2-化け物食材の缶詰を作れ! 目指せ2万函!!
船内でみんな集まって、大勢の人々にじろじろと観察されて、まるで動物園の檻の中の動物になったような気分ですわ。
……て、て、てやぁい!!
見世物じゃないやい!!
いくら俺がイケメンだからっt……なんでオレ落涙してんすか?
……まあぶっちゃけこういう大勢から注目を浴びるのアレルギー出るんだよ、早く終わってくれ……。
会社の歓迎会とかも苦手なキャラなんすわ。
心もささくれて荒れるぎぃ……ぴえん。
「……というわけであの~、改めまして皆さんの作業監督をする......あ、させて頂く、ハルキです。よ、よ、よろしくでぇ~す……」
みんな、お互いに顔を見合わせてから、ぎこちなく拍手してくれた。拍手しながら首を傾げたり、ヒソヒソ言い合ったりしてる。
なんかあの、トラウマになりそうな方の、ざわつき方。
居心地わる~。
転校生が思ってたのと違った時の反応じゃんハイエナだらけのサバンナで、気安くのさばんな! って感じのあれじゃん。
ってゆーか、この船(いや飛行船かな?)の乗組員は、なんかみんな元の世界の西洋人ぽい見た目をしている。
白人寄りのルックスだが、髪がデフォで水色だったりオレンジだったり、その辺はやはり元の世界と違うのね。おじさん感激。
……つーか元の世界の俺の身体はどうなってんのかね。案山子みたいになってんじゃないかな。
だけどみんな、喋る言葉は日本語だという、青タヌキの道具でもキメちゃった後の世界観なのは編集の仕事減らすたm……あ、すんません。
「ニホンから来たんだとさ。ニホンって国を知ってる奴はいるか?」
「「「………………」」」
なんだよ。
肩身狭いなもう。
「でな、ハルキ雑務長」
距離感近いのよこの世界の人。
「え、あ、はい、なんすか」
いきなり役職者に肩組んでくる文化なのかな。
「この船はただの飛行船じゃなくて俗にいう工場船ってやつなんだ。この荒れ狂う北海の上を波を避けて航行しながら、蟹を獲って船内の工場で新鮮なうちに缶詰に加工する。
今、この国の食料事情は厳しくてな。戦争が始まりそうで、その時に備えて今のうちから大量の保存食を確保しておくらしい。蟹だけでなく、食べられる海産物の肉ならある
程度ミックスして合い挽き状態にしても、いいらしい。それを百パーセント蟹肉の缶詰って称して売るんだ。……腐りきってるよな。
過酷な環境だし一日に十二時間近く働く日もあるし、こりゃ、ハルキ雑務長の前に居た世界の方がましだろうさきっと」
その漁師の話は、笑って流せなかった。
「いや......まぁなんというか、そんな事も無いんすよね......」
元の世界も、なんか、そんな感じっすよ……。
「そう? へえ、そうなの」
「どこも一緒っす」
お互い、ちょっときまずくなった。