俺、絶賛戦闘中です。
「赤チームOKです。ではセーフティーを解除してください。」
皆、銃のセーフティーを解除した。
「カウントダウン開始します。」
向こうにいる黄色チーム側に行ったスタッフの無線を通じた声と共にこちら側のスタッフの声が重なる。
「「5、4、3、」」
ゴクリ・・・・・・、つばを飲み込む音が体中に響くような感覚で緊張する。先程までワイワイと笑いながら話していた雰囲気が消え、あの天王寺麻友も初めて会った時のような顔に戻ってくれていた。
「「2・・・、」」
いよいよだ。
「「1」」
ゴクリ・・・。
「「スタート。ゲームスタート。」」
その瞬間、赤チームの半分の参加者がスタートと同時に走り先陣を切った。
「無限復活戦ゲーム時間は15分。15分です。」
スタッフの拡声器を通じた声が戦場と化した森林に響き渡る。
「無限復活戦、ヒットになっても先程のスタート地点でカウンターを押して復活可能です。最終的には、カウンターの押された数の少ない方の勝利です。」
説明が加わった。
「さて、私らも行きますかね。亮君、私について来て。」
麻友さんの後に付きスタート地点から左側のバリケードが多く立っているバリケードエリアにたどり着いた。先に何人かの赤チームのプレーヤーがいて敵がいないか顔をバリケードからチラチラ出しながら確認している。
しかし、敵を発見してはいないが敵からの攻撃はもうこのエリアにも届いており、時折ベニヤ板のバリケードにバチバチとBB弾の当たる音が響く。
「敵の攻撃がもう、このエリアに届いているか。亮君、敵に発見されにくくするために姿勢を低くしな。私の隣のプレーヤーのような姿勢になればいい。」
と、俺とは反対側にいるプレーヤーを指さした。コクリ。と、無駄に声を出してしまうと敵に気が付かれてしまう可能性があるのでうなずいて分かった意を彼女に伝えた。
「敵発見。」
突然、俺の右斜め前の味方が他の味方に聞こえる程度に声を出した。目を凝らし、叫んだ味方の向いている方向を見ると、迷彩服を着ているせいではっきりとは分かりにくいが、15人ほどの黄色チームのプレーヤー達が木やバリケードの裏に隠れ時々、こちらを伺うために顔をチラチラと出しているのが見えた。
「麻友さん、そろそろ撃って良いですかね?」
「いや、まだだ。今撃ってしまうと、ギアノイズで弾が相手に届かなくても居場所がほぼばれてしまう。弾が確実に相手に届く距離まで引きつける。」
幸いにも、敵の黄色チームは俺たちを発見できていないらしく少しずつではあるが近づいてきている。今、気が付いたのだが先輩の姿が見えない。茂みの濃いエリアに行こうかななんて事をゲーム開始前に呟いていたのを見たから、恐らくそちら側に行ったのであろう。
「敵の数今現在8人。」
先程敵を発見したプレーヤーが言った。
「ラジャー」
「了解」
「私も確認した。」
と他のプレーヤーが返事をした。その時だった
「ヒット!」
敵黄色チームの一人がヒットコールをし、手を挙げながら退場していったのだ。
バリケエリアにいる赤チームはまだだれ一人とも発砲していない。
「スナイパーだな。だが、無限復活戦だから時間が経てば戻ってくるかもしれないが。」
麻友さんが言った。赤チームには先輩のような恰好をした人が何人かいたからその内の誰かであろうということだった。一人減ったということは今7人の敵が迫ってきている。
「そろそろだな。亮君、撃つ準備しておけよ。」
ゴクリと唾を飲み込んだ。湿った土の匂いが濃く感じる。風に揺れる木々の葉のこすれる音が後ろにも敵がいるのではないかと思わせる。
「エネミーコンタクト!」
麻友さんが叫んだ。すると、俺以外の敵と味方一斉にが撃ち始めた。
「ほら、亮君も撃ちなさい。」
電動ガンの作動音がけたたましく鳴る中、彼女も撃ちながら目線を敵に向けながら俺に言った。
「ヒット!」
今度は味方が一人やられた。伏せるのを辞めて後ろのバリケに身を隠しながらチラチラと前方を見ると敵が二人俺に撃ってきた。
「ひいっ。」
急いで身を隠すと、バリケにBB弾の当たる音がタタタッと激しく鳴りビビらせる。
「おりゃー。」
俺も負けじと敵に狙いを定めトリガーを引いた。身を乗り出しながら撃ったためか弾は敵にではなく隣の木に五発当たった。敵は
二人とも当たると思ったのか、急いで木やバリケの裏に身を隠した。
「っ!」
再び撃とうとバリケから身を出した瞬間、顔のすぐ横を弾が通った。カツンッと俺のゴーグルに弾が当たった音がした。ヒットしてしまったのだ。
「ひ、ヒット!」
手を挙げながらヒットコールをし、無限復活戦のためスタート地点に戻りカウンターを押した。
「ゲーム時間残り5分。残り5分です。」
と、アナウンスが流れた。この時点で赤チームのカウンターは俺が押したのも含めて39だった。
「残り5分か。さっきの場所に戻ってもな。んじゃ、反対のルートに行ってみるか。」
俺はスタート時とは反対側のルートを小走りで進み始めた。バリケエリアとは異なり、二階に上がれる小屋が2~3つあるエリアに来た。
「そこのルーキー。ボケっと突っ立ていると撃たれるぞ。」
と、手前の小屋の二階から味方が手招きをしている。
「お邪魔します。」
俺は先程手招きをした味方がいる小屋の二階に上がった。
「約40メートル先に敵がいる。あの木の根元だ。」
と指さした。射線は綺麗に通ってはいないが確かに木の根元に敵がいる。
「残り時間も僅かだ。やれるか?」
「やってみます。」
俺は敵に気が付かれない程度に二階の窓から外にいる敵に狙いを定めた。
「落ち着いて狙えよ。ルーキーの手柄に出来るぞ。」
ゴクリ・・・・・・、唾を飲み込みトリガーに指をかけた。その時、敵が周囲を見渡す為か立ち上がった。おかげで狙いやすくなった。
「今だっ。」
トリガーを引いた。メカボックス内のギアの鳴る音共に銃口から弾が出た。
カツンッ。
敵のヘルメットに当たった。
「ヒット!」
敵がヒットコールと共に手を挙げた。そして、片方の手で俺の方にグッドサインをしてきた。
「ターゲットダウン確認。やったな、ルーキー。」
「ありがとうございます。あの、質問なんですけど何で、さっきの黄色は撃たれたのに俺にグッドサインをしてきたのですか?」
スコープで確認をした味方が教えてくれた。
「それはだな。倒したルーキーを称えているのさ。」
「ナイスショットって感じですか?」
「そう。そんな感じだ。」
と、頷いた。
人生初のサバゲーの初回ゲームで一人をヒットに出来た。
「ゲーム終了まで10秒前」
アナウンスが流れた。
「うぉー。突撃!」
「うぉー!」
遠くで敵か味方は分からないが雄たけびがした。
「よしっ。俺も一人倒した。」
ふーぅっと、息をしてから味方が言った。
その時だった。
「ゲーム終了、ゲーム終了です。フィールドから出る際は、マガジンを外してから弾抜きボックスに数回撃ってください。よろしくお願いします。」
全てのプレーヤーが民族大移動のように出口に向かっている。敵味方関係なく「どうでした?」とか「いやー、あそこでやられるとは思ってもなかったです。」とか感想を言いあっている。
「亮君、どうだった?」
弾抜きを終え、席に戻ろうとした瞬間後ろから麻友さんが先輩と声をかけてきた。
「先輩、麻友さんですか。動画で観てたよりも迫力が違いました。一人ヒットにしました。」
「お、やるじゃん。おめでとう。」
「おめでとう。次の裏で何人ヒットに出来るかだね。」
と二人とも褒めてくれた。
「只今の無限復活戦の結果を発表いたします。」
アナウンスが流れた。
「赤チーム51回。黄色チーム47回。無限復活戦表は黄色チームの勝ちです。」
黄色チームから歓声が湧いた。
「次の無限復活戦裏は8分後にフィールドインを締め切ります。それまでに準備をお願いします。スタート地点は先程の表の時と逆になります。」
「先輩はどうだったんですか?開始早々に姿を消していましたけど。」
「俺はだな、スナイパーの集団に交じってブッシュの濃い小さな丘に潜んでいて3人ヒットにした。電動ガンとは違って連射が出来ないから一発一発を確実に決めるの大変だよ。」
プハーっと、冷えたコーラを飲んだ。
弾込めや、緩んだブーツの紐を締め直していると
「初戦の表おつかれさん。初のサバゲーの初戦で一ヒットとったか。上出来だ。」
「麻友さん、麻友さんはどうだったんですか?数年ぶりの結果。」
右手人差し指でほほを掻きながら
「私か?超久しぶりということもあって二人しかヒットに出来なかった。」
本人はもっとヒットに出来たはずなんだけどなとか言っている。ベンチに座りスポーツ飲料を飲んでいると後ろから
「さっきの建物からの狙撃ナイスだったよ。」
「もしかして、さっきの方ですか?」
「そうだよ。腕の白マーカーということは初心者なのかい?」
「はい。今日が人生初めてのサバゲーです。」
俺が初めてヒットにしたプレーヤーが俺を見つけ話しかけてきたのだ。実際の戦争ではこんなのはない。死なないサバイバルゲームだからこそ出来ることなのだ。
「今後の君のサバゲーマーとしての成長が楽しみだよ。次の裏も頑張ってね。」
「ありがとうございます。」
じゃあなと言いながら彼は去っていった。背中からは歴戦の猛者感が出ている。
「んじゃ、そろそろスタート地点に行くとしますかね。」
「へーい。高野も行くぞ。」
フェイスマスクを被り、麻友さんと先輩の後を付いて行く。スタート地点には他の赤チームのプレーヤーが数人先に到着していた。筋肉モリモリマッチョマンのグループだ。
「さっき、クルツのダブルハンドがいたがそいつに注意しな。機動力を活かした動きで翻弄してくる。」
「セミオートスナイパーも厄介だ。ボルトアクションではない分、速射性に優れているからこちらも厄介だ。」
と先程の表での戦いのことを話している。時々吹く風が心地よい。フィールドに入ってしまっているためにゴーグルを外すことが出来ないので顔付近に風が当たると気持ちが良いのだ。
「麻友さん、裏はどう行きますか?」
「ん?そうだな、裏戦ということもあって敵もある程度の予想、ここのルートから来るであろうという感じの予想を立ててくるからなあ。」
「敵の裏をかくって感じですか?」
「ザッツライト。その通りだ。流石、亮君。」
そう言う麻友さんは、銃につけているスリングが見事なパイスラを作っていることに気が付いていないようだ。
「あ、そうだ高野。」
「何ですか?先輩。」
「お前の銃なんだがな、先端のフラッシュハイダーを外せばサプレッサーを取り付けることが可能だから次のゲームが終わったら貸すから試してみな?」
「ありがとうございます。」
スタッフがやって来た。今度は若い女性だった。
「先程の表戦お疲れ様でした。次の無限復活戦裏も頑張っていきましょう。では、ゴーグルチェックをお願いします。まだ、アナウンスがあるまで銃にマガジンは刺さないで下さいね。」
先輩の方を見るとギリースーツのせいで人の形をした苔の集合体のようにしかみえない。一方の麻友さんの方をみると、射ちはしないがL85のホップ調整のダイアルを「先程の表戦でだとちょっとホップ強かったな。ま、今の調整が駄目でも戦っている最中に調整すればいいか。」なんて言いながら弄っていた。自分はブーツの紐をきつく縛り直した。
「お待たせしました。皆さん銃にマガジンを刺してOKですよ。」
「お、そろそろ始まるか。」
麻友さんが髪の毛をサッとかきながら言った。
「お待たせしました。それでは15分の無限復活戦裏を開始します。」
俺はマガジンを銃に刺した。先輩や麻友さん、他の参加者達も銃にマガジンを一斉に刺した。カチャッという音が心地よい。
「ゲーム開始5秒前。」
「4」
「3」
「2」
「1」
「スタート!」
オーッという掛け声が敵・味方の両スタート地点から響き渡る。
先輩を含めたスナイパーの方達はスタートダッシュを決めずにやや早歩きで森林ブッシュゾーンに姿を消して行った。
麻友さんはというと
「おら、私についてきな。」
と、他の女性の参加者を姉御肌をきかせて即席アマゾネス軍団を結成し市街地ゾーンへと走っていった。
要は俺は一人での単独行動を余儀なくされたのです。
「さてと、どうしましょうかね。」
味方の多くが市街地ゾーンへと走っていったので俺も付いて行くことにした。
乱暴なことを言ってしまえば、自分のみで敵を見つけてヒットを取れなくても味方が撃っている方向に敵がいると判断し探せば敵を発見できると思ったからである。
前方の方でガガガッと電動ガンの連射音が鳴り響いている。敵・味方のスタートダッシュ組がお互いの存在を確認し発砲を開始したのであろう。
味方のほとんどが銃を敵といつ会い発砲が始まっても良いように銃を構え始めた。俺も周りにならい構えた。二戦目ということもあり、慣れというのだろうか体が先程の一戦目と比較して動きやすいのである。
自分を含めた赤チームの集団が市街地エリアに到着した。幸いにも敵とは遭っていない。エリアに到着した時、先輩が装備しているスナイパーライフルではないが同じような長さの銃を持った数人が二階に上がれる建物に上がり狙撃ポイントについた。上から敵の居場所を伝えるようだ。時折吹く風が心地よい。だが、いつ、どこから敵の発砲が来るのか分からないという不安と恐怖がある。自然とM4のグリップを握る力が更に入る。風で揺れ動く木の枝の影が敵の足の影かとも感じられる。
「今皆が向いている方向の左斜め前側に敵の集団の姿を確認。」
と二階の味方の一人が言った。その瞬間、味方が言った方向からまさしくその敵集団だろう発砲がこちら側にした。
何人かが敵の姿を確認したと次々に言った。敵の弾が建物の壁に着弾した。
幸い、味方からヒット者はまだいない。敵が撃ってこちら側の建物の壁に届くということはこちら側の発砲も敵側に届くということだ。
(あの敵、自分には気が付いていないのか?距離は30メートルということろかな。)
セレクターをセミに合わせ標準を敵に合わせ一呼吸した後引き金を引いた。
モーターやギヤ駆動音と共に銃口からBB弾が発射された。ツーッと伸びのある弾道を描き弾は敵の右肩にヒットした。
「ヒット!」
敵のヒットコールがした。無限復活戦なのですぐに復活するので敵の数が減るわけではないが、復活するまでの間多少は楽になるだろう。
「ターゲットダウン」
交戦中の味方に報告した。すると
「ナイスキル」
や、銃口と目線は敵側に向けながらグリップを持っていない方の手で俺にグッドをしてくる見方もいた。敵に当たらずとも撃たないと敵がこちらに来てしまうので撃たないとならない。
「ヒット!」
味方側からもヒット者が出た。
次は我が身という気で索敵や味方の援護をしていると
「お待たせ。」
と、声がした。後ろを振り向くと天王寺麻友率いる即席アマゾネス隊が来たのだった。
「麻友さん?」
「大丈夫だよ。半分ほどの人数は置いてきたから。今はどんな状況?」
俺は、麻友さんに状況を報告しつつ前方の敵に対しセミオートでタンタンタンとリズムよく撃ち対応している。
麻友さんらも敵と交戦し始め少しすると
「ゲーム時間残り10分、残り10分。」
と、アナウンスが流れた。
「ん?駆動音はするけど弾が出ない。」
確認のため、壁に隠れマガジンを外し見てみたら単なる弾切れだった。
二本目のマガジンを刺し壁の右側から少し身を出して索敵をした瞬間、ゴーグルのレンズ部分にカツンッとヒットした感覚と共に音がした。
「ヒット―!」
ヒットアピールをしながら小走りでスタート地点へと急いだ。スタート地点への道中、スタート地点へ近づくにつれて戦っている最中の味方と遭遇することは無くなっていった。
先程戦っていたエリアが恐らく激戦地なのだろう。スタート地点についた。
「お!高野じゃないか。お前ヒットしたんか。」
「その声は先輩ですね。」
「先輩もヒットしたんですか。この見た目だとなかなかヒットしなそうなのに。」
ギリースーツ姿なので紛れてしまえば当たらなそうな見た目なのにヒットしてしまったとはどういうことなんだろうか?
「俺が陣取っていたエリアに連射に特化したエアガンを装備した集団が来てしまってな。秒間25~30発のハイサイクルだった。俺の後ろにいた奴と戦っていたのだが、敵の流れ弾が当たってしまってな。お前はどんな感じでヒットしてしまったんだ?」
「簡単に言いますと、マグチェンジして索敵のために身を出した瞬間当たりました。」
「あー、それか。よくあることだな。」
スタート地点に戻って直ぐにゲームに復帰するプレーヤーもいれば、俺と先輩みたいに情報交換を軽くしたりするプレーヤーもちらほらいた。
時間ももったいないので、先輩とは別れ、先程の市街地エリアへと戻った。戻る道中、麻友さんとすれ違った。片手にL85を持ち、片手を挙げて「ヒット通ります。」と言っていたのでヒットしたんだろう。死人にくちなしがサバゲーでのマナーなので本人から直接聞けなかった。後に合流出来たら聞けばいいっか。
先程の建物に戻って来た。小走りで来たから少し息が上がっている。戻って来たといっても同じ場所から索敵や攻撃をしては、敵の恰好の餌食になってしまう。なので、建物の二階から索敵と撃つことにした。
敵に姿を発見されないように身を低くしながら階段を上り二階にあがると、そこには味方が何人かいた。外から姿を発見されにくくするために身を出来る限り低くして外の様子を伺っている。俺も、誰もいない所の窓から外を他の味方と同じように身を低くしつつ外を覗いた。建物や木に敵の撃った弾の着弾音や発砲音は聞こえるのだが敵の姿が見つからない。
「このままじゃ時間切れになるだけだ。」
自分と同じようなことを味方も考えていたらしく、無線で「敵の発砲音は聞こえるが姿が確認できない。」等の連絡を取り合っている。
「もしかして、ここのエリアはもう戦闘エリアではなくなっていて、敵は別のエリアに分散しているのでは?」
と別の味方が言った。
すると、後ろの階段から声がした。
「今すぐ、建物から出ていった方が良い。先程、敵が赤チームの周囲を囲むような動きをしたと無線が入った。」
女性は、麻友さんが作った即席アマゾネス軍団の一人だった。それを聞いた瞬間、建物や周辺にいた味方は二手に分かれた。
俺は建物の右方向に進むとある倒木エリアにたどり着いた。そこはちょうど黄色チームと赤色チームの激戦の真っ最中であった。エリアに着くや否や、「危ないぞ。ヒットになりたくなければ伏せろ。」と前にいる味方に言われた。そう言われ、大きな丸太の後ろに伏せ身を隠すと先程まで自分がいたところを敵の弾が数発通過した。
「あ、危なかった・・・・・・。頭を出したりして索敵しようにもさっきのように敵の弾がすぐに来そうだしどうしようか。」
頭上を敵や味方の弾が飛び交う中、どう動こうかと思っていると
「この窪みでできた空間からなら狙えるか?」
隣には、丸太と葉の付いたままの沢山の小枝でできた塊の間に人一人が入れる空間があった。俺のM4なら伏せ射ち状態でも構えていられるスペースがあった。
「狙いにくいな・・・・・。」
伏せ射ちの状態になって気が付いたのだが、このエリアは傾斜があり、赤チーム側は傾斜の下側、要は麓の方にいるために上を向かなければ索敵が出来ないのだった。
「下手に顔を上に向けたり、身を乗り出したりすると敵に発見されて撃たれるしな。」
残り時間も考えるとじっと伏せたままでいることもありではあるが、数人は無限復活戦とはいえヒットにしたいものなので危険を承知で索敵をすることにした。
「あ、いたいた。」
自分と同じ初心者の印の白マーカーを付けている黄色チームのプレーヤーが一人いた。