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追放された侯爵令嬢と行く冒険者生活  作者: たけすぃ
驚くほど近く、息をのむほど遠い君へ

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19/199

追放侯爵令嬢さま、やっと冒険者になる1

ブックマーク、評価、大変ありがとうございます。

大変励みになっております。

 俺は十二歳で冒険者になった。

 冒険者になるには少々早すぎる年齢だ。


 余程の理由が無い限りは普通は十二歳で冒険者になろうなんて思う奴はいない。

 当時は分からなかったが世の中はそう出来ている。


 平民はパン屋になろうと思えばなれたし、木こりになろうと思えばなれた。

 貴族である俺とは違い彼らには選択肢は多い。


 というわけで当然と言えば当然で、十二歳で暴力で命がけで魔物と戦って食っていこう等と決意するにはそれなりの理由が必要である。

 俺の場合はそれが全く無かった。


 あえて理由をあげるなら、冒険者になりたかった、ただそれだけだった。


 

 師匠曰く、それが良かった、そうだ。



 貴族丸出しの十二歳の子供を“親切なバルバラ”は自分の弟子にならないかと声をかけてくれた。

 師匠がランク9という怪物だと知る前の話である。


 しばらくして同い年のエルザが兄弟弟子になり、俺はそれから三年間、師匠の元で冒険者として鍛えられたのだ。



 *


 突然、天井を見上げて眉間を右手でつまみながら頭痛をこらえるように、あーと溜息をつく俺にエリカとギルド職員が不審な目を向ける。

 真実、若干の頭痛を感じながら俺はギルド職員に言う。


「その二人の言った事は全て忘れてくれ」

「ふぇ? それでは特別にランク7から登録を認めろとか言いません?」

「言いません」


 ギルド職員の顔が少し明るくなる。


「そう言いつつ断ったらギルド職員全員を串刺しにとか」

「しません、あとエルザも流石にギルド職員は串刺しにはしません」


 更に顔が明るくなる。


「それじゃあ特別扱いしなくても“親切なバルバラ”がギルド長に親切をしにくる事もないと?」

「すまん、それはあるかもしれない」


 ギルド職員が一瞬だけ考え込むが、ぼそりとギルド長だけならと呟き安堵の溜息を吐く。

 ギルド長可哀想。


「良かった……本当に良かった……ギルド職員一同、揃って“身分不相応なロングダガー”様に感謝申し上げます」


 ギルド職員が若干涙ぐみながら俺に礼を言うが、どう考えても礼を言われるような立場ではなく。

 逆に俺が謝らなければならない立場だ。


 いやあの二人が何を言ったかは分からないが、本当にすまない。

 心中で謝りながら、ついでなので言っておく。


「あと俺に二つ名なんて無いから、ロングダガーなりシンで構わないよ、あったとしても二つ名で呼ばれるとか恥ずかしいしな」


 俺の言葉にギルド職員の女性が小首を傾げる。


「ロングダガー様の二つ名は正式にギルドに登録されておりますが?」

「は?」

「ランク1でシールドブルの群れを一人で撃破し、ランク2ではランサーパイソンを、ランク4ではニードルスパイダークイーンを同じく一人で討伐し、それらは正に当人のランクからは身分不相応の相手である、更には貴族でありながら平民の冒険者にこうべを垂れて指示をうという向上心の高さ。まさに“身分不相応のロングダガー”の二つ名に恥じない冒険者である」


 唖然とする俺の目の前でギルド職員が本を開いてスラスラと読み上げる。


「何なのそれ」

「冒険者ギルド名鑑ですが? 二つ名を正式にギルドに認められると掲載される事とになってます」

「名乗った記憶なんて俺には無いんだが」

「二つ名推薦者バルバラと書かれてますね」


 んー!

 んーー!

 んーーーー!

 出来れば今すぐ叫びたい衝動に駆られる。

 師匠の親切の被害者はだいたいがこの状態になる。


 被害者の立場には殆ど立つ事は無かったが、久しぶりに“親切なバルバラ”の親切の被害にあうとなかなかに堪える物がある。

 俺は叫びたい衝動をグッと堪える。

 顔が若干引き攣っていたかもしれない。


「そうか、教えてくれてありがとう」


 俺は何と絞り出すようにお礼を言った。

ブックマーク、評価等をして頂けると大変励みになります。

暫くネット環境の無い所に行きますので、次回の更新は9月5日ごろになります。

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