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追放された侯爵令嬢と行く冒険者生活  作者: たけすぃ
君のいない道を一人で歩く、ただし君と

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貧乏子爵家次男は瞳を探す13


 *


 俺に頭突きを食らわせてきたジュエルヘッドドラゴンを見て、やっと出たかと安堵していた。

 昨日、夕食がてら酒場で聞き込んだ時には、前回は一週間ほど前に出たと聞いていたからだ。

 話によればだいたい一週間に一度のペースで出現しているらしい。


 他の冒険者がジュエルヘッドバニーを狩る速度から逆算して、俺のペースなら今日中に湧かせられるのでは? と思っていたのだ。

 それに意図したわけではないが、俺が回復魔法で冒険者を治療していたので他の冒険者がいつもより多く討伐できていた。


 それでもなかなか出なかったので、若干焦りが出て昼を過ぎてからはジュエルヘッドバニーを狩る速度を上げてしまったが。

 決してジュエルヘッドバニーが『巫女の瞳』を落とさないからムキになったわけではない。


 もっともジュエルヘッドバニーを狩った者を狙いにくる、というギルドの情報は正しかったようで無駄ではなかったが。

 ジュエルヘッドドラゴンの両目は真っ直ぐに俺を睨み付けてくる。


 キラキラというよりギラギラといった感じの宝石のような鱗で覆われた頭部は、この魔物が安直さでジュエルヘッドと名付けられたわけではなく、他に名付けようが無かったのだと思わせる。

 馬車三台分ほどの体躯は竜種としては小さめだが、その体躯から立ち上る魔力の密度はまさしく竜種のそれだ。


 俺は剣をゆっくりと鞘から引き抜く。

 そんな俺にエッズが信じられないと言いたげな口調で叫ぶ。


「何やってるんですか! 相手は竜ですよ!?」


「違うぞ、エッズ。あれは宝石だ」


「はぁ?」


 さっさと仕事《避難》しろと思いつつエッズに答える。

 そう、アレは宝石だ。

 ギルドに残る記録によると四度討伐されて四度とも『巫女の瞳』を落としたのだ。


 そう、つまりジュエルヘッドドラゴンは確定で『巫女の瞳』を落とすのである。

 出現しても三日ほど経つと消えてしまうし、森から離れると追ってくる事もないので討伐される事は希らしいが。


 コイツは、確定で、エリカの為の宝石を、落とすのだ。

 ここに俺の理論は完成した。


 運に頼るなど愚策である。

 俺は理論エリカ派である。


 つまり最短で真っ直ぐに必ず落とす奴をぶちのめせば良いのである。

 やはり理論エリカこそが至高。


「エッズ、理論エリカこそが最強だと見せてやろう」


 身体強化の強度を引き上げながら俺は言った。


なに言ってんですか!?」


 叫ぶエッズはもう遠い。

 俺はジュエルヘッドドラゴンの頭に剣を叩き込んだ。


 *


 愚者の森のジュエルヘッドドラゴンの事を知った時は、オルクラの冒険者というのは堅実な冒険者が多いんだな、と思った。

 確定で大金になる宝石を落とすような魔物を出現させられるなら、多少の危険は承知で大規模なパーティーでも組んで狩りまくるのでは? と思ったからだ。


 だが流石に俺でも、もう分かる。

 ファルタールでは平凡程度の俺でも、ここオルクラではそうではないと。


 ヘカタイで六十年前に起きた魔物襲撃事件の影響がこんなにも大きいと言うのは予想外だったが。

 オルクラには冒険者の最前線であるヘカタイの街であっても強者の数は少ない。


 だったら――。

 確かにコイツを狙って狩ろうっていうのは割に合わないのかもしれない。

 馬車の護衛パーティーのリーダーだった男に、宝石を取りに来たと言ったら呆れられた理由が今なら分かる。


 頭蓋を叩き潰すつもりで叩きつけた剣から伝わる重たい衝撃に目を見開く。

 ジュエルヘッドドラゴンの頭部が地面で跳ねる。


「かったいなぁオイ!」


 呼びかけたつもりはなかったが、声に反応してジュエルヘッドドラゴンの視線が俺に突き刺さる。

 間髪いれずに振るわれる前足による反撃を剣でいなし捌く。


 流石さすが竜種。

 元気じゃねーか。

 三日ほどで消えるって?

 俺は剣でしか戦えないぞ?

 少なくとも三日は俺とやり合う覚悟はしてもらうからな?


 いやいや、俺は何を日和った事を考えているのか。

 久しぶりの一人で冒険なんだ、楽しめ俺。

 自分の頬が仮面の下でつり上がるのを自覚する。


「今日中に宝石に変えてやらぁ!」

「俺は何をすれば良い?仮面の人」


 俺に噛みつこうとする顎を縦に切り裂いて俺は叫んだ。

 ――って髭面ぁ!?

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