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追放された侯爵令嬢と行く冒険者生活  作者: たけすぃ
君のいない道を一人で歩く、ただし君と

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109/199

貧乏子爵家次男は瞳を追う6


 *


「それで、どうするんだ?」


 そう訊いてきたのは、一緒にギルドに呼び出されたものの殆ど話す事の無かった有能さんマリシアだった。


「今すぐ出発する、と言いたいが流石に日が落ちてから追う程には馬鹿にはなれないな」


 俺の答えにマリシアが、良かったと呟く。

 俺の視線にマリシアが肩をすくめる。


「いや何。仮面の人が直ぐに追いかけると言い出したらどうやって止めるかと皆で相談してたからな」


 成る程、俺の行動は完璧に予測されていたらしい。

 マリシアの背後で「はい俺の予想が当たり」とディグリスがホウランとドリムから金を巻き上げてるのは無視する。


「それじゃあ」


 一瞬言葉を探す。


「世話になったな、楽しかったよ」


 別れの挨拶ぐらいは、と仮面を外そうとするとマリシアに止められる。


「別にそのままで良いさ仮面の人。花の絵も似合っているしな」


 花の絵をからかわれる。


「私こそ、まぁ業腹だが馬鹿をやれて楽しかったよ」


「今度はズボンが破けないような奴相手で頼むわ仮面の人」


「次ぎの時までに気合いと眉毛を貯めておこう」


 三者の流儀で別れの言葉が紡がれる。

 最後のは別れの言葉かは議論の余地はあるが。


「俺も次ぎまでには、仮面の人みたく蒼い炎が出せるように頑張るよ。元気でな仮面の人」


 あーアレって俺以外にも見えてたのか。

 幻覚とかじゃなかったんだな。


「あぁ髭っちなら出来るさ」


 出し方なんて分からないが、まぁここで出し方なんて分からないと言うのも野暮だろ。

 有能さんが、またおかしな事を言い出したと顔をしかめているが。


 それじゃぁな。

 楽しかったと、一緒に戦えて良かったと、そう言いながらも俺達はさっと別れの挨拶を済ます。


 覚えていて欲しいのは一緒に戦った事だ。

 覚えていて欲しいのは生きあがいてそれでも足りず死ぬ瞬間をだ。


 だから冒険者《俺達》は別れの挨拶に拘泥こうでいしない、大げさにもしない。

 ただ次ぎも会えると良いなと伝えるだけなのだ。


 離れていく四人の背中を見送っているとドリムの声が聞こえてきた。


「ああ、そう言えば仮面の人の名前を聞き忘れたなぁ」


 全員が「え?」と声を出した。


 *


 寝た!

 起きた!

 そしたらエルザが居た!

 以上!


 気絶から目覚めた宿屋まで辿り着いた俺は、ベッドに横になった瞬間に寝てしまった。

 起きたら部屋にエルザがいたので割と本気の悲鳴が出そうになった。


 確かに部屋まで着いてきていたのは知っていたが、部屋にエルザの荷物もあった為に気にしてなかったのだ。

 荷物を回収したら自分の宿屋に戻るだろうと。


 なので朝起きて自分の足下で丸くなって寝ているエルザを見た時は本気で驚いたのだ。


 ちなみにエルザが同じ部屋にいた理由は至極簡単な話で、俺が寝ていたこの部屋は元々エルザが取った部屋だったからだ。

 そう、つまりやらかしたのは俺である。


 謝る俺にエルザは問題ないと言うが、いつかちゃんと借りを返そう。


「それじゃあ俺は行くよ」


 宿屋の前でエルザに別れを告げる。

 コイツが何の用ではるばるノールジュエンまで来ているのか知らないが、随分と俺の為に時間を取らせてしまった。


 命を救われた借りにと、ちょっと負債が大きすぎる。

 街壁の為にまだ夜がわだかまるノールジュエンの闇の中で、何を考えているのか分からない顔でこちらを見つめてくるエルザにそんな考えがあるのかは分からないが。


 まぁ何かで返せるだろう。

 それじゃぁな。


 そう言って別れを告げた俺は、ギルド長カルバヌスから預かった魔道具を手に走り出した。

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