表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

宇気比

 (ゆえに)、各、随、依、賜之命、所知(統治)、看之中、速須佐之男命、不、知所(統治)、命之国、而、八拳()、至、(まで)、心前、(泣く)伊佐知伎(激しく泣く)、也[自、「伊」、下、四字、以、音。下、(ならう)(これ)。]。

 (その)泣状、()、青山、(ように)、枯山、泣、枯。

 河、海、()(ことごとく)、泣、乾。

 (これ)(によって)(人にとって都合の悪い)神之音、(のように)狭蠅(五月蠅)、皆、満。

 万物之(災い)(ことごとく)、発。


 (ゆえに)伊邪那岐(イザナギ)大御神、詔、速須佐之男命。

何由(なぜ)、以、汝、不、治所(統治)、事依之国、而、哭、伊佐知流(泣く)?」


 (しかして)、答、(もうす)

「僕、()、欲、(行く)(亡き母)国、根之堅洲国、(ゆえに)、哭」


 (しかして)伊邪那岐(イザナギ)大御神、大忿怒、詔。

(そうである)(ならば)、汝、不可、住、(この)国」


 (すなわち)、神、夜良比爾((追い)遣らいに)夜良比((追い)遣らい)、賜、也[自、「夜」、以下、七字、以、音。]。


 (ゆえに)(その)伊邪那岐(イザナギ)大神、()(いらっしゃる)、淡海之多賀、也。


 (ゆえに)(において)(ここ)、速須佐之男命、言。

(そうである)(ならば)、請、天照大御神、将、(行く)


 (すなわち)、参上、天、時、山川、(ことごとく)、動。

 国土、皆、震。


 (しかして)、天照大御神、聞、驚、而、詔。

(わが)那勢()(みこと)之上来、(ゆえ)()、必、不善心。

欲、奪、我国、(のみ)


 (すなわち)、解、御髪、纏、御美豆羅、而、(すなわち)()、左右、御美豆羅、(また)()、御鬘、(また)()、左右、御手、各、纏、持、八尺勾()五百津之美須麻流之珠(糸を宝玉に通した飾り)、而[自、「美」、至、「流」、四字、以、音。下、(ならう)(これ)。]、

曽毘良邇()(には)(背負う)千入之靫(千本の矢を入れた矢筒)[訓、「入」、云、「能理」。下、(ならう)(これ)(より)、「曽」、至、「邇」、()、以、音。]、(付け)五百入之靫(五百本の矢の矢筒)

(また)()、佩、伊都(神聖な力)[此二字、以、音。]之竹(弓矢用の小手)、而、

「弓腹」、振立、而、

堅庭(堅い地面)、者、於、向股(両股)(踏み)、那豆美[三字、以、音。]、(ように)、沫雪、(覆して)、散、而、

伊都(神聖な力)[二字、以、音。]之男、(雄叫びを上げる)[訓、「建」、云、「多祁夫(たけぶ)」。]。


 (踏み)(雄叫びを上げる)、而、待、問。

何故(なぜ)(のぼって)、来?」


 (しかして)、速須佐之男命、答、(もうす)

「僕、(には)、無、邪心。

(ただ)、大御神之命、(によって)、問、賜、僕之哭、伊佐知流(泣く)之事、(ゆえ)(もうす)、都良久[三字、以、音。]。

『僕、欲、往、(亡き母)国、(よって)、哭』

(しかして)、大御神、詔。

『汝、()、不可、在、(この)国』

(しかして)、神、夜良比((追い)遣らい)夜良比((追い)遣らい)、賜。

(ゆえに)以為(思って)、請、将、(行く)、往之状、参上、(のみ)

無、異心」


 (しかして)、天照大御神、詔。

(そうである)(ならば)、汝心之清明、何、以、知?」


 (において)(ここ)、速須佐之男命、答、(もうす)

「各、宇気比(神に誓って判定を占う)、而、生、子[自、『宇』、以下、三字、以、音。下、(ならう)(これ)。]」


 (ゆえに)(しかして)、各、中、置、天安河、而、宇気布、時、天照大御神、先、乞、(渡す)、建速須佐之男命、所、佩、十拳剣、打、折、三段、而、奴那登(宝玉、音)母母()由良邇(ゆらゆら、に)[此八字、以、音。下、(ならう)(これ)。]、振、滌、天之真名井、而、佐賀美邇迦美而(さ、噛みに噛みて)[自、「佐」、下、六字、以、音。下、(ならう)(これ)。]、()、吹、棄、気吹之狭霧(細かい霧)、所、成、神、御名、多紀理毘売命[此神、名、以、音。]。

 亦、御名、謂、奥津嶋比売命。


 次、市寸嶋[上]比売命。

 亦、御名、謂、狭依毘売命。


 次、多岐都比売命。

 [三柱。(この)神、名、以、音。]


 速須佐之男命、乞、(渡す)、天照大御神、所、纏、左、御美豆良、八尺勾璁之五百津之美須麻流珠(糸を宝玉に通した飾り)、而、奴那登(宝玉、音)母母()由良爾(ゆらゆら、に)、振、滌、天之真名井、而、佐賀美邇迦美而(さ、噛みに噛みて)()、吹、棄、気吹之狭霧(細かい霧)、所、成、神、御名、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命。


 (また)、乞、(渡す)、所、纏、右、御美豆良之珠、而、佐賀美邇迦美而(さ、噛みに噛みて)()、吹、棄、気吹之狭霧(細かい霧)、所、成、神、御名、天之菩卑能命[自、「菩」、下、三字、以、音。]。


 (また)、乞、(渡す)、所、纏、御鬘之珠、而、佐賀美邇迦美而(さ、噛みに噛みて)()、吹、棄、気吹之狭霧(細かい霧)、所、成、神、御名、天津日子根命。


 (また)、乞、(渡す)、所、纏、左、御手之珠、而、佐賀美邇迦美而(さ、噛みに噛みて)()、吹、棄、気吹之狭霧(細かい霧)、所、成、神、御名、活津日子根命。


 (また)、乞、(渡す)、所、纏、右、御手之珠、而、佐賀美邇迦美而(さ、噛みに噛みて)()、吹、棄、気吹之狭霧(細かい霧)、所、成、神、御名、熊野久須毘命。

 [(合わせて)、五柱。(より)、「久」、下、三字、以、音。]。


 (において)(ここ)、天照大御神、告、速須佐之男命。

(この)、後、所、生、五柱男子、()、物実、(による)、我物、所、成。

(ゆえに)(自ずと)、吾子、也。

先、所生之三柱女子、()、物実、(による)、汝物、所、成。

(ゆえに)(すなわち)、汝子、也」


 如此(このように)、詔、別、也。


 故、(その)、先、所生之神、多紀理毘売命、()(いらっしゃる)胸形(宗像)之奥津宮。

 次、市寸嶋比売命、()(いらっしゃる)胸形(宗像)之中津宮。

 次、田寸津比売命、()(いらっしゃる)胸形(宗像)之辺津宮。

 (この)三柱神、()、胸形、君()()(もって)伊都久(祭っている)、三前、大神者、也。


 故、(この)後、所生、五柱子之中、天菩比命之子、建比良鳥命[此、出雲国造、无邪志国造、上菟上国造、下菟上国造、伊自牟国造、津嶋県直、遠江国造()之祖、也。]。

 次、天津日子根命、()、[凡川内国造、額田部湯坐連、茨木国造、倭田中直、山代国造、馬来田国造、道尻岐閇国造、周芳国造、倭淹知造、高市県主、蒲生稲寸、三枝部造()之祖、也。]。


 (しかして)、速須佐之男命、(もうす)()、天照大御神。

「我心、清明。

(ゆえに)、我所生子、得、手弱女。

(により)(これ)、言、(のであれば)(おのずと)、我、勝」


 云、而、()、勝佐備[此二字、以、音。]、

離、天照大御神之営田之()[此「阿」字、以、音。]、

埋、(その)溝。

 亦、(その)()、聞、看、大嘗之殿、屎、麻理[此二字、以、音。]、散。


 故、(といえども)(しかり)(なす)、天照大御神、()登賀米受(とがめず)、而、告、「(のようなもの)(排泄物)、酔、而、吐、散、登許曽(とこぞ)[此三字、以、音。]、我、那勢()(みこと)(なす)如此(このように)。又、離、田之()、埋、溝、()、地、矣、阿多良斯(惜しんだ)登許曽(とこぞ)[自(より)、『阿』、以下、七字、以、音。]、我、那勢()(みこと)(なす)如此(このように)」、()[此一字、以、音。]、詔、(といえども)、直、(なお)(その)悪態、不、止、而、(うたた、ひどく)





 このため、(アマテラスとツキヨミの)各々が(イザナギからの)依頼、任命に従って統治している中、スサノオだけは、任命された国(、海原)を統治しないで、(ひげ)が拳、八個分の長さになって胸の前まで伸びるに至るまで、激しく泣いた。

 (スサノオは、)そのように泣いて、青々とした山を、禿山のように泣き枯らしてしまった。

 (スサノオは、)また、河や海を(ことごと)く、泣いて、乾燥させてしまった。

 これによって(人にとって都合の)悪い神々による音声は、うるさい五月の蠅のように、(あまね)く満ちてしまった。

 また、万物による災いが(ことごと)く発生してしまった。


 そのため、イザナギは、スサノオに話した。

「なぜ、あなた(、スサノオ)は、依頼した国(、海原)を統治しないで、泣いているのか?」


 すると、(スサノオは、)答えて話した。

「私(、スサノオ)は、亡き母(である、イザナミがいるはず)の国、根之堅洲国(、黄泉の国)へ行きたいと欲しているので、泣いているのです」


 すると、イザナギは、大いに忿怒して話した。

「そうであるならば、あなた(、スサノオ)は、この国(、物質世界)に住むべきではない」


 (イザナギは、スサノオを物質世界から)追い払ってしまった。


 このため、そのイザナギは、淡海の多賀にいらっしゃる。


 (スサノオの代わりに、イザナギが海原を統治する事に成ったのであろうか?)


 そのため、ここで、スサノオは話した。

「そうであるならば、アマテラスに許しを請いに、(まさ)に行こう」


 そうして、(スサノオは、)天へ昇った時、山川は(ことごと)く震動した。

 国土が全て震動したのである。


 すると、アマテラスは、(スサノオによる震動音を)聞いて驚き、話した。

「私(、アマテラス)の弟(、スサノオ)が(天へ)昇って来る理由は、きっと、不善な心による物であろう。

(スサノオが、)私(、アマテラス)の国(、天)を奪いたいと欲しているとしか思えない」


 (アマテラスは、)そのため、髪を解いてから、髪を左右に分けて(まと)めて、左右に分けて(まと)めた髪に、また、(かつら)に、また、左右の手に、各々、糸を多数の八尺の勾玉に通した飾りを(まと)って保持して、

背には、千本の矢を入れた矢筒を背負って、五百本の矢を入れた矢筒を付けて、

また、腕には、神聖な力が有る、竹による弓矢用の小手を着けて、

(弓を引いて、弓の)「弓腹」という部分を振り立てて、

堅い地面を、両股に力を入れて、踏みしめて、沫雪のように地面の表面を覆して散らして、

神聖な力が有る男性のように、雄叫(おたけ)びを上げた。


 (アマテラスは、)このように、地面を踏みしめて、雄叫(おたけ)びを上げて、待ち構えて、(スサノオに)質問した。

「なぜ、(天へ)上がって来たのか?」


 すると、スサノオは、答えて話した。

「私(、スサノオ)には、邪心は、ありません。

ただ、イザナギに、私(、スサノオ)が泣いている事について、質問されたので、(私、スサノオは答えて)話しました。

『私(、スサノオ)は、亡き母(である、イザナミがいる)国(、黄泉の国)へ行きたいと欲して、泣いています』と。

すると、イザナギは話しました。

『あなた(、スサノオ)は、この国(、物質世界)に存在しているべきではない』と。

そして、(イザナギによって)追い払われてしまいました。

そのため、(黄泉の国へ)行く許しを請おう、と思って(天へ)参上しただけなのです。

『異心』、『他意』は、ありません」


 すると、アマテラスは、話した。

「そうであるとしても、あなた(、スサノオ)の心が清く明るいと、どのようにしたら分かるというのでしょうか?」


 ここで、スサノオは、答えて話した。

「(私、スサノオと、あなた、アマテラスの)各々で、『宇気比として』、『自分より上位の神に誓って神からの判定を占うために』、子を生みましょう」


 このため、(スサノオとアマテラスの)各々が、天安河を中間に置いて、『宇気比した』、『自分より上位の神に誓って神からの判定を占った』時に、アマテラスが、先に、スサノオが腰に付けていた十拳剣を乞うて渡してもらって打って三段に折って、宝玉の音のように百回も何回も、ゆらゆらと、天之真名井で水を振りかけ洗浄して、噛みに噛んで、息を吹き出した事による細かい霧(状の十拳剣の破片)に現れた神の御名前は、まず、多紀理毘売命である。

 またの名は、奥津嶋比売命と言う。


 次に、市寸嶋比売命である。

 またの名は、狭依毘売命と言う。


 次に、多岐都比売命である。


 スサノオが、アマテラスの左に(まと)めていた髪に(まと)っていた糸を多数の八尺の勾玉に通した飾りを乞うて渡してもらって、宝玉の音のように百回も何回も、ゆらゆらと、天之真名井で水を振りかけ洗浄して、噛みに噛んで、息を吹き出した事による細かい霧(状の飾りの破片)に現れた神の御名前は、正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命である。


 また、スサノオが、アマテラスの右に(まと)めていた髪に(まと)っていた糸を多数の八尺の勾玉に通した飾りを乞うて渡してもらって、噛みに噛んで、息を吹き出した事による細かい霧(状の飾りの破片)に現れた神の御名前は、天之菩卑能命である。


 また、スサノオが、アマテラスの(かつら)(まと)っていた糸を多数の八尺の勾玉に通した飾りを乞うて渡してもらって、噛みに噛んで、息を吹き出した事による細かい霧(状の飾りの破片)に現れた神の御名前は、天津日子根命である。


 また、スサノオが、アマテラスの左手に(まと)っていた糸を多数の八尺の勾玉に通した飾りを乞うて渡してもらって、噛みに噛んで、息を吹き出した事による細かい霧(状の飾りの破片)に現れた神の御名前は、活津日子根命である。


 また、スサノオが、アマテラスの右手に(まと)っていた糸を多数の八尺の勾玉に通した飾りを乞うて渡してもらって、噛みに噛んで、息を吹き出した事による細かい霧(状の飾りの破片)に現れた神の御名前は、熊野久須毘命である。


 ここで、アマテラスは、スサノオに告げて話した。

「これらの、後に生まれた五柱の男子の神々が実体化したのは、私(、アマテラス)の物によって形成されたのである。

そのため、自然と、(五柱の神々は)私(、アマテラス)の子なのである。

先に生まれた三柱の女子の神々が実体化したのは、あなた(、スサノオ)の物によって形成されたのである。

そのため、(三柱の神々は、)あなた(、スサノオ)の子なのである」


 このように話して、分担した。


 このため、それらの先に生まれた神々のうち、まず、多紀理毘売命は、(福岡県の)宗像の奥津宮にいらっしゃる。

 次に、市寸嶋比売命は、(福岡県の)宗像の中津宮にいらっしゃる。

 次に、田寸津比売命は、(福岡県の)宗像の辺津宮にいらっしゃる。

 これらの三柱の神々は、(福岡県の)宗像の権力者達が祭っている三前の大神の者達である。


 また、このため、これらの後に生まれた五柱のアマテラスの子の神々のうち、天之菩卑の子は、建比良鳥命である。

 次に、天津日子根命は、凡川内国造、額田部湯坐連、茨木国造、倭田中直、山代国造、馬来田国造、道尻岐閇国造、周芳国造、倭淹知造、高市県主、蒲生稲寸、三枝部造などの祖先の神である。


 すると、スサノオは、アマテラスに話した。

「私(、スサノオ)の心は、清らかで明るいのです。

そのため、私(、スサノオ)が生んだ子として、たおやかな女神達を得たのです。

これにより、言うのであれば、自然と、私(、スサノオ)の勝ちなのです」


 (スサノオは、)このように話して勝った気に成ってしまって、

アマテラスが営んでいる水田の(あぜ)を破壊してしまったり、

その(みぞ)を埋めたりしてしまった。

 (スサノオは、)また、そのアマテラスの「大嘗」用の御殿に排泄物をまき散らしてしまった。


 (

 姉のアマテラスに信じてもらえず疑われたので、スサノオは怒ってしまったのであろうか?

 また、泣いてばかりいたスサノオの心の幼さを表現しているのであろうか?

 )


 (スサノオが、)このようにしても、アマテラスは、(とが)めず、告げて、「排泄物は、私の弟スサノオが、酔ってしまって、このように、まき散らしてしまったのでしょう。また、このように、水田の(あぜ)を破壊してしまったり、その(みぞ)を埋めてしまったりしたのは、私の弟スサノオが、土地を惜しんでしまったのでしょう」と話して、(水田を)直したりしたが、それでもなお、その(スサノオの)悪い態度は止まらず、(逆に、)ひどく成ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ