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道徳的な散歩

作者: 涼代ヨドム

 彼の得意科目は道徳だ。

 彼は今日も散歩に行く。

 意気揚々と歩く彼の目の前に、老婆が倒れていた。


「授業で習った! 助けなきゃ!」


 彼は老婆を背負い、病院まで連れて行った。

 すっかり回復した老婆が彼に言った。

 

「ありがとうね。親切な人に出会えて、私は幸せ者だよ」


 彼は言った。

「道徳の授業で習ったことをしたまでです」




 彼女の苦手科目は道徳だ。

 彼女は今日も散歩に行く。

 意気揚々と歩く彼女の目の前に、老婆が倒れていた。


「人が倒れてる! 助けなきゃ!」


 彼女は老婆を背負い、病院まで連れて行った。

 すっかり回復した老婆が彼女に言った。


「ありがとうね。親切な人に出会えて、私は幸せ者だよ」


 彼女は言った。

「困ってる人がいたら、助けたくなっちゃうんです」

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