえり"って」


私と父は寝室の扉を開けた。


そこに立っていたのは、私のお下がりの服にエプロン姿の――



――母じゃなかった。


びしょ濡れの少年が、雨の音を背負ってこちらを見ていた。


「だ、誰ぇぇぇぇ!?」


私と父は、驚愕のあまりその場に凍りついた。



――つづく。



---

次回17話「ていうかWho are you?」

毎週金曜日 20:30分更新


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
うわぁああああああ 一気読みしました 気になる気になる。続き気になるー!(バタバタ
三千白さんの読み合わせ企画で、こちらを拝見しています。 遠慮も配慮もなく純粋に、私が読んだカクヨム履歴上の最高作品です。 一気読みしたのはこの作品が初めてでした。 最新作、不安な匂いだけが文字数少なく…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ